ダンテの森    
19 Feb 2012   09:55:17 pm
環境税の長期戦略
資源とエネルギーの価格を長期的に上昇させる

 だんだんと問題の核心に近づいて来たので内容が難しくなってきたが、大事なところなので我慢して読んでいただきたい。

 ファクター5では持続可能社会を実現する方法として環境税の導入により長期的に原材料及びエネルギーの価格が上昇し続ける政策を提案している。

 その中心的な考え方は、資源生産性とエネルギー効率の向上の度合いに従って原材料とエネルギーの価格が着実に上昇し続ける様な政治的合意を形成すると言うものである。

 その価格決定方針の基準となるべき条件は次の通りである。

―管理と制御の単純性
―予測とその信頼性
―社会と経済界の受容性

 政治はこれらを完全なるガラス張りの中で行って行く事が重要となる。

 資源生産性の向上と省エネの達成度合いを測定し、次年度を予測し、原材料とエネルギーに課する環境税を決定する事で価格の上昇を軌道に乗せて行く必要がある。

 この政策が回転し始めると、平均的な資源生産性の向上と省エネを実施している限り原材料とエネルギー価格の上昇が家計や企業の税務状況を悪化させる程のインパクトを与える事は無い。しかし、依然原材料とエネルギーの浪費を続ける人々や企業のとっては値上げはインパクトとなるであろうし、その逆に平均以上に資源生産性や省エネを進めた家庭や企業は利益が増加する事になる。

 この戦略が最も経済的におおきなインパクトが働く国々は、中国、バングラデシュ、米国、日本、ドイツ、エジプト等の原材料、エネルギーを輸入に頼っている国々である。

 これらの国々では、資本や知的資源を可能な限り国内に残すことを考えながら資源やエネルギー輸入に依存しない産業構造の変更をある程度考えなければならないだろう。しかし、この様な措置が必要な国の数は限られており、大多数の国では低炭素社会経済への移行は可能としている。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
18 Feb 2012   10:35:05 am
グリーン・ファッション
緑色を着ることでは有りません。

 染色は、環境負荷がとても高い工程である。(2/8 NY Green Fashionより)

 環境負荷削減に力を入れるスポーツウェアブランドのナイキによると、一般的な染色方法では、1kgの繊維を染めるのに100-150リットルの水を必要とし、年間のポリエステル繊維の染色量は2015年までに3,900万トンになると予測されているとされる。

 繊維が服になるまでの過程で、エネルギーの75%、化学薬品の65%、水の85%が染色工程で消費される。たとえ素材にオーガニックコットンやリサイクルポリエステルなどを使っても、染色時に大量の水や有害な化学物質を使用すれば、サステナブルとはいえない。

 ナイキは、水を使わない染色技術を開発したオランダのダイ・コー社と長期戦略提携したことを発表した。

 ダイ・コー社が開発したのは、超臨界二酸化炭素を使う染色技術。水も助剤も使わず、乾燥も不要、エネルギー使用量を削減でき、そのうえ使用した二酸化炭素を再利用できるというもの。超臨界二酸化炭素とは、臨界点以上の温度と圧力下においた二酸化炭素のこと。気体と液体の中間のような状態で、気体のような拡散性と、液体のような密度を持つ。コーヒーの脱カフェインや、天然香料の抽出、CO2ドライクリーニングなどにも使用されている。

 水を使用しない染色技術を商業利用可能なレベルで実現したのは、同社が世界初で現状ではポリエステルのみ利用可能だが、その他化学繊維や天然繊維にも対応できる技術を開発中としている。

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17 Feb 2012   06:03:01 am
環境税(炭素税)
省エネリバウンドを防ぎ持続可能社会を築く政策

 ファクター5の最終章ではエネルギーと資源の価格を上げて行く事が環境と人類の営みのバランスを取り持続可能社会を実現する方法の一つとして示されている。

 さまざまな技術革新によって省エネや省資源が達成された場合、その実績に応じて環境税を課す事でエネルギーと資源の価格を上げて行くと言う方式である。それまで、ある金額で得られていた快適さや利便を省エネや省資源が達成された後も同じ金額を払い続けると言う方式である。最終消費者は従来と同じサービスを受けるのには同じ金額を払う事になる。こうしておかないと省エネや省資源で需要が下がると価格が下がり、価格が下がると次に別の消費先が作り出されてまた消費が増えると言う一番恐れるリバウンドが起きてしまう。

