ダンテの森    
23 Oct 2013 03:25:09 pm
環境問題入門書
脅威には「悪性の脅威」と「良性の脅威」がある――米本昌平著「地球環境問題とは何か」
ブログ管理人

 読書の秋である。

 秋の夜長に、ひとつ環境問題の本でも読むかと考えて居られる方に格好の一冊をご紹介する。

 米本昌平著「地球環境とは何か」岩波新書である。筆者は科学史家であるので、環境問題そのものを、歴史的な背景を考慮の上でほぼ時系列的に環境問題を記述しており、筆者自身は環境保護派でも環境懐疑派でも無い立場で書いている。

 環境問題と言うのは地球が温暖化し人類の未来が危ういと言う脅威を訴え、それに何か対処しなければならないとするものであるが、この本では脅威には悪性良性の二つが有ると説く。

 核の脅威は「悪性の脅威」で引用すると、「米ソ超大国の政治家、官僚、科学技術者がこぞって核戦争の脅威を確度の高いものと確信し、少なくともそう主張し、対応策に血道を上げた。こうして、人類史上空前の大規模な科学技術動員によって後世の人間に残されたのは、大量の核兵器と戦車だった」

 環境問題は「良性の脅威」でやはり引用すれば「もし世界中の科学技術者、官僚、政治家そして国民が、地球環境問題を深刻な脅威と受け止め、これに向けての技術開発と設備投資に非合理な程資源を投入したとする。そしてもし、来世紀になって地球温暖化の予測が誤りであることがわかったとしても、後世に残るものは、省エネルギーや公害防止に対するノウハウとその装置の山である。地球環境問題とは、将来の世代にとって、何と幸いな脅威であろう。」としている。

 さらに「歴史のうねりは、その時代その時代の多くの人々が確信し共有する価値や世界観によって作り出されて行く。そして長い時間をおいてみれば、どのような価値観や世界観が選びとられるのかについても根拠は、あいまいである場合が多い。」と、時代の流れは突き詰めるところは多くの人々が作りゆくものであるとしている。

アマゾンURLは次の通りである。http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%92%B0%E5%A2%83%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%B1%B3%E6%9C%AC-%E6%98%8C%E5%B9%B3/dp/4004303311
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