ファクター5出版記念会での来賓挨拶。
ブログ管理人
ファクター5出版記念会には、参議院議員を3期18年間務め、その間環境副大臣を歴任した、京都大学大学院の加藤修一教授もお祝いに駆けつけてくれた。
その祝辞のなかで、加藤教授は次のように語った。
「ファクター5」は低炭素社会、循環型社会、自然共生社会、即ちグリーン経済社会による持続可能な発展の長期戦略の必要性が、第1点目のテーマであったと思う。つぎに、第二点目は、GNPと幸福指標の関係性の視点、また人類の幸福の中身と「足るを知る」との関係づけであったと思う。最後の三点目は、非常に重たいテーマであるが、人間像の転換、確立が重要ではないか、これは私は常日頃感じておる事でありますが、これを訴えていると思う。以上の三点を提唱・リードする有益な書籍であると思う。
ローマクラブの最初の書「成長の限界」が出されて既に数十年が経つのにかかわらず、人類はそんな書が出されたことが無きが如き爆走を続けている。環境リバウンドと地球環境負荷の増大をフットプリントで評価すると、アメリカ並みの資源消費を伴う生活水準では地球は5個必要で、足るを知らない文明と言える。
著名な数学者岡潔は、「狂った猿」と呼び、「人類」では無く「獣類」であるとしている。私が学生時代に勉強した高名な脳科学者である時実利彦は「人間にたぎる殺し屋の血潮」と人間の奥底の一部を形作る人間像を提示しているが、「ファクター5第11章」で展開されているホッブスのリバイアサン等は非常に重要なテーマである。マーシャルは経済学の学徒たるもの「冷静な頭脳、温かい心と平衡感覚」を持てと言い、トインビーは、「生への選択」(対峙するテーマは、「死への選択」)と言い、さらに「自己変容」の重大さを語っており、ガルブレイスは、「人類の偉大な思いやり」と、compassionを語っているが、これは「同苦」の事である。このようにこれらは、大変に重いテーマであるが、地球環境が追い詰められた現在の状況は、これを考えざるを得ない状況になってきていると言うことであると思う。佐藤優氏が最近の書物で語っている、「人間主義」が最高のものという指摘につながるべきものと思う。
本書で紹介されているトランジション・タウン(変身する町)では、資源・エネルギー効率が5倍(ファクター5)を大幅に上回っている。地産地消、地域通貨など、従来の経済システムから脱皮したパラダイム転換を示唆している。この本は、いずれにしても啓発の書、希望の書、期待の書と言えよう。
本日冒頭に話があった普及版、要約版等の出版を期待するものである。
最後に、この書を翻訳した訳者の方々、出版をした出版社にお礼を申し上げて挨拶としたい。(要約)
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