世界の自動車大国アメリカで進む自動車離れ
ハフポスト、2014-06-03
57年型のシェビーがアメリカのハイウエイに躍り出て、自動車がアメリカの文化となりトップギヤに入れて疾走した。しかし、それから60年の歳月を経てアメリカの文化の一部であった自動車社会は今急速に薄れつつある。
第二次世界大戦以降、一度もよどむことなく増加を続けてきた米国国内の自動車の売れ行きは、2004年を境に変化を見せた。それは、2009年のリーマンショックからはじまる大恐慌を予測するかのようであったが、ミシガン交通研究所のマイケル・シバック(Michael Sivak)研究員によると、「問題はもっと基本的なところにある。」と問題は経済だけでなさそうである。
現在の全米平均の自動車保有台数は世帯当たり2台を切り、1990年の初めのレベルに戻っている。
10代や20代前半の若年層は自動車免許の取得を控える傾向にある。10代では70%しか保有しておらず、これは10年前には87%であった事と比べると著しい変化と言える。
「彼らは、自分が自由であると感じるために別の方法を見出しているのではないかと思う。」と「運転手共和国:アメリカ自動車交通の文化史(Republic of Drivers: A Cultural History of Automobility in America)」の著者コットン・セイラー(Cotton Seiler)は言う。
この変化――モールに車で出かける代わりにネットショッピングをする。恒常的な交通渋滞が自動車に嫌気をもたらす。実に複雑な選択の問題である。
代替案の浮上:ミネアポリスでは緑で囲まれた自転車道を整備した結果、2000年以降自転車通勤に替えた人が倍増し現在3500人がミッドタウンへ自転車で通勤している。この数字は決して大きなものでは無いが、その他のコミュニティーにも同様の計画があり、今後増加が予想される。
ミネアポリスでは今月新しいライトレイルが走り始める。街角には青と緑にペイントされたバイクシェアリング用の自転車ラックが設置されている。車を使わない通勤者の45%は快速バスを使っている。全米で年間107億回の公共交通機関による通勤が行われているが、これは1995年から37%増加している。
記事原文(英文)URL: http://www.huffingtonpost.com/2014/05/31/american-driving-car-decl_n_5424867.html?utm_hp_ref=tw
人々は自動車保有に対する考え方を変えつつある。カーシェアリングはその一つであるが、カーシェアリングのように組織的ではなく個人的に、一台の車を2つの家族で利用するとか、ライフスタイルの違いで車を使いたい曜日が異なる者同志が、一台の車を交代で使うなども、現在のIT技術をもってすれば簡単に調整が可能である。インターネットを利用して、自分の車が空いている日や時間を登録して使いたい人を探すなども行われている。これらは、必ずしも車は保有していなければならないと言う従来の考え方からは距離を置くものである。
もはや米国では車を所有することはステータスでは無くなってしまったと言うことで、考えようによっては車の本来の目的である自由な移動手段に戻ったと言うべきかも知れない。 |