国連気候変動枠組み条約締約国会議でフィリピン代表がアピール
COP19 2012-11-11の各国の報道から、
11月11日から22日までポーランドの首都ワルシャワで開催されているCOP19(国連気候変動枠組み条約締約国会議)は、フィリピンを襲った巨大台風30号の日債を訴えるフィリピン政府代表団の特別アピールが会場に緊張した雰囲気をもたらした。
条約事務局のフィゲレス事務局長は開会のあいさつで、「深呼吸して下さい。私たちが炭酸ガス濃度が400ppmを超えた空気を吸った初めての人類です。破壊的な台風がフィリピンやベトナムを襲っています。」と述べた。
その後、演台に立ったフィリピン政府代表のイラーガさんが、代表団の一人イエブ・サノさんの兄弟がこの台風の犠牲になった事を告げ、世界は地球温暖化対策に結論を出さなければなりません。それは何時でしょうか。今なのです。」と涙ながらに訴えた。
会議参加国は195となり、これまでの最高であった京都会議の190カ国を上回った。参加者はこの後全員で、台風の犠牲者の黙とうをささげた。
COP19の準備会議では、これまでには無く米国が会議のリーダーシップを取り、進められた。昨年の米国の大統領選挙戦の終盤で米国東部を襲ったハリケーン・サンディーがオバマ大統領の再選を可能にした記憶は新しい。
このような、国際会議には、会議の雰囲気が大きく作用する。台風30号の強烈なインパクトが会議参加者の当事者意識を掻き立てる事で、会議が前向きになり、思いもかけぬような結果が導き出せる場合が有る。
会議のホスト国であるポーランドはEUの中では最も石炭依存度が高く、環境対策には後ろ向きな国で、EUとの共同歩調を取る事ができていない。ホスト国の環境大臣が議長を務めるのが慣習となっている国際会議では、ホスト国が会議の雰囲気を作る。今回の会議では、成果は余り期待されておらず次の2015年パリ開催へ向けての地ならしができれば成功であるとの見方が多かったが、台風30号が、ハリケーン・サンディーがオバマ勝利へと導いたようにCOP19から予想外の成果が出てくる可能性に期待したい。
それにしても、CO2削減目標の上乗せどころか、大幅後退目標を携えて参加している日本に対し「ただ乗り日本」との冷ややかな視線に対し、日本は途上国への環境対策援助金額の多さを強調する事でその批判を避ける事に終始するのだろう。 |