凍結止水断念の恐れ 第1原発トレンチ、作業完了できず
2014年8月15日 福島民友ニュース
東京電力福島第1原発の海側で電源ケーブルなどが通る地下道(トレンチ)の凍結止水工事が難航している問題で、東電は14日、氷とドライアイスの投入を続けてもトレンチと2号機タービン建屋の接続部の汚染水が完全に凍結していないと明らかにした。原子力規制委員会から指示された今月中旬までの凍結完了の達成が事実上不可能となった。
東電は、19日に開かれる規制委の会合で検証結果を報告するが、専門家には実効性を疑問視する意見が根強く、凍結止水の断念を迫られる可能性が出てきた。
凍結止水は、接合部付近の汚染水を凍らせて水の流れを止め、トレンチ内の汚染水を抜き取るのが目的。東電は「水温を5度まで下げられれば約2週間で凍る」と想定。7月下旬から今月13日までに氷約307トンとドライアイス約2.1トンを観測用の穴から投入した。
原文URL: http://www.minyu-net.com/news/news/0815/news10.html
小ブログでは2013年8月8日にこの凍土壁を批判している。つぎは、そのブログからである。。
凍土方式はとんでもない方法である。1.4kmにもわたり、深さ50mのマイナス50度ほどに凍った凍土の壁を作ると言うのである。一定間隔で冷却パイプを入れてその中をマイナス50度以下の冷媒を循環させるのだそうだ。地下の温度は年間を通じてだいたい15度前後で一定である。それをマイナス50度に冷却し続ける為には、莫大なエネルギーを送り続ける必要が有る。50mの深さまで冷媒を送って吸い上げるポンプも必要である。鹿島建設が作った計画書によると400kWが14ユニット必要と言う事なので、5600kWとなる。この電力を1年365日24時間絶え間なく消費するシステムが必要となる。それだけで、年間5万ギガワット時、電気代1kWh20円とすると10億円が出費、CO2にして2万7千トンが排出される。
その上、24時間の稼働を担保するためには、保守点検が怠れない。維持管理の為の百人規模の会社が必要になる。ひょっとすると、これこそが経産省の最終目標であるのかも知れない。なにしろ省庁と言うところは、天下り先企業を作るのがその主な仕事であるからである。
なんと言ってもこのシステムの欠陥は、何らかの事情で電源が喪失すれば、遮蔽壁としての能力が消え失せて汚染水が流出すると言う大きなリスクを抱えている事である。鋼矢板の壁を2重3重にする方がずーっと安心できると思うが、鋼矢板ではなぜダメなのか不思議である。
日量400トンという大量の水が流れている水流の中で氷を凍らせると言う常識では考えられないバカな方法を採用した東電から提案したゼネコン(鹿島)には既に600億円が支払われているのであろう。ポンプメーカーや冷凍機メーカーには美味しい仕事ができたので、安倍政権としては売り上げに貢献できたか知らないが、またまた大幅な遅れと資源の無駄遣いが行われた事になる。 |