ニューヨーク、2047年に気温の転換点−平均に戻らない見通し
ブルームバーグ2013-10-09ニューヨーク発
気候の転換点とは、倒れたワイングラスのワインがグラスを元に戻しても元には戻らないように、これまで行きつ戻りつしているかに見えた気候の変化が、もう二度と元には戻らない一点の事である。覆水盆に返らず、英語ではTipping Pointである。
ニューヨークの気温は上昇し2047年以降は過去約150年間の平均気温に戻らないとの見通しが9日、科学誌「ネイチャー」に掲載された研究論文で示された。
同研究によると、各年の平均気温が1860−2005年の平均を超える「クライメート・デパーチャー(気候離脱)」が起きるのはインドネシアのジャカルタとナイジェリアのラゴスで2029年、北京で2046年、ロンドンで2056年と予想される。
同研究は、温暖化で絶滅に追い込まれる種が出るほか、食物供給が危機に陥ったり病気がまん延したりする恐れがあるとして温暖化ガスの排出削減の緊急性を訴えている。2050年までには50億人が極端な気候に見舞われ、移民や天然資源争奪が活発化し暴動や混乱のきっかけとなる可能性があるという。
ハワイ大学マノア校の地理学者で研究報告の主要執筆者であるカミロ・モラ氏は「結果は衝撃的だ。想定に関係なく変化は間もなく起きるだろう。私の世代に、これまでなじんできた気候が過去のものになりそうだ」との声明を発表した。
モラ氏は電話会議で記者団に「熱帯地域は世界の他地域に比べて15年早く前例のない気温上昇を経験する見通しだ。われわれはこの研究を開始した時には非常に保守的な見方をしていたが、こんなに早く変化の一部が起きる可能性があるのはかなり意外だった」と述べた。
原文URL: http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MUFDXC6KLVSM01.html |