“原発広告”一足先に再稼働 新聞広告での「ワースト著名人」は勝間和代、櫻井よしこがツートップ 雑誌部門ではデーモン閣下が独走
My News Japan 2014-06-08
「原発は安全」と官僚や政治家、知識人、タレント、御用学者たちが呪文のように唱え、ついに最悪レベルの事故を引き起こした福島第一原発。周辺住民の避難生活が続くなか、安全対策も不十分なまま、安倍政権は原発再稼働を打ち出し、いま再び“原発広告”という形で、電力料金や税金を原資とする「原発マネー」がマスメディアに投入され始めている。
そこで新聞を対象に今年に入ってからの各紙を調査し、原発広告の「著名人ワーストランキング」と「新聞別のワーストランキング」を作成した。すると、著名人ワースト1は経済評論家の勝間和代、2位が右バネ界で崇拝される櫻井よしこ、3位は前国際エネルギー機関(IEA)事務局長で現日本エネルギー経済研究所・特別顧問の田中伸男であった。
媒体別では、新聞別ワーストは、1位が財界PR誌である日経新聞、そして2位が原発大推進派の読売新聞、と順当に続き、3位の産経新聞は、原発推進キャンペーンを記事中でも展開、もはや記事そのものが原発広告と化していた。
◇原発広告(新聞編)の調査方法
原発広告新聞編の調査方法は、まず、大手新聞6紙(読売、朝日、日経、毎日、産経、東京)の14年1月1日から同年3月31日までの原発広告(1/3ページ以上を割いた原発推進広告を対象とし、新聞社が外部の後援を受けて開催した原発推進シンポジウムを記事化した記事広告形式のものも含む)を抽出した。
その広告に顔写真入りで登場した著名人を拾い出し、「オピニオンリーダー度数」×「原発広告の掲載数」順に順位づけした。定量化にあたり、過去5年間(2009年4月1日〜2014年3月31日)の全国紙(読売、朝日、毎日、日経、産経)で記事の見出しに名前が出ている数(連載記事、特集記事、インタビュー記事)の合計を「オピニオン度」と定義した。
そのオピニオン度に、2014年1月1日から同年3月31日までに原発広告に出た「掲載回数(同一種の重複は除く)」を掛けて順位付けした。以下が、その「原発広告・著名人ワーストランキング(新聞編)」である。
1位は勝間和代、電事連広告に出演しまたも原発マネーもらう
ワースト第1位は、経済評論家の勝間和代氏。勝間氏は、朝日新聞紙上の「勝間和代の人生を変える『法則』」、毎日新聞の「勝間和代のクロストーク」といった連載によりオピニオン度数246と影響力が高い。そんな勝間氏は、福島第一原発事故の前に、浜岡原発を抱える中部電力の原発CMに出演していたことは既報の通り(既報:勝間、星野、草野…原発CMに汚染された“黒いタレント”たちの苦しい言い訳を参照)であるが、性懲りもなく、「電気事業連合会(電事連)」の原発広告に登場している。
電事連とは、東電含む国内電力会社十社が会費を納め運営する業界団体で、450億円以上と言われる年間予算を持つが、任意団体の為に会計は公表されていない。値上げが続く電気料金や東電に投入された税金が運営の原資である。それが広告費にも使われる。競合がない独占企業は本来、広告宣伝など不要だが、政府はこの期に及んでも禁止せず、このように評論家や新聞社、広告代理店へと、原発被害者への補償も終えていないうちに、カネが流されているわけである。
その広告とは、読売新聞3月30日付の「“放射性廃棄物の地層処分”」。広告の右下には、冬服を着こんで、なにやら遠くを見つめている勝間氏の顔写真のアップ。その上に、「私もフィンランドの『オンカロ』を見てきました。日本でも、私たち一人一人が自分の問題としてしっかりと考えていく必要があると感じました。勝間和代」とある。さらに顔写真の横には、「現在そして将来にわたるエネルギーのあり方を考えるとき、“放射性廃棄物”をどのように処分するべきか?私たちみんなが真剣に取り組まなければならない課題です。今回、私が訪問したフィンランドでは、世界に先駆けて事業化が進められています。日本でも、何が最善なのか十分に議論を重ねながら着実に前進させなければなりませんね。――経済評論家・勝間和代」と署名入りのコメントがある。左半分は、電事連広報の「原子力発電所で使い終えた燃料から出る“高レベル放射性廃棄物”については、適切に最終処分することが、未来の世代に対する大きな責任です」といった言葉が並んでいる。
無反省に原発依存を既定路線としている勝間氏と電事連は、今後、もし大地震が来て福島第一原発以上の原発事故が起きても、未来の世代に責任を持ってやってきました、といえるのか?未来の世代どころか、目先のお金のことばかり考えているのが実態ではないか。
事故後の「原発広告」新聞編に続き、主要20の雑誌について「原発・電力業界広告」の実態を調査したところ、著名人ワーストは、デーモン閣下(相撲評論家、ミュージシャン)で、そのキャラ設定を逆手に取って、まさに悪魔に魂を売っていた。次いで、たまにTV解説にも出てくる渡部恒雄(東京財団上席研究員)、堀尾正明(フリーキャスター)、唐橋ユミ(フリーキャスター)、北野大(工学博士)らがランクイン。
雑誌の媒体別では、今年に入って原発広告を4回も載せている「WEDGE」、同2回の「週刊新潮」がツートップ。次いで「PRESIDENT」「婦人公論」も電力会社のお世話になっていた。<以下略>
原文URL: http://www.mynewsjapan.com/reports/2018 |