2013年度バイオミミクリ―大賞発表
GreenBiz.com 2014-01-10
地球上の生物は35億年もの間進化と適応を続けてきた。人類はその中で知能に優れた種であると自認しているが、それ以外の身体能力では他の種にはとてもかなわない。
空を飛ぶ事では鳥や虫にはかなわないし、嗅覚、聴覚、跳躍する能力では、いまぼくの膝の上で寝ているネコにはかなわない。長寿と言う点では何千年も生き続ける樹木の足元にも及ばない。悪環境下でのサバイバル能力では、-273〜+151℃の温度、真空〜75000気圧、57万レントゲンの放射線にも耐える(ヒトは500レントゲンが致死量)クマムシには到底及ばない。
彼らは人類より長く地球に住んで居り、これまでの地球環境の変化に対応して一滴の地下資源を使う事無く生存して来ている。この先輩の地球住民の生き方をまねることで人類の持続可能性を高める研究をする学問が「バイオミミクリー」である。
2013年度のバイオミミクリ―大賞が、GreenBiz.comから発表された。但しこれはGreenBiz.comの編集者のトム・マッケイグ(Tom McKeag)が個人的に毎年発表しているもので、ただそれだけのものである。
第1位はトンボである。デルフト工科大学が設計したデルフライ・エクスプローラと名付けられた超小型飛翔ロボットで、羽をバタバタさせて飛び、2つのカメラで捉えた画像で遠近を判断しながら障害物を回避しながら自律飛行ができる。超小型電池で9分間飛行でき総重量は20グラムである。
第2位はイカである。イカは軟体動物で体全体は柔らかいが、その嘴は非常に硬く、鉱物以外の有機体の中では最も硬度が有り、鋭い刃物に匹敵する硬さを持っている。ケース・ウエスタン・リザーブ大学(CWRU)はこの硬い物質の構造をに注目した。これはキチンと呼ばれ、長鎖ポリマーで菌類の細胞壁やエビ・カニの外骨格と同じ構造である。CWRUでは有る種のセルロースに光と水を作用させる事で、熱やエネルギーを使わずにこの構造を作り出す事に成功した。これが実用化できれば、医療用器具や人工装具の材料への応用範囲は広いとしている。
第3位はウイルスである。バクテリアファージはバクテリアを攻撃するウイルスである。ローレンス・バークレイ研究所のチームは変異したウイルスに圧力を加えると発電する事を発見した。変異したウイルスに指で押す程度の圧力を加えると400mV 6nAの電力を発生する。このウイルスをアレイ状に並べることで、熱もエネルギーも使わずに感圧素子を製造する事ができる。
第4位以下は略すが、第4位は珪藻、5位は人間、6位ハエ、7位維管束植物、8位血球、9位カエル、10位節足動物となっている。写真は5位のGoogle社傘下のロボットメーカーDARPA社ロボットで、車の運転、はしご登り、荒地歩行、馬の捕獲などを自律的に行う事ができる。
原文(英文)URL: http://www.greenbiz.com/blog/2014/01/08/best-2013-biomimicry-robots |