日本の電力業界が現状維持に固執している内に海外では電力のグリーン化が進む。
ブログ管理人
日本の電力システムは10電力が独占で安定供給をしているので、諸外国に較べて日本の電力は安定していると言う事を、誰しも耳にした事が有ると思う。また、米国のエネルギー事情はずぶぬれの雑巾のようなもので、いくらでも絞れば水が出るが、日本では省エネが徹底して行われているので乾いた雑巾のようなものであるとも聞いた事があると思う。これは、電力業界と電力業界から施しを受けている評論家の行っている台詞である。
そんな事を言って日本で何もしていない内に、米国オバマ政権は本気で経済のグリーン化に取り組んでいる。一つの例は米国の商業ビルのグリーン化が進んでいる事である。今回ジョンソン・コントロール社が発表した「2013グローバル・エネルギー効率指標」によると、調査対象の3000のビルオーナーの内、2012年には5%しかグリーンビル認証を受けていなかったが、2013年には29%に跳ね上がっている。
なぜグリーンビルにしたかとの問いには�．┘優襯�ーコストを減らす為、�∪�府からの促進と補助、��資産価値の増強、�ぅ屮薀鵐疋ぅ瓠璽幻�上、�ヅ杜呂琉汰簡歉磴僚腓箸覆辰討�り、政府からの働きかけがその動機となっている事が良く分かる。
LEEDグリーンビル認証を行っている非営利団体USGBC(米国グリーンビル協会)は、認証基準のアップグレードを行いLEED v.4をリリースした。今回の変更はビル側がこれまでよりももっと高速にデマンド・レスポンスに反応できるようになっている。
これまでのデマンド・レスポンスでは、電力網からの要求によりビル側の優先度の低い電力の使用をカットしたり、空調の設定温度を変更したりするなどであった。2013年のEEIの調査によると全米の商業ビルの14%がデマンド・レスポンス契約を結んでいるが、まだまだ電力網が要求する変動量をカバーできる量には至っていない。
次の段階として要求されているのは、自動デマンド・レスポンスで、これには1時間、10分、4秒応答のカテゴリーがある。自動デマンド・レスポンスでは、ビル側に通知を送った後、これらの時間後に送電をカットあるいは削減するので、4秒応答はリチウムイオン蓄電池システムを備えている必要がある。
次のスマートグリッドの目指す方向は、電力の安全保障の為のマイクログリッド化である。昨年米国東海岸を襲ったハリケーン・サンディーで送電網が寸断された時に、地元にソーラーパワー発電所が有るのに関わらず、電力を送電も供給もできなく、地元は恩恵に預かることができなかったという教訓から、送電網のマイクログリッド化が必要となってくる。
このように、米国ではグリーン化が進められているが、日本では10電力会社が地域別独占で発送電全てを行っている為に全く手が付けられていない。発送電分離は1990年代に一度日本でも論議されたが、その頃発生したサンフランシスコでの大停電が自由化された送電網のトラブルによるものであったと言う事で、日本の電力の安定供給には発送電分離は必要無いとの電力業界と通産省の首長が通った。本年4月に一旦閣議決定された発送電分離は、国会審議が先延ばしとなり、7月に閉会となった為に廃案となった。
11月13日に電気事業法改正が国会で可決され発送電分離に一歩前進したかに見えるが、10電力(電事連)と経産省は、独占体制を守るために発送電分離と脱原発だけは何としても阻止する構えであり2015年の発送電分離法案提出までに骨抜きにされる可能性が高い。こうして、日本の経済のグリーン化は世界から遅れて行く。
Energy Efficiency Indicator 2013(pdf): http://www.institutebe.com/InstituteBE/media/Library/Resources/Energy%20Efficiency%20Indicator/EEI_NorthAmercia_FS-2013.pdf |
進む米国の電力改革
