ダンテの森    
16 Mar 2012   05:59:20 am
車の省エネデザイン
革命的なデザインを行うのに必要な戦略

 昨日に引き続き車の設計の話である。ファクター5が提案する設計戦略では、まず車体重量を安全性能を考慮した上で、最軽量な車体の設計を行うことから始める。

 次に推進系であるが、軽くなった車体を動かすのに十分かつ最小・最軽量のパワートレインつまり、エンジン、クラッチ、変速機、プロペラシャフト、ディフェレンシャルギアの最小化設計を行う。

 次にシャーシー設計は軽くなった車体と推進系を乗せるシャーシーの最小化を設計する。電装部門はここまで設計された全ての仕様を考慮に入れながら最小化・最軽量化を設計する。整備の為の設計と空力設計はそれぞれ最小化を目的に設計をする。

 ロッキーマウンテン研究所はこの設計戦略を用いてハイパーカーの車重を52%軽減する事に成功している。

 車体は低密度高張力のカーボンファイバーやケプラーと言った新素材を取り入れる事で安全性を保ちながら軽量化を行った。軽量化された車体を推進するには推進系の転がり摩擦係数が減る為に車体が軽くなった割合以上にエンジンの出力は小さくて済むと言うように掛け算で軽量化が進み大幅な軽量化が可能となる。

 従来の設計方式は短期間で新デザインを行うのに適しているが、画期的な変革を行うには柔軟性に欠ける。この方式ではデザイン全体の時間は掛るが画期的な変革が可能である。

 しかし、実際の自動車産業では、この設計変更に基づく生産設備の変更、冶工具の設計、生産管理体制の変更、品質管理設備と体制の変更など工場全体にわたる大幅な変更が生じる。
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15 Mar 2012   12:35:42 am
乗用車の軽量化
ドラスティックな軽量化は望めない現在の設計体制

 GHG(地球温暖化ガス)排出の22%は運輸部門である。その内44%は乗用車が占めている。乗用車は今後中国、インド等の開発途上国で爆発的な増加が見込まれている為、2010年には世界で年間5千万台が生産されたが、2020年には7千2百万台が生産される事になる。これらの新車は大幅な軽量化、エンジンの小型化が図られなければならない。

 従来の自動車の設計は図で示すように、車体設計、パワートレインと呼ばれる推進系、シャーシー、電装系、整備、流体力学がそれぞれ現有の技術に改善を重ね現時点で最高の効率を達成できる成果を持ち寄る形で行われている。

 各部門が割り当てられた設計要素の開発に集中する事で専門化の効果を最大化するようにデザインされた分業化の製品開発と呼べる組織で設計し、パフォーマンスを最大化する方法である。

 しかし、この方法では車重を大幅に軽量化すると言う目標を設定しても、各部門ごとに現有技術に基づいた改善の積み重ねを行っても他部門との擦り合わせを考えると従来の仕様から大きくかけ離れた設計は行えないので、革命的な改善は期待できない。

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14 Mar 2012   04:10:55 pm
アメリカの自動車燃費
ガソリン代の高騰でやっと燃費を気にするようになったアメリカ人

 現在、自動車保有台数のトップはアメリカである。アメリカの燃費基準は図のように大変悪く日本とEUの半分を少し上回る程度である。

 アメリカの自動車の燃費は、現在日本やEUで既に開発され実施されている燃費向上の為の対策を導入するだけで、開発コストをかけることなく25%の燃費向上が可能である。この対策の為に必要な車両価格のアップ分は、節約される燃料代の1年分足らずである。

 現在、日本やEUの自動車メーカーが開発している車両の軽量化、小型化、低燃費エンジンは更に50%の低燃費化を可能にする。トヨタとホンダのHEV(ハイブリッド車)は既にこの目標数値を上回っている。

 但し、日本車や欧州車はアメリカの都市部では受け入れられているが、地方では需要が異なる。(2011年10月27日を参照)ロッキーマウンテン研究所によるとアメリカで好まれるSUVをHEV化した場合の燃費の向上は70%が可能であり、その為の車両価格の上昇分は2年間程度の燃料代の節約分で回収できるとしている。

