築85年の平和不動産本社ビルがDBJ Green Buildingゴールド認証を受けた
Finance Green Watch 2013-10-10から
日本政策投資銀行(DBJ)は、平和不動産株式会社(本社:東京都中央区が所有する日本橋・兜町の「日証館」ビルに対して、同行が実施している「グリーン不動産認証」で最上位に次ぐ格付けの「ゴールド」の評価をした。同ビルは築85年という古いビルだが、省エネ改修や耐震性改善に加えて、建物のライフサイクルコストを低減させるなどの効果を評価した。また歴史的建造物としての価値も評価に加えた。
政投銀の認証制度(DBJ Green Building認証)は、不動産を収益性だけでなく、環境性能や防災・防犯機能、社会的配慮などの視点から評価する制度。今回の「日証館ビル」は、兜町の旧渋沢栄一邸の跡地に昭和3年に建設され、東京証券取引所ビルとともに証券業界の歴史を担ってきた建造物。しかし、時代とともにリノベーションを実施し、現在も平和不動産の本社ビルとして利用されている。
今回の評価では、以下の点を高く評価した。
(1) 2年にわたる省エネ改修工事により、高効率空調機を新たに導入し、専有部全体の照明をLEDに切り替えたほか、Low-eペアガラスやBEMS等の最新の省エネ技術も取り入れ、環境配慮を行っている点
(2) 耐震診断基準に基づく補強により新耐震基準同等レベルを満たしたうえで、さらなる高い耐震性能を目指して耐震補強工事を実施しているほか、防災備蓄倉庫を設置し、周辺の帰宅困難者を想定した受入体制を構築する等、地域を意識した防災対策を行っている点
(3) 既存ビルを85年利用することにより、建築物のライフサイクルコストを低減させるだけでなく、兜町における歴史的価値の保全にも貢献している点
その結果、「極めて優れた「環境・社会への配慮」がなされたビル」として、「Gold 2013」の認証を付与した。
なお、50年超の築年数を有するサステイナブルビルディングに対するグリーンビルの認証は今回が初めて。政投銀は、世代を超えて社会インフラとしての役割を担い、現代社会に要請される環境配慮を実現しながら、将来にわたって価値を維持していく不動産の評価を継続していくとしている。
昔の石造ビルは、壁厚が厚いため2重ガラス断熱窓枠に改築し、エアコン機器を最新のものにする等するだけで低エネルギービル化が容易である。ニューヨークのエンパイヤステートビルディングは80周年記念事業として2010年に550億円をかけてグリーン化改築を行いプラチナLEED認証を受けているが、改築以来年間22億円のエネルギー料金が削減されている。これがモデルとなり、米国の大都市の歴史的建造物の省エネ・レトロフィットがブームとなっている。(小ブログ2013-07-06参照)
原文URL: http://financegreenwatch.org/jp/?p=37078 |