ダンテの森    
26 May 2012   10:04:19 am
CO2排出過去最高に
May 26th, 2012 Finance GreenWatchより、

昨年の世界CO2排出量、中国急増で過去最高に=IEA (Reuters)

 【パリ24日ロイター時事】国際エネルギー機関(IEA)は24日、2011年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量が過去最高を記録したと発表した。中国の排出量が急増し、米国や欧州での減少分が相殺されたという。IEAの暫定推計によると、11年のCO2排出量は前年比3.2%増の316億メートルトン(348億3000万ショートトン)だった。世界最大の排出国である中国の排出量が9.3%増加したためで、石炭の利用が増えたことが主因だ。
 IEAの主任エコノミスト、ファティ・ビロル氏はロイター通信に対し、「このデータを見ると、(50年までに)気温が6度上がるシナリオと完全に一致する。これが現実になると地球に壊滅的な影響が及ぶ」と述べた。

 科学者らは、農産物の不作や氷河の溶融といった気候変動による壊滅的な影響を回避するには、今世紀の地球の平均気温が産業革命以前の水準から2度以上上昇しないようにする必要があると指摘している。そして、それは20年の排出量をCO2換算で440億トン前後に抑えなければ実現不可能だとしている。

 ドイツのボンでは現在、180カ国以上の交渉担当者が集まり、気候CO2変動に関する新たな取り決めの15年までの締結を目指して作業を行っている。狙いは京都議定書の期限が今年末に切れた後の排出削減を確実にすることだ。しかし、交渉手続き上のいざこざがあったり、経済的な問題により排出削減の意欲が薄れたりしていることが会議の進行を脅かしている。

 ビロル氏は「直ちに交渉の突破口ができると考えるのは非現実的だ。国際的な政策アジェンダ(目標課題)における気候変動の重要度は下がっている。憂慮すべき傾向だ」と述べた。

 また同氏は福島第1原子力発電所事故後の日本の原発稼働停止が及ぼした影響を警告した。原発の段階的停止は11年の日本のCO2排出量が2.4%増えた主な要因となった。同氏は「日本については、排出増の理由がもっぱら化石燃料の使用増にある。これは他の国で脱原発が進むとどうなるかを示す重要な例だ」と述べた。

 中国のCO2排出量は昨年急増したが、IEAによると、国内総生産(GDP)1単位当たり排出量(カーボン・インテンシティ=炭素強度)は2005年から11年までの間に15%減少した。これは世界第2位の経済大国になった中国が、成長促進にあたってCO2消費の節減方法を講じつつあることを示唆している。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012052500380
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25 May 2012   05:57:34 am
商業建築の照明
一番簡単な電球型高機能照明への交換

 商業建築が排出するGHG(地球温暖化ガス)のかなりの部分は室内照明で使うエネルギーから出されている。中国では8%(2000年)、欧州では14%(2001年)、アメリカでは37%(2003年)となっている。

 これまで、何度もこのブログには書いて来た事であるが、照明の節電の一番の近道は、白熱電球から蛍光灯やLEDなどの高効率照明に交換することである。これだけで75〜80%の省エネになる。白熱電球を電球型蛍光灯や電球型LEDに交換するのは、電気配線にも照明器具にも手を付けることなくでき、即座に75%以上の省エネとなる。白熱電球よりも高価な購入価格の差額は2〜3年の節約された電気料金で回収可能となる。

 レストランやウインドウ・ディスプレイで多用されている低電圧ハロゲンランプは光変換効率が悪いだけでなく、多くの熱エネルギーを室内に放出し、冷房効果を悪くする。これらはLED照明に換えることで75〜85%の省エネになる。

 改築の場合には、太陽光の効果的な採光と室内のオフィス家具の配置や天井、壁、床、家具の色などを配慮する省エネ設計をすることで、日中の照明に使う電力を最大80%も節約が可能になる。

 人感センサーや照度センサーによる照明のON/OFFは更にエネルギー消費を下げる。人感センサー内蔵のLED電球(写真)も出ている。

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24 May 2012   06:06:55 am
デカップリング
資源消費の増加が生活を豊かにしてきたと言う嘘

 当ブログの元になっている「ファクター5」の著者であるフォン・ヴァイツゼッカー教授が共同議長を務めている国連環境計画の国際資源パネル(IRP, International Resource Panel)は世界各国における資源の持続可能性を追求しつつ、経済発展と生活の向上を続ける事を研究・開発する専門家集団であるが、このIRPが現在進めているのが「デカップリング」Decoupling(分離すると言う意味)である。

