スギ花粉の季節になり、ティッシュペーパーが手放せない人が増えていることであろう。あるブログに、スギ花粉でティッシュの山を築いている。これまでに何本の木を捨てたのだろうかと、心配する書き込みがあった。
もう40年以上前のことであるが、ブログ管理人が働いていたドイツ企業の事務所には、50歳半ばのドイツ人の婦人が居た。彼女に僕はいろいろとドイツ式の作法を教わったものである。事務所には、屑かごとゴミ箱が有り、書き損じた紙や、いらなくなったカタログは屑かごに、その他のゴミはゴミ箱に入れるように厳しく言われたものである。プラスチックの袋や消しゴムのかす等を屑かごに入れようものなら、カミナリが落とされる。屑かごは、再生可能な紙のみを入れる保管場所で、ゴミを捨てるところではない。もちろん、書き損じの紙を丸めてゴミ箱に入れようものなら、やはりカミナリが落ちる。
もう一つ、当時大変に気になったのはドイツ人は鼻拭き専用のハンカチを持っている事である。鼻水が出るとポケットから大きめのハンカチを出して拭う。それはまたポケットに入れて次に又使う。Tempo Taschentuchと言う使い捨てのポケットティッシュも売っているが、それを使う場合も何度か使って最後には「ゴミ箱」に捨てる。全てに清潔好きなドイツ人が、何故鼻紙を惜しむのか当時は不思議に思えた。ついでに思いだしたが、ドイツでは人前でクシャミをする時には噛殺すモノで、間違っても「ハックショーン」等と声を出したりしてはいけない。これは訓練で出来るようになると、クシャミを「クチュッ」位の小さな音にする事ができる。そんなエチケットを知らなかった僕は一度、事務所で「ハックショーン」とやったら、その婦人に傘を開かれて笑われた。
ところで、日本は世界一のティッシュペーパーの消費国であることを御存知だろうか。日本では一人当たり200W枚入りカートン16箱を1年間に消費しダントツで世界一である。アメリカは年間一人5カートンである。欧州の数字は見当たらないが、アメリカよりもずーっと少ないと思う。日本では、販売以外に、街頭や銀行で無料で配ったりしているがこれは日本だけのもので、欧米人はこれを見て驚く。また、乗用車にティッシュを積んでいるのも日本だけのものである。
ティッシュは100%バージンパルプが原材料で、リサイクル紙は無い。年間150万トンの上質のパルプが衛生紙として生産されている。そして、ティッシュ、トイレットペーパー、キッチンタオルはリサイクルされないので、一回きりの使用で有る。
やはり環境の事を考えると、ドイツ人の鼻拭きハンカチが正しいのかも知れない。 |