エネルギーヴェンデ(エネルギー転換)の波は大電力会社に
ドイチェラントフンク
今週のテーマ2014-0-17から
今日は、ドイツのインターネットラジオ、ドイチェラントフンク(Deutschlandfunk)から拾ってみた。
ドイツでは、今最後の原発問題が議論されている。しかしそれは、産業・電力業界・政界がまた原発の是非をめぐっての問題では無い。原発の葬式の費用をだれが持つかと言う議論である。これは大きな進歩と言えよう。いまどきだれもが原発に将来が無いことは理解しており、電力会社がこれまでに原発から得てきた利益を全て出させてでも後始末は電力会社にさせるのか、これまで原発を推進してきた政府が後始末をするのか、問題となっているのはお金である。
電力会社が、何兆円を負担し、政府が税金から何兆円払うのかが問題なのである。ここでもう一つ議論になっているのは、電力会社が存続すべきかどうかと言うことである。電力会社が早急にエネルギーヴェンデの波に乗って、新エネルギーに切り替える努力をし、それに成功すれば生き残れるかも知れない。電力会社もそれには気づいており、CO2排出量の少ない天然ガスへの切り換えや再生可能エネルギーへの切換えをしたいと考えている。しかし、彼らは50年前に連邦政府が自分たちに原発を押し付けた責任があり、後片付けは政府がやるべきとしている。彼らが原発で営々と貯めこんだ巨大な利益の事はすっかり忘れてしまっているようだ。
ドイツの四大電力会社は、今となっては自らが過去に風力や太陽光発電をおもちゃ扱いして笑い、自分たちの事業の妨げになるとばかりに政治力・経済力を持ってありとあらゆる妨害をしてきたことを悔やんでいる。
彼らは失われた、数十年を急ぎ取り戻そうとしておりその為には原発と言う厄介なお荷物は一日も早く下したいと思っており、このチャンスに厄介者は政府に渡してしい、自分たちは新たなビジネスに進みたいと思っている。
一方政府の方は、大連立と言う枠組みで社民党―緑の党グループも保守―自民グループも巨額の出費の責任を取りたくなく決定を躊躇している。しかし、このまま電力会社を温存するのもリスクがある。上手に新エネルギーに切換えができたところは良いが、4社のうち1社でも倒産となれば、多額の税金がつぎ込まれることになる。電力会社がこのまま、ぬくぬくと存続する事は許されないし、安易に外国から原発で発電された電力を買ってそれを売るなどは許されるものではない。今後電力は分散型となり、現在の4大電力のような大企業は必要なくなることを彼らは知るべきである。その上で、再生可能エネルギーへの乗り換えをするべきである。エネルギーヴェンデが何たるかをしっかり勉強してもらいたい。そこにしか彼らの生き残る道は無いと知るべきである。そして最も重要な課題は一日も早く石炭火力発電を無くすことである。
原文(ドイツ語)URL: http://www.deutschlandfunk.de/energiewende-konzerne-koennen-sich-nicht-einfach-freikaufen.858.de.html?dram:article_id=285671
と言うように、ドイツでは既にエネルギーヴェンデは始まっており、再生可能エネルギーが「ベース電力」になるかどうかなどの議論はもう無い。それでも原発を再稼働させようとする日本の政府は、やはり数十年遅れているとしか言いようが無い。 |