半導体政策の失敗、原発政策の失敗、いずれも認めようとしない日本
ウォールストリートジャーナル2013-10-25によると、韓国のサムスン(Samsung)電子の2013年、第3四半期の経常利益は前年同期に比べて25.6%増の8兆2400億ウォン(約7300億円)と史上最高益で、この7四半期連続で経常利益を増やし続けている。
世界のスマートフォン市場では、アップルとサムスンのビッグ2の独壇場で、続く中国のスマホメーカーは巨大な2社の間で苦戦を強いられている。また、液晶TV市場では、サムスンと同じ韓国のLGが市場を席巻している。かつてのエレクトロニクス産業の雄であった日本の姿はそこには見えない。
日本の政府も半導体メーカーも経済界もこの日本の半導体の凋落を調査し、その責任を糾弾する気は無いようである。日本のマスメディアは、韓国の安値攻勢に日本は負けたと報道し、国民はそれを真に受けているが、事実はそうではない。アメリカのウォールマートなどの巨大スーパーの家電売り場の一番良い場所に展示されているのは、サムスンやLGの50型以上のスマートTVでその価格は4000ドル(約40万円)以上である。日本製はと言うと通路に段ボールに梱包したままで、42型で500ドル以下のプライスタグが付いている。要するに安もののたたき売り商品が日本製である。日本の量販店であるヤマダ電機やヨドバシでも韓国製は技術でも価格でも日本製より上だと言っている。
この実態を日本のマスコミは報道しようとしない。決して韓国製の安値に負けているのでは無い。デザイン、機能、性能ではっきりと負けている。海外の携帯電話ショップのウインドウに日本製のスマホは並んでいないし、ましてやガラパゴス携帯は海外では皆無である。今度は高精度画面の4KTVが今年の目玉と業界は宣伝しているが、4KTVで見れるコンテンツはまだ無いのに、売れると思っているところが凄い。
この原因は、日本の半導体政策の失敗によるものである。1980年代当時の通産省機情局を中心として、産総研などが立てたシナリオ「メモリーは産業の米である」の下、日本の半導体メーカーは、大容量メモリーを如何に安価に提供するかにしのぎを削った。各半導体メーカーの研究所の研究テーマも微細加工技術いわゆるナノテクに注力された。メモリーの研究には巨額の補助金が出されたので、各社の研究所はメモリーだけを研究していた、その結果が今現れているのである。
半導体工場では病院の無菌室とは較べものにならない高度なクリーン度が要求される為に、その為の空気清浄システムが巨大になる。また、微細加工を行う工場は振動を嫌う為に基礎を地下深く掘って巨大な人口岩盤を作った上に建てられる。巨大土木工事である。その為半導体工場は数千億円規模の投資となる。消費電力は数十万世帯分の電力を消費する。半導体産業は、エネルギー依存産業の典型である。すべからくエネルギー依存度の高い産業には持続可能性が無い。役所主導で半導体は失敗した。原発政策も同じである。どちらにも反省が無いので、今後も又失敗が続くのだろう。 |