グリーンピース・ジャパンの意見広告
朝日新聞2014-08-08朝刊11面(全面広告)
グリーンピース・ジャパンは以前から日本の農業が多量の農薬を使用していること、日本政府は異常に多い農薬残留濃度を許可していることなどを追及するキャンペーンを続けている。去る8月8日の朝日新聞朝刊の11面に全面広告で意見広告を行っているが、これが実に具体的で良く解る。グリーンピースのホームページでこの全面広告を探して見たが見つけられなかったので、要約して掲載する。
質問です。農薬は、薬ですか、毒ですか。
2013年、EUはミツバチの保全と人体への影響を懸念して、ネオニコチノイド系農薬3種の使用制限を決定しました。
ミツバチの大量死の一因と言われるネオニコチノイド系農薬。EUでは「予防原則」にもとづき、2013年12月からクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの3種類の農薬のEU全域での販売と一部使用禁止が始まりました。欧州委員会は今後2年以内に、これらの農薬に関する新たな科学情報を見直し、禁止を取りやめるか、暫定的に継続するか、恒久的に禁止するかを決定します。
日本でのネオニコチノイド系農薬使用量は、この15年で3倍に増えています。
日本では、稲作・畑作を問わず多くの農業でこのネオニコチノイド系農薬を使っています。その理由として、水溶性で植物の中にしみこみ、効果が長持ちすることがあげられます。さらに日本ではこの農薬の残留基準を緩くしようとしています。従来の基準に比べサトウキビは20倍、春菊は50倍、カブの葉にいたっては2000倍と、極端な緩和がなされようとしているのです。それに対し消費者がパブリックコメント送り、グリーンピース・ジャパンが集めた反対署名が校を奏して、政府は今年3月異例の「再審査」をすることを決めました。
CCD(Colony Collapse Disorder)蜂群崩壊症候群と呼ばれるミツバチの失跡現象が世界中で報告されています。
1990年代、世界各地で突如発生しはじめたミツバチの大量失跡、大量死。一説によれば、2007年春までに北半球のミツバチの1/4が消えたと言われています。
欧州食品安全機関(EFSA)は科学的意見として、ネオニコチノイド系農薬がヒトの神経と脳の発達に悪影響を与える可能性を指摘しています。<略>
アメリカのオバマ大統領は「ミツバチその他花粉媒介生物の健康を促進する連邦レベルの戦略の策定」という覚書を発表し、ネオニコチノイド系農薬についての調査を命じました。<略>
イチゴ、ブドウ、トマト、ナスなど、農作物100種類のうち、71種類は、ミツバチの花粉媒介によって受粉し、実りがもたらされています。<略>
国際自然保護連合は、ネオニコチノイド系農薬がミツバチだけでなくミミズなどその他の生物にも影響するとの研究成果を発表しました。<略>
残留農薬の基準は、きゅうりの場合、日本では2ppm、EUでは0.02ppm。トマトの場合は、日本では3ppm、EUでは0.05ppm。
残留農薬の基準は、日本とEUで大きく異なります。基準が厳しいEUに比べると、日本の基準は緩く設定されています。ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンで比べると、きゅうりは100倍、トマトは60倍、茶葉は71倍とEUに比べて格段に高い残留が許容されているものもあります。
以上がグリーンピースの意見広告からであるが、一部略させていただいた。日本でネオニコチノイド系農薬を製造しているのは住友化学で、この企業の社長であった米倉氏はついこの間まで日本経団連の会長をしていた人物である。経団連の会長を出すと、年間数億円と言う会長経費を出身企業は負担することになる。企業は当然その見返りを期待する。欧州が禁止しているのに日本では緩和をしようとしていることとは全く関係が無いのだろうか。
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