真の食糧問題には対峙しようとしない日本のマスコミ
ブログ管理人
昨年の終りころからマスコミが大問題として取り上げたものに、ホテルやレストランの食品の表示ごまかし問題があった。もちろんごまかして販売した方は悪く、発生した損害には責任をもって賠償すべきであるが、マスコミが連日報道を続けるほどの大問題であったとは思えない。
芝エビと表示されたバナメイエビは、原産地のタイではエビと言えばバナメイエビと言うほどの御馳走で通っており、バナメイエビとしては迷惑千万であったことであろう。和牛は高級で輸入牛肉は低級だとは何を基準にしているのか。又、国産の食材は輸入食材より安全性が高いと何故言えるのか。農薬の使用量では日本は最多に属し、ミツバチを絶滅する危険がある為に欧州では禁止となっているネオニコチノイドは日本ではまだ使われている。このように、基準ははっきりしていない。
マスコミが取り上げて国民に知らせるべき本当の食糧問題は、そんなところに有るのではない。広い面積に単一の種だけを栽培するモノカルチャーが生物多様性を害している事。魚介類の乱獲により海洋生物の食物連鎖がこわれ、種の減少が起きている事。食糧生産の為に18%の地球温暖化ガスが排出されている事など、食糧生産がどのように地球環境負荷の大きいものであるかを報道するべきである。
その様な環境負荷を与えた結果生産される穀物は年間24億トンになり、これは人口70億人で割ると一人当たり340kgとなり、一人が消費している穀物の量の180kgの倍近い量であり、年間13億トンしか消費されていないのである。残りの11億トンは家畜の飼料か、廃棄処分されていると言う驚くべき事実を知らせるべきである。その一方で地球には8億5千万人の人が飢餓状態にある。この大矛盾こそが真の食糧問題なのである。
食糧自給率40%の日本は年間5500万トンの食糧を輸入しているが、同時に1800万トン金額にすると11兆円分の食糧が廃棄処分されている。国連が年間に食糧援助をしているのは600万ドンでしかない。このような事実をもっと掘り下げて報道するのがマスコミの使命ではないのだろうか。
しかし、日本国民はこのような深刻な問題よりも、より簡単なホテルやレストランのごまかし表示問題の方が受けが良いので、視聴率が取れる。マスコミは単なる営利企業であるので、視聴率が簡単に稼げる受けの良いものしか報道しない。日本人は、こうして不都合な真実からは目をそらされている。 |