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25 Jun 2012 05:59:20 am |
火力発電とコージェネ |
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コージェネはどうして効率的か
また、暑い夏がやってくる。昨年は計画停電さわぎで大変であったが、今年はどうだろう。電力会社の発電所以外にコージェネからの電力が相当あると言う報道があったが、コージェネは何故効率が良いのだろうか。
火力発電所のエネルギー効率は悪く投入した燃料の熱量の35%しか電気として最終ユーザーに届かない。家庭で1000Wのエアコンを使うと遠く離れた火力発電所では2849W分の石油、石炭、天然ガス、バイオマス等を燃やして発電する事になる。発電所の変換効率は39%で1111Wの電気を発電する。1738W分のエネルギーは排熱として海水を暖め、煙突から逃がして大気を暖めている。その後、変電所や配電網を通るうちに更に約10%の111Wが失われる。
一方、大工場では必ず熱源が必要でその為に蒸気ボイラーで熱水を作って必要な部署に送っている。最近のハイテクボイラーは高効率で90%の熱効率がある。
コージェネレーションはこの工業用ボイラーでまずタービンを回して発電をする。発電した電力は長距離送電のロスもなく、電力会社の管理費も掛らない為に大変安くなる。タービンを回し発電を終えた蒸気はまだ十分熱く工業用の熱源としては申し分が無いのでそのまま使える。つまり、工場内で熱源と発電を兼ねて行う事で効率が50%以上良くなると言うものである。
図では右側のコージェネに100の燃料を投入して得られる50の熱源と39の電力を得る為には電力会社は130の燃料を投入し、工場用ボイラーには59の燃料が投入されなければならずその合計は189となることを表している。
電力会社の料金体系は大口需要家には、コージェネの安さに対抗する為に安い料金を設定し、そのぶん家庭の電力料金を高いものにしてバランスを取るようにしている。
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24 Jun 2012 07:18:06 am |
自然から習う |
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自然界のものづくりを真似るのがバイオミミクリ―
下水の処理にバクテリアを使うのはバイオテクノロジーである。自然界からものの作り方を教えてもらうのが、バイオミミクリーである。なぜ海の中で貝ができるのか?なぜ口のなかで歯ができるのか?自然は大気と水と太陽光だけから全てのものを作って来た。地球上には38億年に亘って開発された数千万種類の製造技術があり、今なお開発は続いている。
人類は過去200年間別の方法でものを作って来た。ものを作る為に膨大なエネルギーを使って来た。太陽光では足りないので地下から石炭や石油やガスを掘り出して燃やしてその熱を利用して来た。人間が製造する場合、熱する、鍛える、処理をする、と言う工程で高熱、高圧、化学薬品を使う。人間が貝や歯を作ろうとすると炭素、ケイ素、カルシウム等を高熱で焼結させてセラミックを作る。
ボーイング787はカーボンファイバーでできている為に20%の燃費が向上したが、このカーボンファイバーを1トン作るのに20トンのCO2が出る、つまり7トンの石油を使って、高温と高圧でつくるのである。クモはこのカーボンファイバーよりも強靭な糸を常温で作る。そして、自然がつくるものは年月が経つとすべて分解されるが、人間の作るものはぶざまな姿のままゴミとなる。自然の設計図にはゴミはない。
4000年前の古代エジプト人はジオポリマーセメントと言う常温で固まるセメントでピラミッドと言う巨大建築を作りその技術は、2000年後にローマでコロッセオなどの建築物に受け継がれた。しかし、200年前に人類はその技術を捨てて、石灰石を1450度と言う高温で焼結させて作るポートランドセメントに変えた。この膨大なエネルギーを消費するセメントで作ったコンクリートの寿命は50年だと言う。50年経ったら壊して新しいコンクリート建築を作ると言う設計図だ。これが現在の経済を支えているとしたらこの経済は間違っている。
リオ+20ではメインテーマのはずであったグリーン経済への移行については余り討議されなかったようだ。開発途上国は貧困を無くすのが先決だと耳を貸さなかったからだ。彼らは豊かになる為にはエネルギーが必要で、彼らにもその権利があると主張した。決議書には、「グリーン経済への移行も方策の一つである」とだけ書かれた。まず先進国がやって見せなければ説得力がない。
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23 Jun 2012 01:04:03 pm |
部分乾燥灌漑 |
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点滴灌漑よりさらに水を使わない農業
