ドイツの再エネに見る、化石燃料の消費量の変化
ブログ管理人
ドイツのエネルギー政策は、従来の化石燃料と原子力エネルギーから再生可能エネルギーに転換すると言うエネルギーシフト(ドイツではエネルギーヴェンデと呼ばれこの言葉が聞かれ無い日は無い)である。
ドイツの再生可能エネルギーの割合は、1990年から順調に増え続け2012年には22.8%、2013年には23.4%を達成した。その内訳は風力7.9%、バイオマス6.5%、太陽光4.5%、水力3.4%、廃棄物0.8%(2013年)であった。ちなみに2013年の日本の再生可能エネルギーは水力を含めて7%台である。
ドイツエネルギー省の今後の目標予測では、再生可能エネルギーの割合は2025年には40〜45%、2035年には55〜60%となっている。それでも、化石燃料の占める割合は、2023年までは横ばいでありCO2排出量には変化が出ない。その理由は、2023年までに原子力発電所を全面停止して行く為に再生可能エネルギーの伸びは原発の減少分に相殺されてしまうからである。やっと2024年以降CO2排出量が減少し始める。
なぜ、このようになるのか。それはドイツのエネルギー計画は今後もエネルギー需要は増加し続けることを前提に作られているからである。これは現政権であるCDU/CSU(保守連合)が従来の右肩上がりの経済路線を脱する事と経済とエネルギー消費の切り離し、国連環境計画(UNEP)の提唱するデカップリングを政策に取り入れていないと言う2つの理由によるものと思われる。
現在の経済システムは経済成長が続き、その為にはエネルギー需要は増え続けると言うことが前提に作られている。その経済基盤の上に立脚しているCDU/CSU保守政権は、その経済構造を根本から変えることになり、既得権益を脅かす事になりかねない政策変更をする事ができないのであろう。再生可能エネルギーは救世主では無い。
エネルギーシフトを政策の柱にしているドイツですらこの状態である。日本は現在2035年までのエネルギー予測を描くことすらできない。今、自民党はエネルギー基本計画を立案中で、そこでは原子力を日本のベースエネルギーとすると言うことを決めようとしているだけである。4つのプレートが押し合う世界でも有数の地震多発地帯に原発建設など狂気の沙汰であるが、それを日本のエネルギーの中心に据え続けると言う。
「ファクター5」では現在の経済はエネルギーの無駄遣いの上に成り立っているとし、全ての無駄を廃するならば、現在の快適な生活は1/5のエネルギーでも十分営める事を数々の例を上げて論じている。現在世界のエネルギーの80%は先進国の10億人により消費されている。世界の70億人が豊かな生活を営める為には必要なことは、無駄を無くす事を国を挙げて行う事である。エネルギー消費は増加するものであると言う呪縛から解放されなければならない。 |