福島県いわき市に バイオマス混燃の火力発電所建設へ 総事業費250億円 2018年稼働目指す
福島民友ニュース2014-05-29
原発事故で避難区域となった大熊町から広野町に移転している発電プラント設備建設の「エイブル」(佐藤順英社長)が、いわき市の好間中核工業団地に石炭と木質バイオマスを燃料とする火力発電所の建設を計画していることが28日、分かった。出力は11万2000kWで、総事業費は250億円規模となる見通し。2018年春の稼働を目指す。
同工業団地に約5.4ヘクタールの建設用地を取得し、2016年にも着工する。高効率で環境面にも優れた最新鋭の火力発電設備を導入し、窒素酸化物などの排出量も法令基準の4分の1以下に抑える。発電した電気は電力会社に売電する方針だ。石炭と木材チップの混合燃料を燃やすことで二酸化炭素(CO2)の排出量も減らす。木材チップは海外からの調達を計画している。
原文URL:http://www.minyu-net.com/news/news/0529/news10.html
これを読むと、木材チップを使うのであれば環境負荷もさぞ少なくなる事であろうと誰もが考えるが、事実はよくよく確認が必要である。ブログ管理人は以前、関西電力舞鶴火力発電所の仕事をした事がある。風光明媚な絶景の場所に海に面した山を削って建設されている。それもそのはずここは国立公園の指定を一部わざわざ外して石炭火力を建設した場所である。
それはそれとして、この発電所もバイオ混燃となっている最新鋭の火力発電所である。総延長数kmは有ろうかと思われる巨大なベルトコンベアが石炭積載専用船の停泊する専用港から発電所内を縦横に走って、石炭を火力発電所へ運んでいる。最近の石炭ボイラーは石炭を一旦粉末にし、水と混ぜて高圧でバーナーから焚口に噴射して燃やす。コンベアを流れる石炭を見ていると時々霜降りのように白っぽいものが混じっているのが気につくが、この白っぽいものが木質ペレットである。その割合は恐らく1%にも満たない量であろう。それでもこの発電所は混燃と言われている。
その上今回の発表のいわき市の場合は木質ペレットを輸入するとある。輸入するためには輸送のためのエネルギーも使いCO2収支はさらに悪くなる。東日本大震災から出た木質の瓦礫だけを燃やす火力発電所ならその建設意義も増すが、通常の石炭火力発電所を「混燃」を看板にいかにも環境負荷が少ないと言うように見せかけるのは止めてもらいたい。
そもそも、省エネ政策に真剣に取り組めば火力発電所の増設など全く必要が無くなる。 |