西南極の氷床融解は制止不可能、NASA
AFP 2014-05-13 14:49 ワシントンD.C.発
西南極を覆う氷床が「制止不可能」な速度で溶けていると警告する報告を、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory、JPL)の科学者が発表した。
今後数十年以内に、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測を超える海面上昇が起きるという。
NASAの氷河学者で、米カリフォルニア大学アーバイン校のエリック・リグノット(Eric Rignot)教授は「西南極氷床(West Antarctic Ice Sheet)の広大な部分が、不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている。氷床の後退は制止不可能だ」と語る。西南極の氷床の背後には、融解する氷床を支えることのできる巨大な陸地がないことが、調査で明らかになっているという。
科学者たちは何十年も前から、この西南極の「急所」について警告してきたが、詳細な情報を収集できるようになったのは1990年代以降のことである。
米地球物理学連合(American Geophysical Union)の学会誌「地球物理学研究レター(Geophysical Research Letters)」に発表されたリグノット氏の論文は、西南極における近年の変化を衛星、航空機、船舶、地上から観測した結果、今後2世紀以内に地球全体で1.2メートルの海面上昇を招くだろうと指摘している。
また12日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載されたコンピューターモデルによる研究結果も、西南極のスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)が急速に融解しており、氷河が崩壊すれば、地球全体の海面は60センチ近く上昇すると述べている。論文の著者でワシントン大学の氷河学者イアン・ジョーギン(Ian Joughin)氏は、この氷河の崩壊は避けられず、今後200〜1000年の間に起きるだろうと述べている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN
AFP原文URL:http://www.afpbb.com/articles/-/3014796 |