ダンテの森    
16 Dec 2011   11:51:41 pm
材料のリサイクル
リサイクルによる省エネ

 材料のリサイクルによる省資源は原材料から製品を製造する場合とスクラップから製品を作る場合の製造に掛るエネルギー量を比較して考える。

 アルミニウム97%、銅70〜85%、鉛60〜80%、マグネシウム95%、紙64%、プラスティック80〜88%、ガラス68%の省エネが可能である。

 原材料の採掘と運送に必要なエネルギー量とリサイクルした場合のエネルギー量の差である。例えばボーキサイト(アルミノ原料)からアルミを取り出すには900℃で有るがリサイクルの場合660Cしか必要ない。市中から出されるゴミの中からアルミ缶をより分けるのは容易である。現在世界のアルミの30%はリサイクルからで2025年には40%を超えると予測されている。

 理論的には全ての金属は無限にリサイクルができるが、紙のように3〜4回しかリサイクルができないものもある。国に依っても取り組みの度合いは異なり、例えばガラスのリサイクルはドイツとフィンランドでは80〜90%であるが、アメリカは30%以下となっている。



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15 Dec 2011   05:55:25 am
カナダのオイルサンド
GHGの排出を増やす悪質化石燃料

 カナダ政府が12月13日に「京都議定書」から脱退した理由はオイルサンドにある。

 カナダ、アルバータ州のマサバスカ川の流域にオイルサンドの露天掘りサイトがある。黒くネバネバした原油と砂の混ざり合ったちょうどアスファルトのような物体が森林の下に層をなして埋まっている。それがオイルサンドだ。

 以前は採掘コストが高いと誰も興味を示さなかったが、原油価格が高騰し2020年までには1バレル(160リットル)140ドルにもなると予測されるようになると俄かに商品価値が出てきた。

 現在、日量75万バレルを生産、パイプラインで州都エドモントンや遠く米国の石油精製施設に送られている。オイルサンドから1バレルのビチューメンと呼ばれる中間製品を得るためにはまず森林を伐採し表土を2トン取り除きその下にあるオイルサンド2トンを掘り出してそれに3〜4バレルの80℃の熱湯をかけて油を砂からはがす。つまり160リットルの中間製品を得る為に4トンの土と砂を移動させ、数百リットルの熱湯を必要とする。つまり30倍のエコリュックサックを背負っている。これらに30ドルの費用が掛っており、これはアラビアで原油採掘に掛る費用の10倍の費用である。そしてCO2の排出は3倍以上である。しかしエコノミスト達は加えたエネルギーの5倍のエネルギーを取り出せるので採算が成り立つと言う。

 カナダ政府はオイルサンド開発に2008年だけで1兆8000億円をかけ、過去10年間で4兆5000億を投資した。その甲斐あってこのオイルサンドを原油に置き換えるとカナダは今や世界第二の原油産出国となった。

 この既得権益を手放す事はできないのでカナダ政府は京都議定書からの離脱を選んだ。

 原油が値上がりすると再生可能エネルギーの開発が進むべきであるが、少しでもコストの安いサンドオイル、石炭液化、メタンハイドレート等の地下資源に目が向いてしまうのは何故だろうか?



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14 Dec 2011   06:40:01 pm
カナダが京都から脱退
カナダ政府は12月13日京都議定書から正式に脱退した。

 現存する唯一の国際的な地球温暖化排出ガス規制の枠組みである「京都議定書」からカナダが撤退した。

 南アフリカのダーバンで前日まで開かれていた国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)に出席していたカナダの環境相ピーター・ケント氏が帰国して間もなく上下両院で脱退の法案が可決された。

 ケント氏によるとこの脱退によりカナダ政府は140億ドル(約1兆800億円)の国連に対する追徴金から逃れる事ができる。またケント氏は、カナダにとって「京都」は過去のものであるとし、これは正式な手続きを経た国家としての当然の権利であるとしている。また、「京都」に留まっているのはEUだけであるともコメントしている。

 カナダは2005年に調印した際に2008〜2012年の間に1990年当時のGHG(地球温暖化ガス)排出量から-6%を達成すると約束している。しかし、その後増加するエネルギー消費を補う為にオイルサンドの採掘を始めた。2003年には国民一人当たりの年間GHG排出量は17.5トンであったが2008年には22トンに25%増加している。2011年現在は1990年当時から較べて30%増加しており約定の-6%に較べ36ポイントも増加しており追徴金の対象となっていた。

