CSR(企業の社会的責任)としての資源生産性の向上を目指すEMS
ファクター5第七章「経済的手段」から
経済的手段と共通している自主規制と環境マネジメントシステム(Environment Management System, EMS)についての話である。これは、法律で定められた規制値に縛られるものではない。産業は本質的に国家が法律によって規制をすることには反対である。自主規制は1970年代にその起源を持つ。国家の規制によること無く、企業が自主的に設定した工程表に従い多くの目標を達成することができる事を証明している。
今日、これらの自主規制はCSR(企業の社会的責任)の範囲において行われている。特に公共の批判にさらされている企業、例えばシェル石油、ナイキ、マクドナルド、ウォールマートなどがCSRの先駆者であることは知られている。これは成功した企業が批判をかわす策にすぎないとの批判もある。しかし、もし環境負荷軽減と言う最重要課題が達成されるのであれば、それを行う動機は大した問題では無い。
EMSにおいて資源効率に関しては、ぼんやりとした目標しか示さないがCSRよりは、具体的である。一般的に、法規制を伴うEMSと、企業コンプライアンス以上の自主的マネジメントに分けることができる。EMSは、主に過去20年の間に開発され、当初は法的規制への対策としてつくられた。国際的環境マネジメントと言えるISO14000は1996年に作られ、2004年に実務化された。おなじみのPDCAサイクルを回すと言う手法が取られている。
EMSの長所はつぎのようにまとめることができる。
■スリム化:企業はEMSによって、水資源、エネルギー、金属資源の消費の削減を行う事で、コストの低減を行い財務の改善に貢献する事ができる。
■自主規制:国家による規制を受け止め、緩和した形で経営の状況に適応しながら規制を行う事ができる。
■権利の平等:高い環境スタンダードを有する国の企業は、投資先の国においても自国の高いスタンダードを守ることができる。
■報告義務の簡素化:EMSを実施している企業は、報告の義務を免除される。
■報告の改善:環境への取り組みをステークホルダーに対して発信する際に、共通言語を用いる事で効率よく伝えることができる。
■入札時の特典:EMSを導入している企業は入札時に優遇される。EMSを導入していない場合、該当する証明書が入札から除外される事もある。
■イメージの向上:EMSの導入は、企業の環境に対する責任の所在を明確にしているとして、企業イメージが向上する。
■ロゴマークの表示:認定された企業は、EMS認定企業の表示をする事が可能で、インターネット上の認定リストに記載される。これは、品質保証書としても機能し、国際的な団体からの推薦を受ける事もできる。
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