ダンテの森    
20 Apr 2012   07:12:47 am
サーモグラフィー
市街地サーモグラフィーで地域単位での省エネ計画に役立つツール

 建築はGHG(地球温暖化ガス)排出量が一番多く40%を排出している。地域差はあるが、おおざっぱに言ってオフィス商業ビルではその50%が、住宅では30%が暖冷房に消費されている。

 ファクター5では建築物をパッシブハウスにする事で、建築物の消費エネルギーを80%以上削減が可能である事が紹介されており、このブログでも何度も取り上げている。

 従来の建築物は余りにも断熱が悪く、家庭やオフィスで消費される暖冷房の為のエネルギーの殆どは、建築の主な構造体である柱、壁、窓を通して外に漏れてしまっている。これは構造体に使われる材料が熱の良導体である事から起きている。室内を暖冷房しているつもりが、街全体を暖冷房しているようなものである。建物を断熱効果のある材料で包み込み窓はガス入りペアガラスや断熱フィルムを貼る事で解決でき、これは新築に限らず改築でも十分な効果が得られ、外断熱と呼ばれている。

 サーモグラフィーと言う技術が有る。物体から放射される赤外線の分布を写真にする技術で、数年前にインフルエンザが流行した時に空港に設置され入国する旅行者の顔を撮影して体温の高い人を見つけ出していた、あれである。温度が高いと黄色く、低いと緑から青に表示される。

 4月19日のGreenBiz.comによると、この技術を使って建築物の温度の漏れの状態を地域単位で見る事ができる技術が開発された。米国マサチューセッツ州ケンブリッジのベンチャーEssess社は建築物のサーモグラフィーを高速に移動する自動車の頭に取り付けたマルチスペクトル・サーマル・ハイスピード・カメラで連続撮影してデータを収集する技術を開発した。これにより集められたデータはグーグルアース的な閲覧ツールを使って見る事ができる。

 地方公共団体、コミュニティー、デベロッパーなどが地域の省エネ設計をする上で有効なデータを提供する事をビジネスにしようとしている。

カテゴリー : 他メディアより | Posted By : dantesforest |
19 Apr 2012   06:02:01 am
製鉄の省エネ
水素還元製鉄はホープ

 製鉄はGHG(地球温暖化ガス)排出量の7%の責任があり、セメントと並び単一産業としては大口のCO2排出源である。

 1995年の資料によるとドイツの製鉄が最も効率が良く18GJ/t、1トンの鉄を作るのに必要な熱量を18ギガ(10の9乗)ジュール使っている。最悪はインドの37GJ/tで、世界平均は28GJ/tである。ちなみに日本は22GJ/tである。

 製鉄業界では熱源を現状では90%は石炭であるのをリサイクル燃料に置き換える研究が行われている。

 オーストラリアの研究所によると30%をプラスティック廃材に置き換える事が可能であるとしている。米国鉄鋼研究所(AISI)によると車の古タイヤ、ゴム廃材、廃油などが、有毒物質を大気中に放出しない方法が確立されればと言う条件で代替燃料として使用が可能であるとしている。

 最先端技術としてはCO2排出量がほぼゼロになる水素還元製鉄が研究中である。通常、石炭から出る一酸化炭素を鉄鋼石に反応させて鉄鉱石中の酸素を取り去り還元を行うのがあの100mもの高さの高炉で行われている製鉄であるが、この時大量のCO2が発生している。しかしこれを水素で行うと出てくるのは水(H2O)だけでCO2は全く出ない。また、水素分子は炭素分子に較べて小さいので鉄鉱石の奥深く入り還元を行う事ができるので反応時間が1/5に短縮でき省エネになる。

 次のURLで水素還元製鉄の詳しい説明とアニメーションを見る事ができる。

http://www.jisf.or.jp/course50/tecnology01/

これ以外に、昔に戻って木炭で製鉄を行う方法が有る。木炭による製鉄は60%のGHG排出量削減が可能であるが、この為にむやみに森林が伐採されると別の環境負荷が増えてしまう事になる。

カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
18 Apr 2012   05:59:08 am
中国の農業近代化
現状のままの中国農業こそが持続可能社会にマッチ

 中国では農業分野に於いて理想的な資源の効率利用が行われているが、残念な事にそれは経済の発展に伴い崩れようとしている。

 まず、この国の高い食糧自給率は食糧の長距離輸送による輸送の為の燃料消費を抑える事でフードマイレージに貢献している。

 高密度の野菜生産は比較的に狭い耕地面積で無駄なエネルギー消費を行う事無く多くの人の胃袋を満たしている。中国の農業は労働力集約産業であり、農民の報酬は驚くほど低く抑えられている。中国では100ヘクタールに300人が就労している。米国では2人で、世界平均は27人である。