 カナダと言うと自然が一杯の環境大国のようなイメージを持っていた人は、ぼくを含めて多いと思うが、今回の一件でカナダに対する見方がすっかり変わってしまった人も多いのでは無いだろうか。


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13 Dec 2011   05:57:28 am
COP17ダーバン
あやふやな日本の態度は禍根を残した

 COP17が閉会した。南アフリカで開かれていた国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議は昨日11日に閉幕した。2012年末で期限を迎える京都議定書の温室効果ガス削減義務期間を延長することを決定したほか、2020年にすべての国が参加する新枠組みを発効させることを盛り込んだ工程表を採択し、閉幕した。日本は議定書の延長期間に参加せず、新枠組みまで自主的な対策を実施する。

 今回のCOP17では早々と離脱を決めたアメリカと京都議定書の継続を推進しようとするEUは京都議定書には削減義務が謳われていない発展途上国が腕を組んだ。日本はアメリカに気兼ねをしてEUには与しない態度をとった。

 現在地球上に70億人の人類がいる。この内10億人が先進国(OECD諸国)であり、それに続いて中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア等の超大国を含む開発途上国の30億人が急速な発展をしている。さらに30億人が後発開発途上国と呼ばれる貧困な国々で人間が生きる事が出来る最低のレベルでの生活を強いられている。4億人の人々は1日1ドル以下の生活を強いられている。

 現在のエネルギー問題は先進国が産業革命以来200年にわたって地球の資源が有限である事を考えずに開発・発展を続けた結果である。残りの60億人の人達の責任では無い事は明らかである。持続可能社会を作る時にそのことを織り込んで行く事が肝要である。

 いま開発途上国ではインフラの整備の為の土木工事、ビル、住宅建設、自動車の増加がものすごい勢いで進んでいる。これらを持続可能性社会としての発展を促す必要がある。例えばセメントはポートランドセメントでは無くジオポリマーセメントを使う、建築物は高断熱構造、照明は自然光の有効利用とLED等の高効率光源の利用、等いずれもファクター5の中で実証例が示され省エネの為に投下された資本は数年から数十年で回収できる経済性も立証されている。これらの持続可能社会建設の為に有用な技術を開発途上国が利用できるように先進国は十分な援助をすべきである。

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12 Dec 2011   06:04:45 am
環境保護の為の経済
持続可能社会推進の道具としての市場経済

 1970年代に先進国は公害問題を法的規制を取り入れる事で乗り越える事ができた。しかし、エネルギー消費を抑制する様な考え方はそこには全く盛り込まれていない。

 資源の有効利用やエネルギー効率アップを促進する法律は作られてはいるが間接的で、殆ど自主規制を重んじたものになっている為必ずしも効果を上げているとは言えない。

 この1970年代から企業は社会貢献を企業のCSR(Corporate Social Responsibility)と呼んで企業の活動目標の一部に取り入れるようになってきた。これは消費者の厳しい目を少しでも緩和させようとする動機から出てきたものであるが、これを持続可能社会形成の為に利用できればその動機は重要では無くなる。高邁な動機から始められても成果が出なかったものは数限り無く有る。

 CSRは企業の悪名を挽回するには最適の方法であるし、エネルギー効率を上げる事は社会貢献ができ、しかも企業利益の増大にも通じるので企業にとっては良い事ずくめであるところから1992年にWBCSD (World Business Council for Sustainable Development) 持続可能な開発のための世界経済人会議が設立された。

 そのゴールの一つが1999年に発表された「自然資本主義(Natural Capitalism)」であるが、それから10年経った今日、我々は今なお同じ事を叫び続けている。

 GDP至上主義は少しずつ陰りを見せて来てはいるが、先進国の中にはいまだに更なる消費の拡大をしようと別の化石燃料を探索しようとしている国もある。企業によるCSRでは今必要な変化量には程遠い。

Natural Capitalism の和訳本がamazon.co.jp等で購入できます。
自然資本の経済―「成長の限界」を突破する新産業革命
原書名:NATURAL CAPITALISM; Creating The Next Industrial Revolution (Hawken,Paul;Lovins,Amory B.;Lovins,L.Hunter)

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