規模のメリットによる採算性を無視して小規模施設を数多く作る日本
ブログ管理人
ブログ管理人の知人からメールを貰った。知人は神戸でオーストリアのBDIと言うバイオディーゼル・発電プラントメーカーの日本代理店をやっている。メールによると農水省が推進している「バイオマスタウン計画」の無策さを嘆いている。
農水省はメタン発酵発電事業を全国で募集しその中で8都市が審査に合格した。合格したプロジェクトには50%の農水省からの補助金がでる。しかし、これらのいずれのプロジェクトも規模が小さすぎる。例えば愛知県大府市のメタン発酵発電は530kWである。世界中でメタン発酵発電の経験が豊富なオーストリアのBDI社のプラントは最低でも1500kWで、通常は3000kWの規模である。
メタン発酵発電は、都市排水のヘドロや畜産や食品残渣からメタン発酵させて発電を行うものであるが、このようなプラントでは本来採算性が最も重要であり、おのずと最小規模は決まって来る。プラントは小さくなると非効率的になるからである。最近始まった日本と違い、欧州のプラントメーカーは豊かな経験から最適な規模を割り出している。
一方、日本の事業者は補助金が目当てであるので、役所の顔色を見て予算を推し量った上でお眼鏡に叶うプロジェクトを申請する。将来、その事業が単体で採算ベースに乗るかどうかはそんなに重要ではない。赤字になれば投げ出すだけのことである。こうして過去にどの位の事業が作られ放棄されているかはご存知の通りである。
ゴミ焼却炉の規模も欧米と較べると極端に小さい。そのかわり数は多い。全国に1893の焼却施設がある。他の先進国と比べるとアメリカ168、ドイツ51、フランス100、イタリア51、イギリス7などとその差は歴然である。欧米では大規模にして燃やしたゴミの熱で発電をするのが普通である。日本では10%しか電力にされていない。これを見ても建設する事が目的であるのが良く分かる。
京都議定書の第二約束期間を離脱し、現在2020年までのCO2排出量削減目標も掲げていない日本では、農水省には特に目標達成圧力が無いためプラントの持続可能性にはそんなに興味が無い。今はそれよりアベノミクスとやらの掛け声で建設する事が大切である。薄く広くできるだけたくさん建設費を掛ける事が目的なのである。本気で再生可能エネルギーを増やして環境負荷を緩和しよう等と言うことは考えていないとしか思えない。
日本中のバイオマスプラントのプロジェクトを見ると全て、小規模で、建設目的も実証実験が主である。バイオマスプラントは世界では既に実証済みで、なぜ今更日本では実証実験をする必要があるのか、海外から完成度の高いプラントを輸入すれば済む事である。なんでもかんでも自前で作るのが日本株式会社流と言うのは、効率が悪く環境負荷が高い。
安倍政権が言うJapan is backと言うのは、1986年からのバブル経済をもう一度起こさせようと言うものである。取敢えず建設ラッシュを起こそうとしている。その為の火付け役にオリンピックやリニア新幹線を打ちあげて、日本全国に建設ブームを起こせば一時的には景気回復したと国民を欺く事ができる。その間に膨大な債務が増えようとそれは知った事では無い。アベノミクスには初めから持続可能性など存在しない。
オーストリアBDI社のURL:http://www.bdi-bioenergy.com/en-index.html |