ダンテの森    
11 Jan 2012   05:56:23 am
燃料税の歴史
燃料税の導入で変わったドイツ人のライフスタイル

 燃料税は決して新しいものではない18世紀の英国でとうもろこし畑を黒煙を上げ火花を散らして走る蒸気機関車に農民から乾燥した畑に火事を起こす危険がある、煙が作物を汚すなどの不満が出され、政府は鉄道会社に燃料税を課税した。後にこれを基金に年金制度が作られた。

 1999年にドイツに導入されたETR(Ecological Tax Reform 環境税制改革)により、自動車用燃料、暖房用燃料、電力に課税され2003年までの4年間にわたり毎年税率が上げられた。

 その結果、2000年には自動車燃料の消費が2.8%減少、2001年には更に1%、2002年には2.3%、2003年には3.5%が減少した。自動車用燃料の消費が減少したのは1950年以来初めての事であった。

 車の共同購入は2000年に25%増加し、2001年には22%、2002年8%、2003年に15%増加した。

 公共交通機関の利用者数はそれまで減少の一途をたどっていたが、1999年に初めて0.4%の+に転じ、その後2000年0.8%、2001年0.8%、2002年0.5%、2003年1.5%の増加となった。

 マクロ経済的には2001年には25万人の新規雇用が創出された。

 最終目標であったCO2削減は2003年に-3%を達成した。

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10 Jan 2012   06:03:56 am
排出権取引
公害問題から生まれた商業的制度

 各国家や各企業ごとに温室効果ガスの排出枠(キャップ)を定め、排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて排出してしまった国や企業との間で取引(トレード)する制度である。京都議定書に規定されており、温室効果ガスの削減を補完する京都メカニズム(柔軟性措置)の1つ。

 1990年代前半から、アメリカ合衆国で硫黄酸化物(SOx)の排出証取引が行われた。排出枠を定めたうえで、排出枠を下回った者がその削減分に付加価値をつけて排出枠を上回った者と取引するもので、硫黄酸化物の排出量の削減に大きく貢献した。アメリカはこの経験を踏まえ、京都議定書に排出取引制度の導入を強く求めた。同国はその後に京都議定書から離脱したが、排出取引制度は京都メカニズムとして残った。これは排出枠の対象を温室効果ガスと国単位に変えたものである。

 排出取引制度が導入された背景には、温室効果ガスの排出量を一定量削減するための費用が、国や産業種別によって違いがあることが挙げられる。例えば、これから開発する開発途上国では、すでに先進国で開発された技術を導入すれば温室効果ガスを削減できるので比較的小さい費用で済む。一方、これまでに環境負荷を低減するために努力してきた先進国では、更なる削減には新しい技術やシステムを開発する必要があり、多大な投資が必要となる。排出取引の制度を導入すると、削減しやすい国や企業は炭素クレジットを売ることで利益を得られるので、削減に対するインセンティブが生まれ、より努力して削減しようとする。

 ただしその一方で、先進国がより少ない投資や労力で済む排出取引を積極的に利用してしまうと、温室効果ガスを削減するための新たな技術やシステムの開発の必要性が薄れ、技術やシステムが広く普及してしまえば削減が難しくなり、結果的に温室効果ガスの削減が停滞することも考えられる。

 世界全体での排出取引の市場規模は、2007年時点で約400億ユーロ(約4兆円)前後であるが、急激な拡大を見せており、今後も拡大は続くと予想されている。取引総量は2007年時点で27億トンで、これも急激に増加している。

銀行や証券会社が、金融商品として排出量を株式や債権と同じように取引する試みもある。


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09 Jan 2012   03:38:32 pm
2011年の自然災害
地球温暖化に無縁とは言えない巨大災害

 ドイツのSüddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)は1月4日付けの経済面で2011年に起きた世界の巨大災害をまとめているのをドイツの友人が送ってくれた。

 2011年の巨大災害の規模はこれまでには無い規模であった。1000年に一度と言われる日本の東北大地震・津波があったからである。

 ドイツにある世界最大の再保険会社Munich Reは2011年の損害を3800億ドル(27兆円)と試算した。これはこれまでの最高額であった2005年のハリケーン・カテリーナによる損害の2200億ドル(16兆円)をはるかに上回った。但し、これには福島原発の損害及び補償金は全く含まれていない。

 3800億ドルのうち、2/3を日本とニュージーランドの地震・津波の損害に充てられているが、その他の気候変動による自然災害も少なくない。タイの洪水の損害は400億ドル(3兆2千億円)と少なくない。

