温暖化対策:日本政府の「攻めの戦略」途上国は評価せず
毎日新聞 2013年11月16日 11時06分
【ワルシャワ阿部周一】途上国への約1兆6000億円の資金支援などを盛り込んだ「攻めの地球温暖化外交戦略」について、日本政府がポーランドで開催中の国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)で途上国に説明したところ、全く反響がなかった。政府交渉団筋が明らかにした。
政府交渉団は15日、後発途上国や島しょ国の交渉グループと相次いで会合を開き、新たな戦略について説明した。ところが、同時に発表した温室効果ガス削減目標「2020年までに05年比3.8%減」に批判が集中し、資金支援を歓迎、評価する意見はなかったという。
政府関係者は「2009年発表の資金支援(2010年からの3カ年で約1兆5000億円)とほぼ同規模である上、削減目標後退の衝撃が大きかったのでは」と話している。肝心の削減目標が従来より大幅に後退しており、途上国の失望感を招いたとみられる。
日本の新戦略は「美しい星への行動」と銘打ち、2013〜2015年に官民計約1兆6000億円の途上国支援を約束。これは途上国がCOP19で先進国に求める資金総額の約3分の1を占める。現時点で資金支援を発表した先進国は日本だけで、政府としては低い削減目標への批判をかわす狙いもあった。
新戦略はこのほか、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留などの技術革新に官民計11兆円を投資することや、途上国の省エネ事業などに資金や技術を提供し、その事業で減ったCO2排出量を日本の削減分とする「2国間クレジット」の署名国数を倍増させることなどを柱に据えている。
毎日新聞URL: http://mainichi.jp/feature/news/20131116k0000e040205000c.html
以上が毎日新聞の報道であるが、途上国支援金が途上国から支持を得られないのにはもう一つ理由が有る。日本の資金援助(ODA)は、日本からの資材や設備の購入に限られる紐付きである場合が多いからである。例えば、ある途上国が日本のODAを利用して風力発電所を建設しようとする場合に、この分野で先行している欧米のメーカーを含めた国際入札をして選択するなどの自由裁量は無く、日本のメーカーの中から選ばなければならないと言う制限が有る場合が多い。建設後の維持管理費用なども含めて考えると長期的には高いものに付く可能性も有る。この1兆6000億円は税金を日本の産業に還流する仕組みに過ぎないのである。
バングラデシュやツバルなど低地に国土を抱える国は、数10cmの海面上昇も死活問題である。日本の経済を助ける手伝いをさせられるODAよりも、実質的にCO2排出を減らして欲しいのが途上国の願いである事を日本政府に分かってもらいたいのだ。
全てのエネルギーの40%を消費している建築物を低エネルギー建築に改築する事を徹底して進める事で、間違いなく20%のエネルギー消費の削減は可能となる。これを行う事で建設業の売り上げは増加し、雇用の増加も起きる。大きく後退するのは電力需用だけで、痛手を被るのは電力業界だけであり、原発再稼働の必要も無くなる。「エネルギーは足下に有る」のだ。 |