ダンテの森    
30 Jun 2012   06:15:06 am
バイオ燃料
現在のバイオ燃料は持続可能な開発を助けない

 代替燃料や再生可能エネルギーの話を農業分野の人と話すと必ず話題は「バイオ燃料」になる。アメリカでは原油価格の高騰にともない、まるで集団酩酊状態でバイオ燃料が誇大に語られている。

 マレーシア、インドネシアや西アフリカの国々の広大な面積の熱帯雨林がパームヤシに植えかえられ、ブラジルの熱帯雨林は破壊されてサトウキビ畑となり、いまやエネルギー経済の一翼を担うまでになってきた。

 自然保護主義者や環境学者達も一時はバイオ燃料に希望を託した時期があった。米国と欧州では自動車用のバイオ燃料が環境を救うとバイオ燃料市場形成の推進役となった。これは我々の犯した大きな間違いであった。

 国連環境計画(UNEP)に出された報告によると、バイオ燃料の長所のみが誇大に評価され、短所は知らされていないとしている。特に顕著なマイナス面は自然熱帯雨林がパームヤシの林に置き換えられることで、熱帯雨林を取り巻く大気の成分、メタン、笑気ガス、CO2の大量移動が起き分布が変わった為に熱帯雨林の破壊が進むと言う事である。またブラジルの熱帯雨林がサトウキビ畑になることは生物多様性の観点から間違ったことである。また、バイオ燃料用の作物と食用作物の耕地面積の取り合いの為に食用トウモロコシの耕地面積が減り、最貧国の人々の中心的な食糧であるトウモロコシ価格が高騰すると言う人道的な問題もある。現在、バイオ燃料は自然保護運動家の攻撃の的となっている。

 農業や林業から得るバイオ燃料は第二世代に移行することが望ましい。第二世代バイオ燃料とは、セルロースを基本とした燃料で、エタノール、バイオディーゼル、ブタン、メタノール、MTHFで、原料として考えられているのは、間伐材、成長の早いポプラやユーカリ、あるいは葦などである。製造にはこれら原料をまずバクテリアによりセルロース化して糖化工程に移る為に時間がかかり、収量もパームヤシやサトウキビに較べて少なく、広い耕地面積が必要となる。現在、セルロース化を促進する技術の開発が進められており、第二世代バイオ燃料が市場に登場する日も近い。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
29 Jun 2012   05:58:31 am
リオ+20を終えて
持続可能性社会は民間がリード

GreenBiz.com 2012-06-25 By Tensie Whelanの記事から

 リオ+20は6月22日で閉幕した。予想通り開発途上国と既開発国との利害が一致することは無く、政治的には全て先送りとなったが、民間セクターの成果や活動を一堂に見ることができ、グリーン経済への移行への民間の取り組みが進んでいる事を感じることができた。

 NGOと企業が協力しての持続可能性への国際的な取り組みは成功の道筋を示唆しており、各国政府には企業やNGOを見習ってもらいたい。

 20年前のリオサミットは歴史的であった。持続可能な開発、生物多様性、森林保護、そして気候変動について数々の野心的な宣言や条約が採択され、近い未来とは言わないが何か未来に明るい見通しが開いたと感じたものであった。持続可能な社会へ政界経済が移って行く予感があった。

 そして20年が経過した。政治家達は20年前と殆ど同じことを話し合っているが、世界の数多くの企業やNGOは国境を越えて活動をして進んでいる事こそが持続可能性社会の足音である。企業は環境保護の観点から原材料の調達先を選ぶことを初めている。例えば製紙工場や家具メーカーが調達先が森林保護を行いながら木材を輸出しているのかを選択条件にし、その現地の森林保護の状況はNGOが行っている評価を採用している。このように新しいビジネスモデルが形成されていることは持続可能性社会のDNAともいえよう。

 今日、世界経済の10%はすでに何らかの形で持続可能性との関わりを持ちながらビジネスをおこなっている。しかし、10%では問題解決にはならない。100%に近付ける為には政治の力が必要となる。グリーン経済への移行は各国政府による法整備や規制が必要であるからだ。

 今回、リオ+20から何のお土産も持たずに自国に戻った政治家達は帰国した後すぐに行動をおこすべきである。

原文:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/06/25/some-good-news-and-next-steps-take-rio

カテゴリー : 他メディアより | Posted By : dantesforest |
28 Jun 2012   06:57:12 am
ゴミの無い社会に
ゴミ処分場への投棄から焼却、リサイクル、都市鉱山へ

 数百年にわたってゴミは衛生上の問題でしかなかった。道路や街を清潔に保ち、農業、手工業、家庭からできるだけ遠ざかったところにゴミは溜めておかれた。食品ごみは、コンポストにされるか家畜の飼料にされた。一昔前の工業においては殆どの材料は再利用されるようなシステムが作られており、出されるゴミの量も少なかった。

 19世紀になってそれまでは考えることができなかった様な大量のゴミ、石炭ストーブから出される石炭の燃えカスが出されるようになり初めて廃棄物処理が問題となった。それ以来ゴミの排出量は増加の一途をたどっている。