 これは資源を何倍にも活用する事は資源使用量の減少となるが、それは経済発展を全く損なうものではなく、資源使用量と経済発展はそれぞれ別に考えるべきであるとするものである。

 従来、環境問題→省資源→GDPの低下→生活の快適性の低下と考えられがちであったものを是正するのがその目的である。

 20世紀中に、建築資材は34倍、鉄鉱石の採掘は27倍、化石燃料は12倍、バイオマスは3.6倍の使用量になった。これは全てそれだけの環境負荷を伴った。産業革命以来、資源消費が増える事が人間の生活を豊かにしてきたと信じさせられてきたが、本当はそうではなく、生活の豊かさはこれからも向上して行くべきで、それにいささかのブレーキを掛ける事無く、資源使用量を減らして行くのがデカップリングと言う考え方である。
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23 May 2012   09:21:45 am
環境税と燃料消費
環境を意識するか否かは関係なく、税にはエネルギー使用を抑制する力がある。

 歴史を見ると、1900年代の初めからドイツ、デンマーク、ラトビア、リトアニア、スロバキアに導入されたローソクやランプ用の石油に課税していた「照明税」とも言える税金が後に電球に課税されるようになっていたが、この税の目的は単に所得税の追加課税と言う性質のものであった為に1993年に廃止された。

 他の国では社会保障費の財源を補てんするものとして燃料税が導入されたところもある。

 1970年代に先進工業国で水質汚染公害の対策の為に導入された排水に課税する施策はまさに環境税のさきがけと言えるものであった。その効果は絶大であったことは結果として表れており、現在OECD諸国には水質汚染問題はほとんど無くなっている。このように明らかに環境税としての効果が表れていたのにかかわらず、これらの税を環境政策としてエネルギー依存に対する課税に変化させようとする動きは起きなかった。

 英国は1993年に環境に配慮すると言う動機からではなく、単に当時のサッチャー政権が増大し続けていた燃料の消費に課税財源として目を付けただけのものであったが、燃料税を導入した。

 1997年にドイツ、オランダとスカンジナビア各国は地球温暖化対策としてCO2を排出する交通機関の燃料に対し環境税の課税を始めた。

 図は、燃料に対して課税をしていないカナダ、アメリカと英国、ドイツの交通機関が排出したCO2の変化を1993年を基準に比較したのものである。環境に配慮しようが無かろうが、課税がエネルギー消費量に与える効果の大きさをはっきりと示している。
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22 May 2012   05:58:57 am
環境問題とメディア
世論を作る力を与えられているメディアの責任

 メディアの持つ力は強大で、権力と言ってもよいほどである。メディアの環境問題への関心はいまだに薄い。それは環境問題を取り上げても視聴率や発行部数が上がることが無い、つまり一般社会が余り興味を持っていないからである。

 国連環境計画(UNEP)の公認協力機関の一つに世界報道イニシアティブGRI(Global Reporting Initiative)と言うオランダに本部を置くNGOが有る。このGRIが出すGRIガイドラインと言うものがある。これは事業者の経済面、社会面及び環境面の3つの基本的な取り組みを報告すると言うもので、企業や団体に報告を求め、それを発表する事で事業者の姿勢を社会に知らせる活動をしている。

 この度、GRIはメディア産業向けのガイドラインを発表した。これはメディア産業の環境問題への取り組みが遅すぎると言う批判に応じたものである。

 メディア産業は環境問題においてユニークな役割を持っている。彼らが事業者としてのGHG(地球温暖化ガス)の排出量の抑制をしたり、紙の使用量の節約をすると言った一般企業や事業者に求められる環境への取り組みとは別に、社会の考え方に影響を与える力(Brainprint)を有していることである。

 いくつかのメジャーなメディアは環境問題と言う海の水でつま先を濡らしては見たものの、海に飛び込もうとはしていない。

 何社かはGRIレポートに答える準備はしてはいるが、その内容は一般企業としての環境対策と社会的責任についてであり、メディアが果たすべき特有の取り組みについては触れていない。

 メディアは環境問題を真正面から取り上げる時を迎えている。

メディア向けGRIガイドラインには次の項目がある。
■編集スタッフの独立性は守られているか。
■会社は表現の自由を推進しているか、制限を設けたりしていないか。
■持続可能性についての設計図を持っているか。
■地球環境が直面している危機的状態を正確に社会に伝え、持続可能性社会の重要性を伝えているか。

 GRIは、メディアがこのガイドラインを導入することで、社会からの信頼が増加するというメリットがあるとしている。

 日本のメディアがこのガイドラインを導入すると言うニュースは無い。


GRIのホームページ(英文のみ):
https://www.globalreporting.org/Pages/default.aspx
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