持続可能性社会でのワインの楽しみ方
ブログ管理人
2013年のワインの生産は国際ぶどう・ワイン機構(OIV)によると、281億リッター(281Mhl)でボトル数にすると375億本となり、世界人口70億人で割ると一人当たり年間5.4本となる。
OIVによるとそのうち80%は、レストランなどで販売されている。今、欧米でトレンドとなり始めているのが、ワイン・オン・タップ(Wine on Tap)タップと言うのは水道の蛇口の事で、生ビールのサーバーのように樽から直接グラスに注ぐ方法である。
はやりはじめているのには3つの理由がある。一つは味が良い事である。ボトル詰めにする場合には、バクテリア汚染防止の為に微量の2酸化硫黄が加えられるが、樽詰めワインは1樽は長くても2日で消費される為に添加されない。また、サーバーでは窒素やアルゴンガスで圧力をかけてワインを送りだす為に、樽は常にこれらの不活性ガスで充満しており、酸化されない為に、最後の一滴まで味が変わらない。従って、開栓されて長時間経ち酸化したグラスワインが出される事は無い。
二つ目は環境に優しい事である。1樽はワインボトル26本分(19.5リットル)でステンレス製の樽は、20年以上繰り返し使用される。ワインボトル、ラベル、コルク栓、ワインボトルを詰める段ボール箱、これらは全てゴミかリサイクルされるが、リサイクルには多大なエネルギーが使われる。またボトル詰めにされる為に重量が増え、その為に運送の為のエネルギーも消費されている。これらのエネルギーが樽に代わる事で60%以上削減される。
三つ目はボトル詰めにしていた為に掛るコストが削減され、同じワインをレストランは30%安くお客に提供する事ができる。その為、プレミアムワインのオンタップに人気が出てきている。カリフォルニアのプレミアムワインの250種が樽でレストランやワインバーに配送されている。
過去に70年台と80年代に2度ワイン・オン・タップが紹介されたが、どちらも失敗に終わった。70年代には安価なワインだけがオンタップされた為にタップワインは安ものとされ、すたれて行った。80年代には、バブル景気で天文学的な価格のワインボトルを注文する事がステータスとされる中でワイン・オン・タップは正しく評価されることも無く消え去った。環境保護がクールな世の中となり今回のワイン・オン・タップは持続可能性社会のワインのたしなみ方となって行くかも知れない。かく言うブログ管理人は、知る人ぞ知る下戸である。 |