 プラスティック、ガラス、釘やヒンジの付いた木材、家具、日用品、事務機器がゴミとなっている。かなりの間ゴミは都市近郊に貯めておくことが一般的であった。しかし、虫やネズミの発生、地下水の汚染、悪臭などによりこの方法は継続が不可能となった。最近は、ゴミの投棄は禁止となり焼却炉による処理が一般的になってきている。処理時にだされるヘドロは肥料に変わるが、重金属の混入が無いかに神経をとがらせる必要がある。

 1980年代に入っていくつかの国、特に日本とドイツではゴミを資源と考える動きが出て来た。ゴミの中から再利用可能なものを見つけ出して資源とすることでゴミの量も減らす事ができる一石二鳥の考え方である。

 ドイツでは1980年代に包装廃棄物政令が出された。この法律により、販売業者は包装材の直接回収か回収システムを用意することが義務付けられた。これはまさにグリーン経済の誕生の瞬間とも言えるできごとであった。これにより70%が再利用されるようになった。次の段階は都市鉱山と言われる貴金属やレアメタルの回収である。ドイツでは1996年に循環経済・廃棄物法が制定された。

 ゴミの処理法として現在一般化している焼却炉による処理は衛生面や大気汚染面には配慮されたシステムになっているが、貴金属やレアメタルの回収には向いていないので、新技術の開発が望まれている。ゴミを出さない製品設計が求められている。
このテーマについては林哲裕氏著「ドイツ企業の環境マネジメント戦略」に詳しく取り上げられている。

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27 Jun 2012   04:23:27 pm
資源効率改善の歴史
資源効率アップと消費拡大は産業革命の双子の兄弟

 産業革命は英国から起こりありとあらゆる産業分野にわたり、またたく間に世界中へと広まった。70億人分の食料を生産する農業も例外ではない。70億と言う数字はマルサスにもジェボンズにも想像を絶する数字であろう。

 石炭の埋蔵量はいまだにピークはむかえていない。そして、我々はやはり人類がいくら資源の効率を上げても、効率が上がることで消費がさらに進みいずれは成長の限界に突き当たると言うジェボンズのパラドックスを認めざるを得ない。もっとも資源の枯渇よりも先に地球温暖化による限界の方が先におとずれる事になるであろう。

 ブーメラン効果というのは人類が工業化をはじめたときから副産物のようについて回るものであったのかもしれない。ジェボンズのパラドックスは、人類の長い歴史の中で産業革命以降の現象を事後評価しただけであったと言う事ができるかも知れない。

 人類は自然を利用することを知り、資源をより効率よく使う事で人口の増加に対応してきた。人類は狩猟と採集をすることでそれ以前の状態から進化した。しかし、狩猟と採集だけでは地球上に数百万人がやっとである。その後、農耕と牧畜を学習した事で同一面積から10倍もの収穫を得ることができるようになった。

 しかし、人類は生産効率の上昇よりも速い速度でその収穫物を消費する方法を見つけ出した。そうして人口は数百倍となり肥沃な土地を対象に部族間での戦争が起きるようになった。人類は定住するようになり、文化が芽生え、分業による職業が生まれた。村、町、都市、国家が形成され、指導者階級も形成された。エリートの存在はそうでない人々にとって羨望の的であった。この社会格差が上昇志向を原動力とする学習意欲や勤労意欲を盛んにして、結果として産業の発展をけん引することになった。

トマス・ロバート・マルサス(Thomas Robert Malthus、1766年2月14日[1] - 1834年12月23日)は、イギリスサリー州ウットン出身の経済学者。古典派経済学を代表する経済学者で、過少消費説、有効需要説を唱えた人物として知られる。

ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(William Stanley Jevons,1835年9月1日 - 1882年8月13日)は、イギリスの経済学者・論理学者。著書『経済学理論』

カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
26 Jun 2012   05:57:51 am
進まぬコージェネ化
いまだに拡大を企業目標に掲げるエネルギー業界の愚かさ

 大規模な電力と熱源を必要とする重工業においてコージェネは理想的で最も簡単に実現できる解決策である。重工業では電力も熱源もほぼコンスタントに使用する為に、ボイラーを停止したり運転したりして効率が悪くなる事も無く高効率で運転ができる。当然、鉄鋼、アルミニウム、セメント、製紙、印刷、化学、食品製造、石油精製などの重工業は全てコージェネになるべきであるが、現実は世界で8%しかコージェネ化されていない。

 デンマークはコージェネ先進国で2003年に52%をコージェネ化した。アメリカはコージェネ発電量は85GWでトップであるがわずか10%にも満たない。ドイツは2005年に13%になったが、政府は57%を目指している。

 重工業分野で最も簡便に実行可能な省エネであるのにかかわらず増加率が低いのは、電力会社が大口需要家が離れるのを恐れ大口需要家向けの電力料金を値下げしてコージェネへ逃げるのを引きとめているのが一要因と考えられる。電力会社はその為に一般家庭向けの電力料金を吊り上げて収支のバランスを取っている。

 電力会社は電力をより多く売る事から脱皮し、徐々に供給電力を少なくして行く事を企業の目標と転換することが、グリーン経済への移行に適合することに気づくべきである。エネルギー業界は縮小をその企業目標に掲げる時が来ていると気づくべきだ。
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