国連は地球温暖化の進行は予測より遅いと認めた
ドイツ、ヴィルトシャフト電子版、2013-09-20
地球温暖化の速度は、これまで発表されていたよりも緩慢である事が分かった。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、第五次評価報告書(AR5)として今週金曜日(9月27日)に発表する。この最新の報告によると、1998年〜2012年までの14年間の地球の平均気温は0.05℃/10年の上昇で有った。前回の第四次評価報告書(AR4)では1951年〜2012迄の温度上昇は0.12℃/10年とされていたので、これに較べるとかなり緩慢な温度上昇であると言える。
2007年に発表されたIPCC(AR4)では今後の温度上昇を0.2℃/10年と予測し、この発表をしたことでIPCCはノーベル平和賞を受賞している。
第五次評価報告書で何故、これほど大きな差が出たかについては、予測していなかった急激な気候変動が、世界各地で数多く発生したためとしている。また、報告の中にはコンピュータ・シミュレーションがCO2の温暖化効果を過大評価したと思われる可能性が排除できないとの記述がある。
現在の欧州の地球温暖化対策は全て、このAR4で発表された予測に基づいて対策が取られている。欧州議会の自民党(FDP)代議員のホルガー・クラーマー(Holgar Krahmer)氏は、この新しい報告により、直ちに環境政策の修正を行う必要性が出てきたとし、一部の産業にとって致命的とも言える、CO2排出権取引の強化政策を取りやめるべきであると、ドイツの新聞ディ・ヴェルト(Die Welt)に語っている。
この記事を掲載したドイツの雑誌、Wirtschaft Magazin電子版のURL:
http://www.wirtschaft.com/20130920-bericht-un-klimarat-sieht-erderwaermung-deutlich-verlangsamt-138915
このような、環境懐疑論者はそれ見た事かと地球温暖化対策の緩和を主張する好材料であるが、0.05℃/10年は決して少ない上昇では無い。100年で0.5℃、200年では1.0℃の気温上昇であり、過去2万年に渡って0.5℃程度しか気温が上昇していない事を考えるとこの変化は十分に大きいと言える。ましてや、現実に気候の狂暴化は、世界各地で発生しており我々が身近に感じるものとなっている。その上、CO2濃度は本年7月に400ppmを突破し過去数十万年に無かったレベルに達した。
恐らく、安倍政権はこの発表をまるで鬼の首を取ったように発表し、日本が2013年から始まった京都議定書の第二約束期間から脱退し、2020年までのCO2削減目標も無くしてしまった「環境政策」を自画自賛することであろう。そしてそれを太鼓持ちのマス・メディアが囃したてるであろう事が予想される。
エネルギーを必要以上に消費をする上に組み立てられている今日の経済に持続可能性が無い事は明らかである。少ないエネルギー消費で豊かな暮らしができるような、新しいパラダイムにして行くのがグリーン経済への移行である。例えIPCCの予測の数値が変わったところで、地球の温暖化が人類の営みに起因していることには変わりは無い。人類は地球に住む生命体の一部であり、他の生命体の生存を脅かす権利は持っていない事を知るべきで、これから繰り広げられるであろう、反環境対策キャンペインに騙されてはならない。ブログ「ダンテの森」は正視眼で見守って行く。 |