ダンテの森    
06 Dec 2011   12:11:31 am
航空機の省エネとリバウンド
安くなる航空運賃は更なる需要を生む

 航空機の燃費向上や運行システムのIT化等で大幅な運航コストの低減が行われると旅行代金が更に安くなり、現在予測している航空需要が激増する可能性がある。

 1970年にボーイング747が投入されるまでは一部の限られた人の為であった航空機が一気に大衆化されたのと同じように、大幅な燃費の低減が予測されていない新たな需要を喚起し、航空輸送量が大幅に増え結果としてGHG(地球温暖化ガス)の排出量が増えてしまうと言う最も恐れるリバウンド効果が起きる可能性が有る。このリバウンド効果を予測した報告は現在いずれからも出ていない。

 各国の所轄の官庁は省エネプログラムの達成度を把握するのみではなく、航空需要の変化を正確に予測し、必要な場合は航空業界に抑制を求める等が可能な国際的な制度を準備するべきである。

 また、中距離(200〜1000km)の移動手段として従来航空機を利用していた人が、超高速鉄道の方がより快適であると魅力を感じ乗り換えるような、高速性、郊外の空港まで移動しなくても利用できる利便性、待ち時間が少ない事、定刻性、十分な快適居住性それに車内サービスを鉄道が備える事である。

 更に会議の為の出張は可能な限りビデオ会議で済ませる事が出来るように、バーチャルリアリティー技術やIT技術を駆使してより自然に直接対話をしているようなシステムにする必要が有る。

 省エネのリバウンド効果の抑制は重要な課題である。

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05 Dec 2011   06:03:52 am
航空機の省エネ
伸び続ける航空需要

 グロバリゼーションの今日、航空機による移動は世界平均年率5%で増加し続けている。しかし、中国のように一部の地域では12%も伸びている。航空機が消費するエネルギーは運輸部門の11.6%でありGHG(地球温暖化ガス)排出量の2%にあたる。運輸部門のエネルギー消費は2050年には現在の10倍になると予測されており航空輸送における省エネは極めて大きな意味を持っている。

 運営コストの20%を占める燃料代を少しでも少なくすることは航空会社の利益に直接影響する最重要課題である。

 航空会社は会社の所在地と運行地域が必ずしも一致しないので、GHG排出量をどの地域分とするか簡単には算出できないと言う問題もある。例えばEU域内には約80の大規模な航空会社が運行しているがその内35社は本社所在地をEU域外に持っている。

 航空会社は最大限の省エネを既に実施済みとしているが、IPCCの2007年の報告によると次の様な省エネが更に可能であるとしている。

■最近開発された航空機の燃費は40年前の航空機に較べ70%燃費が向上している。1997年から2015年までに20%、2050年までに40〜50%の燃費向上が見込まれている。

■三角形の機体の全翼型の旅客機は50%以上の燃費向上が予測されており、機体の構造上現在の航空機より多くの座席を設備できる為に旅客1人当りの燃費は更に向上する。

■機体の軽量化は構造体の材質を現在の軽金属から新素材に代える事で達成できる。ボーイング787型機は主翼を全て炭素繊維素材で作り20%の軽量化を達成している。

■総2階建てにして座席数を倍増させたエアバスA380では1人の乗客が100km移動するのに必要な燃料の量が3リッター以下となりハイブリッドカー並みの燃費となった。

■超効率ジェットエンジンは全翼型旅客機に搭載されるが、GE製は13%、P&H製は13%燃費が向上するとしている。

■ITやGPSを使って航空機の航行ルートの最適化、CDA連続降下着陸(9月11日参照)、地上でのタクシーイング距離の短縮など、運行面から5〜10%の省エネが可能である。

これら全ての改善を実施する事で40〜50%の省エネが可能となる。

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04 Dec 2011   02:39:19 pm
超高速鉄道
世界が注目日本の新幹線技術

 持続可能性社会における中距離交通機関として超高速鉄道が注目されているが、ファクター5では日本の新幹線技術を最大に評価して紹介している。

 超高速鉄道の手本とすべきは長年の実績を誇る日本の新幹線技術である。2011年から営業を始めた東北新幹線の「はやて」は次世代新幹線とも呼べる技術革新が行われている。E5シリーズでは東京―新青森間713.7kmを最高速度300km/hで、3時間10分で営業している。この路線の設計最高速度は360km/hであるので将来360km/hの営業運転となれば2時間40分となる。投入されている車両は、新しい車両傾き制御とサスペンションシステムにより安全性と乗り心地が改善されている。車両は15mのスレンダーな設計で空気力学的な抵抗が最小となっている。車体はアルミ軽金属を用いた構造で軽量化が図られエネルギー効率アップされた。トンネル突入時に発生する超音波騒音やパンタグラフの摺動音は先頭車両とパンダグラフをバイオミミクリ―(ブログ10月1日参照)を使った設計で最小化して周辺住民への配慮がなされている。新車両には最新の航空機のビジネスクラス並みの座席を1車両16席配置したスーパーグリーン車も投入されている。

