自然環境を破壊するプラスチック袋削減を決議ーー欧州議会
ENS-Newswire 2013-11-04 ブリュッセル発、
EU加盟国の28カ国は今日、買い物用の軽量プラスチック袋、いわゆる「レジ袋」の使用の削減を採択した。いかなる方法で削減を図るかは各国に委ねられた。
これはEUとしての禁止法では無いが、将来そのような禁止法が制定されることは今後検討される。EC委員会としては、この類の規則が与える影響の規模は各国事情により異なる為に、各国がそれぞれ最も効果的と判断する方法で対処する事が期待されている。今回の提案では、各国がこの目標達成の為の最上の方法を選ぶ事が求められている。
レジ袋の問題は、ほとんどが一度しか使われない事にある。その為に大量に消費されるが、廃棄された後に自然環境に放置されると100年近くも形を変える事なく残り続けて、自然環境や生物、特に海洋生物に害を与える。
欧州全体で年間、約100億枚が消費されている。いくつかの加盟国では、既に対策を講じてその効果が出ている。まだ対策を取っていない国がこれら先行諸国の例に倣って実施する事で、80%の削減が可能であると予測されている。2010年には欧州において98.6億枚が製造されている。これは一人当たり年間198枚となる。
一人当たりのレジ袋消費量は国により大きく異なる。環境意識の強い、デンマークとフィンランドでは年間一人当たり4枚の消費であるが、ポーランドでは466枚で、ポルトガルやスロバキアもその程度である。アイルランドとデンマークではレジ袋税が実施されているが、この効果も有ると思われる。
技術的アプローチとしては、包装の方法とゴミ処理の二つに分けた戦略が考えられよう。厚み50ミクロン以下のプラスチック袋の製造を禁止する方法も有る。2011年にEC委員会が行った調査では、生分解性プラスチックの使用が最も望ましいとの結果がある。また、課税する、有料を義務付ける等、国情に合わせたアプローチが考えられる。
使い捨ての買い物袋など、50年前には想像もつかなかったものであるが、今は僅か数分間の使用でゴミと化すレジ袋が溢れており、正しく処理されないレジ袋は、100年間もの間自然環境を破壊し続ける。特にレジ袋が海に達した場合には、海洋生物に与える被害は甚大である。地中海だけでも、250億個のプラスチックゴミが浮遊している。海洋生物の267種は浮遊プラスチックを、餌と間違い呑み込む。北海の鳥類の94%の胃袋からプラスチックが発見されている。絶滅危惧種の、ミドリガメ、ウミガメ、オサガメ、黒足アホウドリ、イルカやクジラ類が全てプラスチック被害を受けている事が分かっている。
このEUの決定により、近いうちに欧州からレジ袋が消えることになることが期待されている。日本では一人当たり年間300枚のレジ袋が消費されている。
原文URL: http://ens-newswire.com/2013/11/04/eu-countries-will-each-choose-how-to-limit-plastic-bags/ |