環境先進都市であった江戸にはゴミは存在しなかった
東洋学術研究(通巻171号)より、
特別秘密保護法は、政府与党自民・公明の数の力で国民の反対の声は無視されてしまった。昨日は日比谷野音は溢れるほどの人が集まり、一部の過激な運動家は国会突入も試みたようだが鉄壁の機動隊には全く歯が立たなかった。政府は原発を電力の基本にすると、改めて発表し閣議決定もするとのこと、反対運動の種は尽きない。これを機会に市民運動が燎原の火のように広がって行くことを望むものである。
ブログ管理人の仲間は、今日忘年会を兼ねて江戸東京博物館に江戸時代のエコライフを勉強に行っている。ぼくはつまらない所用の為に参加ができず誠に残念である。最近届いた東洋学術研究に先日のパネルディスカッションにも参加してくれた創価大学の山本修一教授が江戸時代のエコシステムについて寄稿しているので、そこから抜粋して紹介する。
ファクター5の著者ヴァイツゼッカーは日本の環境政策の3Rつまり、レデュース、リユーズ、リサイクルを優れた考え方として紹介しているが、江戸時代にはさらにリペアとレンタルが加わって5Rの産業が循環型社会を構成していたと紹介している。
リペア(Repair)修理:修理する事で長く使用すること。壊れたものを修理する職業が多数存在した。瀬戸物や茶碗を接着して修理する焼継屋(やきつぎや)、提灯や傘の貼り替え屋、鍵の修理屋、鍋釜修理の鋳掛屋、刃物を研ぐ研ぎ屋、鋸の目立て屋、樽や桶の修理の箍屋(たがや)が居た。
リユーズ(Reuse)再利用:そのままの形で再利用すること。古樽、古着、履物、日用雑貨などが再利用され、1182軒の組合員が登録されていた。
リサイクル(Recycle)再資源化:新たな製品を生み出すこと。イネは農村部では玄米で食用にされ、精米は年貢や都市部で販売された。籾殻は堆肥となり、藁は履物、帽子、前掛け、むしろ、袋、屋根材に使われ、使い古したものは堆肥や燃料となり、灰は肥料となり廃棄物はほとんど無かった。都市のし尿は肥汲み業者が買い取って農家に肥料として売り、かまどの灰は灰買い商人が買って農家に肥料として売る。その他、紙、金属、古傘、衣類など買い取り業者がたくさん存在した。(左の絵は古傘買い取り商人)
レンタル(Rental)貸出業。貸本屋、貸家などが数多くあった。
レデュース(Reduce)節約。江戸幕府は武家にも指示を出しており、着ものを新調する際には、同じ柄の着ものを一家で複数枚注文する事で、家族で使いまわしや破れた時のつぎに使えるなど細かく指導している。
近代の欧州の都市ではし尿の処理に有効な手段がとれず、河川の汚染が進みペストやコレラが猛威をふるったが、江戸ではし尿は「肥だめ」と言う嫌気性コンポスト装置で処理をしていた為に病原菌は死に絶えて上質の肥料となっていた。その他さまざまな持続可能性の高い資源の循環システムが形成されていた。(右の絵は汲み取り屋) |