 しかし、実際自動車のセールスをしている人の話を聞くと、やはり車両価格は購入者にとって購入決定の際の重要な条件となるとの事で、例え維持費が安くなる事が分かっていても高い車は不利であるとの事であった。やはり燃費向上分は環境税を燃料価格に反映させて、燃費の良い車を購入する消費者にインセンティブを与える「エコカー減税」が必要となる。オバマ大統領の古い車を買い替えると4500ドルが補助されるスクラップ・インセンティブは好評で数週間で予算を使い果たし、補正が組まれるほどであったが、やはり政府による環境保護の為の施策は有効である。

 現在、アメリカではガソリン価格が4ドル/ガロンに近づくほど高騰しているのが幸いして大型車よりも中型、小型車の売れ行きが良くなっているのは良い事で有る。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
13 Mar 2012   07:45:38 am
下水熱の再利用
2012/03/08 環境ビジネスより
http://www.kankyo-business.jp/

関西電力など、未処理下水を熱源に利用したヒートポンプシステムの実証試験を開始

関西電力、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、大阪市立大学、総合設備コンサルタント、中央復建コンサルタンツは、都市域の下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術の実証試験設備の実証実験を開始すること発表した。

現在、民生部門におけるエネルギー消費は、冷暖房・給湯用が家庭部門で約55%、業務部門で約40%を占めている。ヒートポンプは、冷暖房・給湯のエネルギー消費削減に最も効果的な機器だが、機器単体の改良だけでは削減効果が限定的であるため、熱源や利用側等を含めてシステム化し、効率的に作動させる技術の開発が求められてきた。2012年度末までに総合効率1.5倍以上を有するシステムの確立を目指す。

都市部等の下水は、冬季は外気よりも水温が高く、夏季の昼間は外気よりも水温が低いため、従来のボイラーに替わる給湯用や暖房用ヒートポンプの熱源水や、冷房用の冷却水としての活用が期待されているが、日本の下水の熱源利用は、ほとんどない。そこで今回、都市部を流れる下水を「熱源」ととらえ、下水熱の利用度を高めるために、既存の下水管路網を対象に、給湯や冷暖房を需要とする建物の熱利用を可能とする下水熱利用システムを開発することになった。下水熱利用システムは、未処理下水用の熱交換器とヒートポンプからなっており、熱交換器の性能評価や耐久性評価も行う。

今回は、大阪市千島下水処理場内に、未処理水を用いる下水熱利用実証試験設備を構築し、実証試験を開始する。今後、冬季と春季までの実証運転を行い、下水熱利用システムの実証を実施。2012年の夏季には、下水熱融通効果を実証するための試験設備を追加構築し、秋季と冬季に実証試験を開始する予定。
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12 Mar 2012   05:51:48 am
エコ・フットプリント
理想的な位置にある日本

 ファクター5の著者フォン・ヴァイツゼッカー教授は持続可能な社会とは、地球と人類の関係のバランスを取る事で有り、エコロジカル・フットプリント(EF: Ecological Footprint)を最小に人間開発指数(HDI: Human Development Index)を最大にすることであるとしている。

 エコロジカル・フットプリント(EF)とは地球の環境容量を表す指標で人間活動が環境に与える負荷を、資源の生生産と廃棄物の浄化に必要な面積で表したものである。一人の人が生活を維持するのに必要な陸地及び水域の面積(ヘクタール/人)で表す。アメリカがトップで9.6ha/人、ドイツは4.5、日本は4.4、中国は1.6、インドは0.8である。

 人間開発指数(HDI)はその国の国民がどの程度レベルの高い生活をしているかを示すもので、次の3つの指標の平均値から算出される。
■平均余命指数
■教育指数(成人識字率、総就学数)
■GDP指数

 図は縦軸にEFを横軸にHDI指数順位をとってプロットしたものである。右下に来るほど、持続可能性が高いと言える。

 日本は右下に位置し先進国中ではトップレベルの持続可能性を持っている事になるが、EFはまだまだ大きい。

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