欧州の電機産業が捨てた原子力産業を拾い集めて起死回生を図っている。
ブログ管理人
英国の原発企業ニューゲン(Nugen)に出資していたスペイン資本イべルドラが撤退しようとしているのを東芝が肩代わりして140億円を出資した。英国ではすでに日立がホライゾン・ニュークリアーパワーを買収している。ブルガリア政府は、自国の原発新設の企業アライアンスに東芝の出資を求めている。
欧州の企業は、原発の将来に見切りを着けて逃げ道を探っている。ブログ管理人が長年勤めていたドイツのシーメンスは福島の惨状を見て、原発関係の部門から撤退を決め、2011年9月18日にフランスのアレバに譲渡した。これまで、シーメンスが切り離して来た数々の事業部門は、その後全て不況業種になっている。シーメンスが電気部門を持つ銀行と呼ばれている所以である。
欧州企業が撤退しようとしているところに居場所を見つけたのは、日本の三菱、日立、東芝のようで、半導体工場を売却した資金で積極的に海外の原子力関係企業の買収を続けている。
日本の電機産業の低迷は想像されているよりも深刻なものであるらしい。最近メディアは、日本の電機メーカーが一斉に中国のテレビ市場から撤退したとさらりと報道していた。人口14億人の巨大な成長途上に有る市場からの撤退の大ニュースであるが、それをさらに深堀りして報道するメディアは無い。それほどに状況は深刻なのだろう。
これまで、日本の成長を支えて来た電機は、自動車とならぶ産業の柱であった。しかし、テレビをはじめとする茶もの家電、洗濯機などの白もの家電、PCや携帯と言った情報家電、そのいずれも世界の市場から取り残されてしまった。その理由は、メディアがつねに強調する韓国勢の低価格政策に負けたと言うのは本当の理由では無い。日本の電機産業は世界市場のニーズをキャッチできなかったのが原因である。マーケティングの弱さもさることながら、システム開発の為の基礎技術が劣っていた為に、市場の変化について行けなかったのである。
その責任は経産省にある。経産省がリードし電機メーカーはお上の言うなりにしてきた結果がこの体たらくとなったのである。経産省は記憶素子を「産業のコメ」と呼び記憶素子を制するものは世界のエレクトロニクス市場を制すると囃したてて、NEDOの補助制度を使って高性能メモリーの開発を各社に勧めた。今年の3月に超先端電子技術開発機構(ASET)と言う研究組合がその16年間の短い命を終えたことはその象徴的な出来事である。これはニュースにすらならなかったが、ブログ管理人の知り合いも何人か居たので、感慨が深い。
その経産省は自らの非も認めない内に、今度は原子力発電所と軍需エレクトロニクスの輸出で日本の電機産業の起死回生を目論んでいるようである。政府は、その為の法整備を急ぎ、特別秘密保護法はその一環で、今回の銃弾1万発の輸出は武器輸出三原則をう回する既成事実作りと考えられる。
原子力産業と軍需産業で起死回生を目論む三菱、日立、東芝などの日本の電機産業は、世界が向かっているグリーン経済への産業のパラダイムシフトには目をつむり、中国を仮想敵国にしてASEAN諸国に利幅の多い軍用エレクトロニクスを売り込む算段をしているとしか考えられない。経産省の官僚任せの政策にだまって付いて行くだけの電機産業の経営者は退陣してもらい、三菱、日立、東芝が、ものづくりの本来の姿に戻す経営者に代わってもらいたい。 |