凍土遮水壁方式などと言うエネルギー依存方式を考え出す官僚は病んでいる
ブログ管理人
安倍政権は8月7日、政府の汚染水処理対策委員会で、福島第一から日量300トンの汚染水の流出の対策として「凍土方式の遮水壁」を作ると決定した。完成は2015年であると言う。
現在、4基の壊れた原発には核燃料と使用済み核燃料が溶けた塊や、燃料棒そのままの形で残っている。核燃料は冷やし続けないとどんどん熱が上がるので、ジャブジャブ水を送って冷やしている。温まった水は回収されて、放射性物質をフィルターで取り除いて、熱交換器で冷やされて又冷却に使われると、聞くと一見クローズドループのように思ってしまうが、4基の原子炉の容器は壊れてあちこちで水漏れしている。それで、日量300トンは流出していると東電は推定できるのだ。もっとも東電が嘘をついて居ないと仮定しての話である。
いずれにしても、汚染水の海洋投棄は国際法違反であるので何とかしなければならない事は分かり切っている。311事故直後の2011年4月に、菅首相は、福島第一の周りに鋼矢板を打ち込んで、汚染水の流出を防ぐように東電に指示をしたが、それには1千億円の金が掛るのでできないと断られている。その後、菅首相が何故簡単にそれを諦めたのかの事情は知らないが、その時に政府の予算を使ってでもやるべきであった。東電には後で請求書を回せば済む事である。
今回の、凍土方式はとんでもない方法である。1.4kmにもわたり、深さ50mのマイナス50度ほどに凍った凍土の壁を作ると言うのである。一定間隔で冷却パイプを入れてその中をマイナス50度以下の冷媒を循環させるのだそうだ。地下の温度は年間を通じてだいたい15度前後で一定である。それをマイナス50度に冷却し続ける為には、莫大なエネルギーを送り続ける必要が有る。50mの深さまで冷媒を送って吸い上げるポンプも必要である。鹿島建設が作った計画書によると400kWが14ユニット必要と言う事なので、5600kWとなる。この電力を1年365日24時間絶え間なく消費するシステムが必要となる。それだけで、年間5万ギガワット時、電気代1kWh20円とすると10億円が出費、CO2にして2万7千トンが排出される。
その上、24時間の稼働を担保するためには、保守点検が怠れない。維持管理の為の百人規模の会社が必要になる。ひょっとすると、これこそが経産省の最終目標であるのかも知れない。なにしろ省庁と言うところは、天下り先企業を作るのがその主な仕事であるからである。
なんと言ってもこのシステムの欠陥は、何らかの事情で電源が喪失すれば、遮蔽壁としての能力が消え失せて汚染水が流出すると言う大きなリスクを抱えている事である。鋼矢板の壁を2重3重にする方がずーっと安心できると思うが、鋼矢板ではなぜダメなのか不思議である。
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