大型肉食獣は世界から姿を消している。
ENS-Newswire 2014-01-10米オレゴン発、
ライオン、ヒョウ、オオカミ、カワウソ、クマなど食物連鎖の頂点に位置する肉食獣の数が、極点から赤道に至る地球全体のけんきょうの変化により消滅の危機に瀕している事が、米国、オーストラリア、イタリア、スエ―デンの共同研究により明らかになった。
2014年1月10日発行の科学誌「サイエンス」最新号に、発表された研究により調査された31種の肉食獣は、人類の営みの影響により引き起こされた気候変動により、彼らの餌食となる動物の数の減少や生息地の移動により、猟場から消えその為に31種の内75%以上が大幅に個体数が減少しており、17種は前回調査時の半数以下になっている事が判明した。
報告によると東南アジア、南東アフリカ、アマゾンでの減少が顕著である。現在都市化している欧州、北米、アジアの地域から大型肉食獣が絶滅して久しいが、その他の地域でも肉食獣の減少が激しく絶滅の危険をはらんでると警告しているのは、当研究の主著者の米国オレゴン大のウイリアム・リップル教授である。
リップル教授によると肉食獣の減少は生態系に変化を与え自然環境にも影響を与えることが分かっている。例えば、北米におけるクーガーとオオカミの減少は、シカやウサギの増殖を招き、シカやウサギが森林や草原の若芽まで食べ尽くす事で森林の再生サイクルが途絶え、森林の再生ができなくなると言う。
オーストラリアでは、総延長5500kmのフェンスを作り、ディンゴが入れない地域を作って行った実験の結果、ディンゴのいないフェンスの中での森林の再生サイクルが途絶えると言う同様の研究結果が報告されている。
南東アフリカでは、ライオンとヒョウの個体数の減少が、ヒヒの増加も招き、ヒヒによる作物被害が増大し、ヒトの食糧生産に影響を与えている。
アラスカではラッコの減少により、ウニが異常繁殖し海藻類が消滅したと報告されている。
この報告では、肉食獣の減少がもたらす環境負荷についての理解をしてもらいたいとしており、肉食獣の保護を訴えている。
原文(英文)URL:
http://ens-newswire.com/2014/01/10/large-carnivores-disappearing-from-the-earth/ |