新たなエネルギー政策で世界のエネルギートリレンマを克服――WEC2013大邱
WECプレスリリース2013-06-16大邱発、
世界のエネルギー専門家5000人が集って10月13日から韓国大邱で開催中の第22回世界エネルギー会議(3年毎に開催)で、朴槿恵(パククネ)大統領が10月16日にこの日の国際会議「エネルギー・トリレンマ対策」の基調講演を行った。
世界のエネルギーのトリレンマ(三重苦)である、安定供給、公平性、気候変動問題への対応には、世界エネルギー会議(WEC)が指摘するように、国際協力体制が必要であるとし、その構築に向けて韓国はリーダーシップを取る用意がるとスピーチした。
大統領は、この要請に応える為には特にエネルギー生産国とエネルギー消費国間の相互協力が、エネルギー市場の安定性の確保に必要であるとし、特に生産国と消費国が混在するアジアにおける協力体制が重要であるとした。
北東アジアにおいては、1980年代の冷戦構造の真っただ中において、欧州とロシアの間で結ばれた、天然ガスパイプラインの様な、新たなエネルギー協力イニシアティブを作る必要があるとした。
大統領は、北東アジアは中国、北米さらにロシアのシベリアにおけるシェールガスの開発と輸送に関しての国際協力も可能であるとし、その為に、電力網、ガスパイプライン、オイルパイプライン等のインフラを整える為の政治環境を例えば「エネルギー憲章に関する条約」のように公共および民間の双方が出資する枠組みをつくる必要があるとした。
さらに、世界は伝統的なエネルギー依存型経済から脱皮して、省エネルギー技術、スマートグリッド、LED、低燃費交通機関など環境保護を中心とするエネルギー創出型経済へと移行しなければならない。しかし、この目標達成の為に政府は資金を必要とし、その為の国民の理解を得る必要があるとした。
経済社会は、クリーンで安全で、全ての人に持続可能なエネルギーを供給する事を新たなエネルギー政策とすることに同意しなければならない。この政策にはどうすればエネルギー効率向上への意欲増進、エネルギー資源の公平な分配、クリーンエネルギーと省エネ技術の開発へのインセンティブが持続できるかを考慮した新たなエネルギー価格の枠組みを作る必要があり、韓国はその為に世界のリーダーとなる用意がある。大統領は、彼女の経済創出政策を基本にして世界のエネルギー・トリレンマ克服を進めて行きたいとした。
経済創出のパラダイムはエネルギー産業にICT技術によるエネルギー効率改善や蓄電技術(ESS)やエネルギー・マネージメント・システム(EMS)で、100万キロワット当り3500億円の市場と15000人の職場を創出するとしており、エネルギー産業こそが将来の新しい経済創出の原動力になるものであると結んだ。
同会議では、14日に東電の相澤副社長と電事連の八木会長が、日本では再生可能エネルギーによる電力供給は限定的であり、中期長期的に原子力が日本のエネルギーミックスにおいて最重要であるとし、福島事故の教訓から安全技術を確立して世界の原子力のリーダーになる事が日本の使命であると講演しており、16日のパク・クネ大統領の基調講演や今回の会議のテーマとは異種のスピーチを行っている。
原文(英文)URL:http://daegu2013.kr/eng/media/board.do?_method=BoardDetail&boardtypenum=53&boardnum=1740 |