原発「反省」後回し エネ計画案 自公了承
東京新聞 2014-04-04
自民、公明両党は三日、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」案を了承した。政府原案の冒頭にあった東京電力福島第一原発(福島県)事故への「反省」を削除。原発を「重要」と位置付け活用する方針を明確にしつつ、国と電力会社の賠償責任など、事故を想定した対応は示さないままとした。政府は来週にも計画を閣議決定する。
政府が二月に両党に示した原案では冒頭で原発の「安全神話」に陥って事故を防げなかったとして「深い反省」を強調していた。しかし、両党の協議では「同じ表現が出てくる」(自民党幹部)とこの部分を削除。冒頭はエネルギー基本計画の一般的な説明文へ大幅に差し替え「反省」は八ページ目に後回しにした。また「安全神話」との決別は掲げたものの、事故が起きた場合の国と電力会社の賠償責任は「総合的に検討する」と曖昧なままにした。
核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の計画は「推進」の方針を堅持し、原発維持の姿勢を明確にした。計画の一環で核燃料を増やす研究をしてきた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)はまともに稼働しないため、核のごみを減らす研究を重視する姿勢は盛り込んだ。ただ、実用のめどが立たない事業に巨額の予算をつぎ込む構図は変わっていない。
原発への依存度は、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーを増やすなどして「可能な限り低減させる」とした。
公明党は再生エネの将来の数値目標を「二〇三〇年に総発電量の三割にする」と記載することを求めたが、経済産業省が強く抵抗。脚注に一〇年に政府が定めた「三〇年に総発電量の二割にする」という目安を載せ、本文では「さらに上回る水準を目指す」という努力目標にとどめることで決着した。
原文URL: http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014040490070955.html |