 当然、農業の機械化は遅れており1000ヘクタールにトラクターが6台である。アメリカでは27台、世界平均は18台である。

 中国の農業で非常に高いものは肥料の使用量で1ヘクタール当り279kgで、世界平均の2.5倍である。しかし、この大半は農作物そのものが堆肥となって使われており、エネルギーを大量消費する化学肥料使用を最低限に抑えている。化学肥料は1902年にドイツのフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュによって発明され、高圧と高温を必要とするアンモニアの製造法は発明当時「水と石炭からパンを作る」と持てはやされ現在も広く使われているが、1トンの肥料を作るのに30GJ(ギガジュール)を必要とする。因みに鉄1トンを作るのには20GJのエネルギーを必要とする。

 しかし、中国政府は都市部と農村部の格差の是正を図るために農村部への機械化の推進を行い、農業へのエネルギー注入を行おうとしている。点滴灌漑などを使った省エネ農業を目指して貰いたい。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
17 Apr 2012   07:22:16 am
エネルギー浪費の歴史
化石燃料の浪費は人類の特権か

 地球上に住む全ての生物は太陽光のエネルギーだけでその営みを続けている。正に持続可能社会である。その地球上で唯一の例外は人類である。人類のみが太陽光エネルギー以上の資源を使用している。古くは森林を伐採して熱源にし、産業革命以降は石炭、石油などの化石燃料をあたかも無尽蔵に有るかの如く浪費しそれでも足りなく原子力発電まではじめた。

 我々の頭には、豊かな生活=資源の消費、より豊かな生活=より多くの資源の消費と言う公式がまるで公理の様に刷り込まれてしまっている。省エネと言うと、売上の減少→経済の後退→豊かな生活からの決別という風に考えられがちである。

 産業革命以降のわずか200年の間に地球人口は10億人から70億人になった。そしてエネルギー消費量はその間60倍に増えている。現在エネルギーの消費の80%は先進国の10億人が消費している。中国、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア等の30億人がそれに続こうとしており、彼らは先進国の10億人と同じくエネルギーを消費する権利が有ると主張している。まだ何のエネルギーの恩恵にもあずかっていない人々がさらに30億人いることを忘れてはならない。先進国はエネルギー消費を増やさなくても豊かさが得られることを身を持って示す使命がある。

 自然界では樹木は太陽光のエネルギーだけで、人類の作りだした大発明であるプラスティックと同じような機械的性質を持てる木材を作り出す。そこには化石燃料も、熱も、圧力も必要としていない。クモが吐き出す繊維は人類の最新技術の炭素繊維に勝るとも劣らない機械的性質を有するが、それを作るのには熱も、圧力も使っていない。

 人類は持てる英知を使って資源の浪費をせずに快適な生活ができる方法、つまり持続可能社会を作れるはずである。
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16 Apr 2012   06:01:10 am
水資源の再利用
ライン河の水は10回リサイクルされている

 水資源に関しては旧来から存在する水利権と水質汚染対策の規制がうまく絡み合って大変幸運な状況が形成された。

 水資源利用の優先順位は工業先進国において、1960〜1970年代の河川、湖沼、海洋、地下水の水質汚染問題への解答として、国境を越えての規制が導入されて行った。2000年10月にEUで採択されたEU水枠組み指令で、EU地域の水質を持続可能に利用でき生態学的に健全な状況にする事を目的にしている。これ以外に1983年採択のEC飲料用水指令がある。

 最新の標準値は現在の水道水に含有される可能性のある48の微生物と有機物質について細かく数値で規定されている。これらは定期的に検査され報告されている。人口密集地域にあってはより厳しい標準が適用され水道水の供給配管システム内に検査地点を定めて検査が行われている。

 水道水の供給企業は水道水の元となる河川、湖沼、貯水池、地下水に対する数々の水質規制がより厳しく掛けられるように議会に対してのロビー活動を展開している。その目的は彼らがより清浄な水を原料として入手できるようにする為である。

 これが効をなして都市排水、工業排水に対する規制は大変厳しいものとなった。そのお陰でEUの水質は著しく改善された。例えばスイスに源流を発しドイツ、フランスの人口密集地域と重工業地域を流れ、オランダから北海に注ぐライン河の水質は浄化が進んだ。ライン河から取水されて再び放流される水の水質は河に放流ご直ちに取水しても上水道として利用が可能な程である。このお陰でライン河の水は10回以上再利用されており、ファクター10を達成している。
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