 これにより生まれる新たな原資は、省エネや省資源を開発し、その為に努力や労務提供を行った企業や家庭に対しての報償や、リベート、補助に充てられ更ななる省エネ、省資源を推進する希望や力となるべきものである。

 しかし、この方法が全ての業界に当てはまる訳ではない。例えば運輸業界や電力業界には別の方式が考慮されるべきであろうし、その他のいくつかの例外的な業種やグループの為になにがしかの原資のプールも必要になるかも知れない。

 しかし、そのような例外はあくまでも期間を限られての措置であるべきで、特別権益を得られるようなグループができないような歯止めが必要である。

 海外では、炭素税としてフィンランド、オランダ、スエ―デン、ノルウェ―、デンマーク、ドイツ、イタリア、イギリスで既に導入されている。

 現在の民主党野田政権は消費税で精一杯で、環境税などとてもおぼつかないが、持続可能社会を目指す上で避けては通れない議論である。増税には何でも反対の政党が多いし、財界も労働界も反対が予想され我が国での成立は簡単ではない。

カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
16 Feb 2012   07:05:45 am
グリーン外食産業
家庭料理が最もグリーン

 レストランやファーストフードチェーン店が間接、直接に環境に与える影響は一般に考えられているよりもずーっと大きい。

 カナダの団体の研究によると、一般人が家庭の以外でGHG(地球温暖化ガス)の排出をする要因のNo.1が外食であるとしている。アメリカ市民は平均的に食費の半分は外食に支出している。

 外食産業が提供する料理は、一般人が同じメニューを家庭で調理して食べる場合の約15倍のエネルギー消費をしていると、この研究は報告している。

 世界には800万のレストランと30万のホテルにレストランが有り、そのエネルギー消費は莫大なものとなる。

 この研究はさらに世界展開している4つの代表的なファーストフードチェーンの省エネ活動を報告している。省資源、省エネルギー、グリーン購買、ゴミの低減、廃棄物のリサイクル等を行った4つのファーストフードチェーンではこの省エネの為の企業努力は、結果として財務状況を改善しており、グリーン化努力は決して財務面での負担にはならない事を証明したとしている。

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15 Feb 2012   06:09:40 am
LEED認証ビル
世界に較べて異常に少ない日本のグリーンビル

 建築はGHG(地球温暖化ガス)総排出量の40%を排出している。

 グリーンビルとは省エネ設計をされたビルの事を意味し、建物がグリーンに塗装されているビルの事を言うのではない。グリーンビルはGHGを減少させる最も安価で効率的で世界中どこでもすぐに実行可能な方法である。なにも新築に限らず、改築やリフォームでも達成できる。昨年10月17日にこのブログで紹介したが、ニューヨークのエンパイアステートビルが改築でグリーンビルに生まれ変わっている。

 グリーンビルの外側に構造はもとより、内部もグリーンデザインでなければならない。内装材は有毒物資を含まないリサイクル材を使い、自然光を取り入れた省エネ照明、省エネHVAC(暖冷房)システム、室内空気品質と循環を考えた設計、リサイクルにより水の消費量の削減、ゴミ排出量の低減など、全ての点が評価され認証が与えられる。

 エアフロー・センサーにより制御される空気の流れ、フローリングや家具の配置も空気の流れを考慮に入れて配置される。自分専用のマグを使いたくなるような充実したキッチンデザインは紙コップやペットボトルを減少させる。

 いくら省エネ設計のビルでもその立地が公共交通機関ではアクセスできないような場所にあってはグリーンビルとは成りえない。

 グリーンビルで働く人たちの病欠率も下がり、仕事の能率が上がる事も報告されている。

 LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証制度は商業ビルや住宅のグリーン度を調査して認定を与える制度である。2011年現在、11,363の商業ビルがLEED認証を受け、32,773が申請中である。日本では2011年11月に東京の飯野ビルがLEEDプラチナ認定を受け、今年に入ってNTTファシリティーズビルがLEEDシルバー認定を受けたが、世界の中では著しく少ない。

 日本はそろそろエネルギーを作り出すよりもエネルギーを使わない事の方が、優れた持続可能性社会への道である事を学ぶべきである。

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