バンカメタワーがLEEDプラチナである事を帳消しにしたディーリングルームとデータセンター
The New Republic 2013-07-28より、
2012年に完成した、ニューヨークで２番目に高層のバンカメタワー(Bank of America Tower)は、「世界で最も環境に配慮したグリーンな高層ビル」とマスメディアから称賛された。総工費10億ドル(1千億円)、55階建て、総ガラス張りで、マンハッタンの北西角のブライアント公園に面している。
太陽光を取り入れた省エネ照明は、全て自動でコントロールされ、水を使わない小便器や、雨水利用の中水道システム、夜間電力で氷を作っておいて昼間の冷房に使用するシステム等、低エネルギービルの模範として、LEEDからプラチナ認証を受けている。また、超高層ビルとしては初めてニューヨーク市エネルギー開発局から、95万ドル(9500万円)の省エネ報奨金も受け取っている。
オープニングには、ゴア元副大統領も訪れ、このビルにテナントとして入りたいとスピーチしている。
ニューヨーク市の昨年の発表を見ると、バンカメタワーの消費電力は同規模のビルにくらべかなり多いことが分かった。80年前に建てられ、最近省エネリニューワルが終わったエンパイアステートビルと較べると、単位面積当たりの電力消費は２倍以上である。
どうしてこんな結果になったのか？問題はテナントにある。LEED認証はテナントが決まる前に授与されるので、どんなテナントが入るかは考慮されていない。
バンカメタワーの延べ床面積20万�屬�3/4は、ディーリングルームとデータセンターである。ディーリングルームの一つのデスクには、平均5台の大型LCDと5台の高性能ワークステーションが使われている。その上、一年中24時間点けっ放しである。そして、これらのワークステーションにデータを提供しているサーバールームには数百台のサーバーが、365日24時間動いている。
これらコンピュータ類の電力の95%は熱となり室内に放出されるので、これらの熱を取る為に、後からテナントが設置したエアコンが使われている。この類のテナントが入ると電力需要は跳ね上がる。
しかし、この様なケースが有るからと言って低エネルギー化の改築や低エネルギービルの新築に意味が無いと言う事では無い。LEED認証制度も決して意味の無い事では無い。
問題は、ディーリングルームやデータセンター側にある。ディーリングルームのワークステーションやLCDは、24時間点けて置かなければならないのだろうか。ディーラーが席を離れたら切っても良いのではないだろうか？サーバーセンターはデータ量のデマンドに従ってサーバーをOFFにするような運用方法は無いのだろうか。廃熱の利用を考えるべきではないだろうか。何より、小電力でもっと大きな処理能力の有る光コンピューティング等を開発するべきではないだろうか。まだまだ、課題は多い。
原文(英文)URL:
http://www.newrepublic.com/article/113942/bank-america-tower-and-leed-ratings-racket# |
低エネビルが抱える問題