 2011年の地震以外の災害も通常年よりも増えており、世界中で異常気象による被害が出ている。これが地球温暖化に起因していないと言い切れるものではない。

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08 Jan 2012   03:13:15 pm
スマートグリッド
電力会社は導入に消極的

 スマートグリッドと言う言葉を良く聞くようになってきた。スマートは賢いでグリッドは配電網で「賢い配電網」である。

 発電所―送電線―変電所―配電網―需要家と言うのが電気が配電される順番であるが、このいずれにもコンピュータ制御装置を付けて自律分散型の制御を行い最適な電力供給を行う。それのみに留まらず双方向通信で情報交換を行う事で需要の変化の把握と予測を行い必要な場合は緊急度の低い電気機器への送電を停止する等して調整も行う。また、再生可能エネルギーで発電された個人や企業の余剰電力を送電網に送ることもできる。さらに家庭用蓄電器やプラグインハイブリッド車や電気自動車を電気の貯蔵システムとして使うことも行う。

 もともと、電気インフラが老朽化して停電が多いアメリカで考えられたスマートグリッドであるが、持続可能社会にとって欠かせない電力供給システムとなった。

 従来の電力網は年間の最大ピーク時に合わせて設計されている為に、全ての設備が過剰な容量を持っている。東電は猛暑時6450万kWをピークとしている。これは2001年にこの実績があったとしていますが、それ以外の年で6000kWを上回った実績はない。この数字は電力料金を値下げして大口需要家に猛烈営業を掛けた結果である。そして全ての設備はこのピーク時電力を賄えるように設計されている。猛暑の日の午後2時位にピークとなるがその時の為に大幅な過剰投資が行われそのコストは全て電力料金として需要家が払っている。因みに昨年2011年の最大は8月18日に4936万kWを記録している。

 スマートグリッドを導入して電力供給の適正化を行うなら現在の発電、送電、変電、配電の全てが過剰投資であった事が明確になる。スマートグリッドの導入は電力会社が電力を売れば売るほど儲かると言う従来のビジネスモデルを根幹から変える事から、全国いずれの電力会社もスマートグリッドの導入には消極的であったが、今後それが変わって来る事を期待する。

 スマートメーターはイタリアが先進で2700万世帯、カリフォルニア州が900万世帯、オーストラリア・ビクトリア州が260万世帯に設置が終わっており、オランダは2013年中に全世帯の700万世帯、中国は2016年までに2億8千万世帯に設置される。東電は2013年から10年間で2700万全世帯に設置する予定と発表している。

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
07 Jan 2012   07:44:49 pm
法律による規制
市場のなりゆきには任せてはおけない

 市場経済が自発的に持続可能社会に変わって行く事を待つ時間は奇跡の惑星地球には無い。政治のリーダーシップで始める事ができる道具が2つある。

1. 電気事業者がより多くのキロワット時を販売すると言う商行為に興味を持てなくする為に需要家本位に作られた電力料金体系。
2. 電気事業者が再生可能エネルギーを発電コストに十分見合う価格で長期間にわたり買い取る契約を結ぶFIT(Feed in Tariff)

 1番目は、昨年の3/11以降、東京電力は需用者に対し電力需要予測を公開し、計画停電をスケジュール化して電力不足に依る突発的な停電を回避する事を行った事は、東電管内に住む人々には記憶に新しいが、この手法を料金体系に組み込む事で需要家が日常的に使用電力を減少して行くような方法である。
 この制度は1970年代からカリフォルニア州に導入され成功しており、現在のカリフォルニア州の電力需要は全米平均の40%である。

 2番目は太陽電池パネル発電、風力発電、マイクロ水力発電、バイオマス発電等再生可能エネルギーで発電した電力を決まった金額で電気事業者(東電等)が買い取る制度で、日本では本年7月からスタートする。この電力買い取り法案は、不思議にも3月11日、地震の当日閣議決定され、その後も原発推進議員からの反対運動が有ったが8月26日に成立したものである。

 このような改革的変化を世界の経済市場に認めさせる為には、それぞれの経済状態に合った戦略的な制度の組み合わせを考えなければならない。エネルギーと資源の効率アップが経済にとって利益をもたらすものである事を認識してもらわなければ、これらの制度(ある意味で環境税である)の導入により電力と資源の価格が上がる事が認められないからである。
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