年間170万トンのCO2を排出する飲料水自動販売機は「犯罪」?
ブログ管理人
先日、ドイツから来ていた技術者と話す機会があった。彼は、工学博士でドイツの特殊な化学プラントメーカーの営業を担当している。彼は野立ちの飲料水の自動販売機が目に付いたらしく僕にいろいろと質問してきた。
最初の質問は、アルミニウム缶での飲料水の販売は資源の浪費であると言う。僕が、いや日本では100%アルミニウム缶は回収されリサイクルされていると説明したが、ガラス製のリタ―ナルビンの方が省資源であると言う。確かにドイツのスーパーマーケットではアルミニウム缶やペットボトルでの飲料の販売はしていない。すべてリタ―ナルのガラス瓶であり、それで事が足りている。なぜアルミニウム缶で販売しなければならないのかと聞かれ、それは自動販売機で売る必要が有るからだとしか答えようが無かった。
次の質問は、日本のようにコンビニエンスストアが多い国は見た事が無い。こんなにコンビニが有るのになぜその上に、飲料の自動販売機が必要なのかと言う。それに対しては、コンビニよりも数が多い自動販売機の方が更に便利が良いからであるとしか答えようが無かった。
タクシーで移動の途中彼は窓から見える自動販売機を数えはじめ、一体どれくらいの自動販売機が有るのか知っているのかと聞くので、僕が知っているかぎり、約600万台が日本全国に設置されており、一台0.5kWhの電力消費として約300万kWhの電力を消費していると言うと、彼は即座に「それはもはや犯罪である!」と言った。
ドイツやEUが省エネを必死になってやっているのは、これまで先進国が排出して来たCO2のせいで気候変動が起き、先日のフィリピンの超大型台風のような気候の狂暴化が起き、その為に何千人もの人命が失われるのを今後少しでも回避しようとしているからである。それにも関わらず日本の様な技術先進国が、僅かな利便性を追求する余り、年間170万トンものCO2を大気に放っている事は犯罪としか言いようが無いと言うのである。
僕が、いやしかしこれは利便性の追求だけではなく、この清涼飲料水販売で6万人に職場を提供しているのだと言うと、「それは環境問題に対する反論の標準的な答えだ。それを言っていたら何も変わらないよ。」と言われてしまった。彼は特に環境意識が高い部類の人なのかも知れないが、政治家でも環境保護運動家でも無い一人の技術者である。ドイツ人の環境問題意識の高さを改めて感じさせられた。 |