フィリピン代表が同胞に連帯して、会議での実りある結果が出るまで断食を決行
ENS Newswire 2013-11-12 ワルシャワ発より、
場馴れした環境外交のベテラン交渉官達が、フィリピン代表団のナデレブ・サノ(Nacerev Sano)氏の感情を込めたスピーチに聞き入り、中には涙をぬぐう姿も見られた。
サノ氏は各国政府代表に対し、今フィリピンで起きている惨状を一人一人が心に思い浮かべながら、気候変動を緩和する対策への決定をこれからの10日間の交渉にあたってもらいたいと述べた。
サノ氏は、この会議で実りの有る結果が出るまで、フィリピンの同胞と連帯する意味から食事を絶つ「断食」を表明した。
サノ氏は、「このワルシャワ国立競技場に集まっている世界の代表と、今実際に気候変動による被害を受けている人達が繋がることで、世界を危険から救い出す事を可能にする」と述べた。
さらにこれからも、気候変動と言う事実に、懐疑的あるいは反対の立場を取る人々に対し、「あなた方が今いる象牙の塔の柔らかいソファーから立ちあがり、現実を見る事をお願いしたい。あなた方には是非とも、太平洋、カリブ海、インド洋の島々を訪ねて海面上昇の実態を自らの眼で確かめてもらいたい。ヒマラヤ、アンデスの山岳地帯へ行って溶けた氷河の水で浸水している町や村を見てもらいたい。北極の氷が溶けたことで、極地に住む人々の生活をどんなに厳しいものにしているかを見てもらいたい。メコン、ガンジス、アマゾン、ナイルの巨大な三角地帯で起きている水位の上昇による人々の苦しみを見てもらいたい。アメリカ大陸を襲うハリケーンの爪あとを見てもらいたい。昨年、アメリカ東部を襲ったハリケーン・サンディによる被害に苦しむ人々を見てもらいたい。気候変動は、今や生死の問題となっているのです。これらを見てそれでも足りなければ、今すぐにフィリピンへ行ってその惨状を体験すべきです。」
サノ氏はさらに、「今、私の兄弟を含め故郷の人々は、食べるものが無く空腹を抱えながら、毎日死体を掘り出しているのです。私は、彼らに連帯する意味から自発的に断食に入ったのです。」
台風30号は、中心気圧895hpa、最大風速98m、直径600kmと言う過去の記録には無かった最大級の台風であった。
原文(英文)URL:
http://ens-newswire.com/2013/11/12/philippines-climate-negotiator-vows-hunger-strike/ |