 米国のオバマ政権は2008年4月16日に高速鉄道網建設計画を発表した。200km〜1000kmの間隔を持つ大都市間を接続する高速鉄道網の計画である。8000億円を投資して始められ、5年間にわたり毎年1000億円が投資される。
「この高速鉄道網は人々を海外からのエネルギー源に頼る自動車交通から鉄道利用へ乗り換えさせるものであると同時に、地球にも優しくする事に導くものである」と副大統領ジョー・バイデンは語っている。

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03 Dec 2011   12:43:27 pm
ビデオ会議
顔と顔を合わせての対話は重要しかし、

15年前に発刊された「ファクター4」では飛行機や自動車を使って出張する代わりにビデオ会議を使えば省エネになりGHG(地球温暖化ガス)の排出量も99%以上も低減できると提唱した。

今はインターネットに接続されたPCを使う事で、誰でも簡単にビデオ会議を行う事ができ、相手の顔や表情を見ながらの対話が殆どの場合全くの無料で可能である。Skype, MSN Messenger, Yahoo Messenger, NetMeeting, SightSpeed等のいずれかがたいていのPCに既にインストールされている。ビデオ会議に必要な機材であるUSBカメラやマイクなどは小額の出費で購入でき、誰でも即座に世界中の相手とテレビ会議が出来る環境が整っている。

次に挙げる例は企業や団体がビデオ会議で省エネをしている例である。

■会計監査法人プライスウオーターハウス・クーパース(PwC)全体が排出しているGHGの50%は出張によるものである事が分かった。同社はGHGを低減する目的に出張をビデオ会議に置き換える事を推進した。その結果2008年7月から2009年12月までの間にPwCは2000トンのCO2排出量低減を達成した。同時に200万ポンド(約2億4千万円)の経費の削減ができた。

■ドイツの大手電話会社ドイツテレコムとその傘下のTモバイルは2004年から2007年の間に4万回のビデオ会議が持たれ7000トンのCO2排出量の低減が行われた。同時にのべ20万時間の移動の為の拘束時間が減った。

■英国政府国際開発局(DFID)では2005年に735回のビデオ会議が持たれ、GHG排出量を303トン低減した。

■ボーダフォンは世界中に200のビデオ会議ユニットを配置した。そのうち6つは「ラウンジ」である。このシステムの導入と同時に同社では出張申請の際に事前に最低一回のビデオ会議を行った報告をつける事になっている。この方式が始まって2007年2008年で17,388トンのCO2排出を低減した。出張は20%少なくなった。

航空会社には痛手かも知れない。

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02 Dec 2011   06:02:50 am
鉄道貨物輸送(2)
更なる鉄道貨物輸送の効率アップ

昨日は鉄道貨物輸送の効率アップが行われている現状を述べたが、今後さらに次の様な効率アップの戦略が立てられている。

■長大な貨物列車を停止させる際のブレーキエネルギーの回収技術の向上である。ブレーキング時に発電してその電力をバッテリーに蓄え再利用する事で燃費の向上を図る。現在EVやHEVで開発されているリチウムイオン電池や次世代バッテリーを使用する事で短時間に大電力をチャージする技術を開発しブレーキングエネルギーを無駄なく蓄え再利用する。

■IT技術とGPS技術を使用して運行速度の最適化を行う事で燃費アップを図る。列車重量とGPSと地図情報から高低差を予測し最適速度制御を行う事で無駄な加速や減速を減らし燃費の向上を図る。

■貨車の積載率の向上で効率アップを図る。ロジスティックをIT技術を導入して行う事で貨物移動距離の最適化、空貨物の移動の低減を図る事で燃費アップを図る。

■貨物車編成ヤードでは専ら貨車をレール上での水平移動により編成作業が行われているが、これを港湾のコンテナヤードで行われているような立体的な横方向移動を使って行う事で効率のアップを行う。これについては15年前のファクター4で述べられている。

■従来から貨車の構造材料は鉄と決まっていたが、軽金属や新素材を使って軽量化する事で燃費のアップを図る。

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