最も効率の良い陸上輸送システム
近・中距離輸送の1トンの貨物を1km輸送するのに必要なエネルギー(単位メガジュール)を比較すると、小型トラック21.07、大型トラック2.95、超大型トラック0.98、貨物列車0.09と格段に鉄道輸送の燃費が優れている事が分かる。本質的に鉄輪とレールの摩擦はタイヤとアスファルト摩擦に較べて小さいからである。その上多数の貨車をけん引する事で更に効率が上がる。
鉄道輸送事業者は図に示すように1980年〜2007年にかけて燃料消費は殆ど横ばいなのに輸送量はほぼ2倍になるような努力を重ねている事がわかる。
スイス鉄道はその最も先端を行っており、エンジンの効率アップ、回生制動技術の向上、車両重量の低減、摩擦の低減などで合計60%の省エネを達成している。
さらに鉄道事業者は貨車編成、経由ルート計算、貨車編成作業の効率化、出発地点から目的地までの貨車の移動距離の最小化などロジスティックの研究により単位輸送距離当りの全体コストの低減化を図っている。現在までに実施されている鉄道貨物輸送における省エネは次の通り。
1.エンジン効率はエンジン構成部品の材質改良による軽量化、最新燃焼技術の導入に依るディーゼルエンジンの効率を55%向上させた。これは全体の燃費を20%向上させた。
2.アイドリングストップにより10%の燃費改善を達成した。貨車編成ヤードで使うディーゼル機関車をコンピュータ制御された小型700馬力ディーゼル搭載のものにし、自動アイドリングストップにした為にヤード内での燃費が50%向上した。
3.ヘッドライトや運転席内の照明をLEDにした事で照明電力はバッテリーからのみで行えるので照明を点灯する為にエンジンをかける必要が無くなり燃費が向上に寄与した。
4.空の貨物台車は空気力学的に空気の流れの乱れを作り抵抗を増やす。これを防止する為のカバーを取り付ける事で25%の摩擦低減ができた。
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