くらしナビ・環境:「省エネ大国、日本」もはや幻想 米ロッキー・マウンテン研究所のエイモリー・B・ロビンス会長に聞く
毎日新聞 2014年08月08日 東京朝刊
◇再エネ導入、政治決断必要
シンポジウムのため来日した米ロッキー・マウンテン研究所のエイモリー・B・ロビンス会長(66)に聞いた。
日本は資源小国と言われる。化石燃料に限定すればそうだが、地熱は世界第3位の資源量で、日照条件も恵まれている。面積当たりの再生可能エネルギーの資源量はドイツの9倍だ。だが導入量はドイツの9分の1。背景には、電力会社が送電網を支配し、再エネを売電しようとする新規参入者を事実上排除してきたことが考えられる。
再エネで得られた電力を利用すると既存の電力系統が乱れる、とよく指摘される。10年前の議論だ。確かに気象条件などで発電量は変動するが、再エネ比率の高いドイツやポルトガルなどでは天候の予測や送電網の改善で解決している。私は現在、約60カ国の政府や企業でエネルギー関連のコンサルティングをしているが、「高い技術力を誇る日本が電力系統の乱れを懸念しているのはどういうことか」という声も聞こえる。政治や電力業界の決断こそ必要だ。
原子力は安定した電源として、40年余り支持され、今も温暖化防止のために選択する国もある。しかし、高い安全性を満たすためにコストが上昇している。経営戦略上、原発に頼る選択肢はなくなりつつあるのではないか。デンマークでは1980年ごろ、大規模火力発電所が特定地域に立地する集中型だったが、現在では約80%の電力を風力や中小規模のコージェネレーションで供給する小規模分散型に移行した。米連邦エネルギー規制委員会のジョン・ウェリンホフ前委員長も「火力や原子力はもはや常時運転する必要はない」と語っている。
エネルギーは安全保障、気候、経済など国際社会が抱えるほとんどの問題に関係する。エネルギー効率改善の歩みを止めてはならない。【聞き手・田中泰義】
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以上が毎日新聞のきじであるが、ドイツが1位日本は6位となり中国の後塵を浴びる事になった世界ランキングについては、8月1日のブログ「ダンテの森」をお読みいただきたい。
◇エイモリー・B・ロビンス(Amory B. Lovins)
1947年米ワシントン生まれ。地球環境保全に貢献した業績で、第二のノーベル賞と称されるスウェーデンのライト・ライブリフッド賞、旭硝子財団のブループラネット賞など受賞。エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ワイツゼッカーとの共著「ファクター4」など著作多数。元妻のハンター・ロビンズと共に立ち上げた環境シンクタンク「ロッキー・マウンテン研究所」の所長。
原文URL: http://mainichi.jp/shimen/news/20140808ddm013040019000c.html |