「原発の発電コストは火力上回る」試算
NHKニュース6月29日 5時59分
原子力発電のコストについて、来年、原発が再稼働し、運転開始から40年過ぎたら廃止すると想定した場合、東京電力福島第一原子力発電所の事故対策の費用を踏まえると、1キロワットアワー当たりのコストは、3年前に政府の委員会が試算した液化天然ガスや石炭による火力発電のコストを上回るとする新たな試算を専門家がまとめました。
試算は、東京電力の経営や賠償に詳しい立命館大学の大島堅一教授と大阪市立大学の除本理史教授がまとめました。
それによりますと、福島第一原発の事故対策の費用は、東京電力や国が公表した資料を分析すると、住民などへの賠償のほか、除染や中間貯蔵施設の整備、それに、廃炉などで、少なくとも合わせて11兆円余りに上るとしています。そのうえで、▽福島第一原発と、すでに廃炉が決まっている原発を除く、43基すべてが来年、再稼働して、▽国が定めた原則に合わせて運転開始から40年を過ぎたら廃止すると想定した場合、事故対策の費用を踏まえた原子力発電のコストは1キロワットアワー当たり11.4円と試算しています。3年前に発電コストを検証する政府の委員会が行った試算では、液化天然ガスや石炭による火力発電のコストを1キロワットアワー当たり10円前後としていて、今回、専門家がまとめた原子力発電のコストの試算は、これを上回っています。
試算を行った立命館大学の大島教授は「国としても、改めて原発の経済性について試算をまとめたうえで、将来的にそれぞれのエネルギーをどの程度使うのが最適か議論すべきだ」と話しています。
原文URL: http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140629/t10015589031000.html
この試算で注意しなければならない点は、基準にしている液化天然ガスや石炭の価格が3年前のものであることである。その後、安倍政権の円安誘導政策により、輸入化石燃料価格は約30%高騰しており、それを考慮すると原発の発電コストの方が低くなる。問題は、この試算では原発による発電コストを価格11.4円としてあるところにある。この試算には、使用済み核燃料の処理費用が抜け落ちたままであり、本当の試算とは言えない。このデータは原発擁護派の為の試算であると言わざるを得ない。このような報道は、一見原発の短所を伝えているように見えるが、良く読むと反対の意図が隠されていたりするので、マスコミの聴取者は常に眉に十分つばを擦り込んで受け取る習慣をつけるべきである。
ドイツの環境学者、ワイツゼッカー博士他が書いた「ファクター5」(明石書店刊)では、現在の豊かさを損なうことなく消費エネルギーを1/5に削減する方策が書かれている。ファクター5が実現すれば当然原発など用無しとなる。
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