温室効果ガス排出削減目標の大幅後退は容認できない
気候ネットワーク、2013年10月2日
認定NPO法人気候ネットワークの代表、浅岡美恵氏は同団体HP上で日本政府に向け提言している。小ブログは賛同の意を表し掲載する。
昨日、10月1日の関係閣僚会議において、日本の温室効果ガス削減目標を2020年までに2005年比6%か7%減程度とする方向で調整に入ったと報じられました。同日の記者会見で菅義偉内閣官房長官はこの報道内容を否定していますが、ここで示された削減は実質1990年の基準年よりも増え、京都議定書第一約束期間の6%削減よりも緩いものであり、もしこのような方向での検討をしているとすれば、到底、市民社会や国際社会から受け入れられる数字ではありません。
先週、IPCC第5次評価報告書第一作業部会の報告書が発表され、地球温暖化が人類の活動によるものであることはほぼ確実で、気温上昇や海氷や氷河の融解、海面上昇の推移などについての非常に厳しい現状と将来予測がつきつけられました。この報告書に基づき、各国政府は、温室効果ガスの大幅削減に向けた行動と選択をすることが求められています。
気候の危機を回避するために、気温の上昇を産業革命よりも前に比べて2℃におさえるという国際合意がなされています。そして、世界第5位の温室効果ガスの大量排出国である日本には自ら削減する非常に大きな責任があり、そのための目標設定と行動を示すことが重要です。
2009年に国際的に発表された1990年比25%削減という日本の2020年目標を、安倍首相はゼロから見直すと表明し、来月ワルシャワで開催されるCOP19 までに日本として新しい削減目標を提示するかが注視されています。しかし、報道のような後退する方向で検討されるなら、気候変動問題へも国際交渉にも全く貢献できないものになりかねません。
2009年の麻生政権時、中期目標検討委員会で示された中期目標の選択肢でCO2排出量を90年より増やすオプションや京都議定書の目標値よりも低いオプションが提案され、国際的にも非難の声があがりました 。その当時よりもさらに後退する目標を提示するようなことになれば、世界からさらなる批判を浴びることは明白です。
<以下略>
気候ネットの提言全文URL: [url]URL: http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2013-10-02.html[/url]
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