農業はGHG(地球温暖化ガス)排出量の18%と淡水消費の70%の環境負荷を与える分野である。GHGの排出要因の80%は農業用水を確保する為に消費されるエネルギーを作る為に出されるものである。更に、淡水資源は後10年で危機的な状況になることが2006年に国連環境計画(UNEP)から報告されている。
点滴灌漑については本ブログで再三取り上げている(2011.9.19-20他)が、点滴灌漑を更に効率を上げる方法が部分乾燥点滴灌漑である。これは、一部にわざと水を送らずに乾燥させると言うものである。
作物の列の奇数列と偶数列を交互に一定期間灌漑すると言うものである。その期間や水量は作物と気候により異なるが、数日間から数週間のサイクルで交互に水を送る。
根が乾燥し始めた作物は危険を察知して葉の表面にある蒸発孔を閉じたり、背丈を伸ばす事を停止したりの対策を講じ始めるという。同時にこの情報を近隣の同種の作物にも伝達するらしい。その情報は現在灌漑を受けている作物にも危機管理の為の準備を始めさせる。一定期間の後、水が戻ってくると作物は水を今までよりも効率よく使い次の乾燥に備える。乾燥し始めた作物は既に情報を持っているので、すぐに対策を講じる。これを繰り返すことで、より少ない水量で作物は以前にまして成長するという。
点滴灌漑農業は、現在一般的に行われている溢水農業の30〜20%の水量しか使わない事が知られているが、この部分乾燥灌漑ではさらにその半分の水量で済むと言う。その上、作物は背丈が短くなり収量は増加する。フルーツでは糖度が上がり品質向上となる。
現在、国際コンソーシアムが作られ、キプロス、トルコ、ポルトガルと英国で実験が行われている。穀物の他、オリーブ、シトラス系果実、トマト、ナス、ラズベリーと綿花で成果が上がっている。
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22 Jun 2012 07:02:57 am |
リオ+20合意文書 |
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リオ+20:途上国、環境より成長 グリーン経済に不信
毎日新聞 2012年06月22日 東京朝刊から
「世界の食糧生産は70億人の需要を上回るのに、4分の1は1日2ドル以下で生活し、飢えに苦しんでいる。不平等こそが貧困の原因だ。会議は不平等との闘いを最優先にすべきだ」。ニジェールのイスフ大統領は20日の開幕日に演説し、各国に訴えた。
世界の人口は途上国を中心に増え、1992年の55億人から27%増加して2011年には70億人を超えた。経済は拡大し、10年の世界の国内総生産(GDP)は92年比75%増の63兆ドルに成長。食糧生産量は45%増えたが、貧富の差は埋まらず、不衛生なスラムに住む人々は10年に90年比26%増の8億2700万人に上る。
エネルギー供給の8割は枯渇が懸念される化石燃料に頼っている。先進国だけでなく、新興国で化石燃料の大量消費が進み、地球温暖化の要因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量は08年に92年比36%増の300億トンとなった。
世界の平均気温は、92年から10年までに0・4度上昇した。氷河が解けることなどで、世界の平均海面水位は、93年から03年まで毎年平均3・1ミリ上昇した。
◆今回のリオ+20での成果文書案の主な項目◆
・グリーン経済は持続可能な開発を達成する重要な手段の一つ
・「持続可能な開発目標(SDGs)」を策定する政府間交渉の場を国連で発足させる
・持続可能な開発を推進する閣僚級以上の「ハイレベル政治フォーラム」を設置
・国連環境計画(UNEP)の財政基盤などを強化
合意文書の全文(英文)
http://www.uncsd2012.org/content/documents/727THE%20FUTURE%20WE%20WANT%20-%20FINAL%20DOCUMENT.pdf
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21 Jun 2012 06:31:19 am |
C40と言う組織 |
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リオデジャネイロ発、2012.6.19 Environment News Serviceより。
世界の58メガシティが作る地球環境を守る組織
現在ブラジル、リオデジャネイロで開かれているリオ+20「国連持続可能な開発会議」には世界190ヶ国から政府代表、NGOなどいろいろな団体5万人が参加しているが、その中にC40と言う世界の大都市の市長が加盟する組織がある。
世界のメガシティの市長が作る組織C40都市環境リーダーグループは2020年までに地球温暖化ガス(GHG)をCO2換算で2億5千万トン削減すると発表した。2030年には10億トンを削減するとのことで、この量はメキシコとカナダのGHG排出量に匹敵する。
この発表はリオデジャネイロ市長、エドゥアルド・パエス氏とニューヨーク市長、マイケル・ブルームバーグ氏により19日に行われた。
都市は国家より自由度が高く、積極的で戦略的な地球温暖化対策を作ることができるし、条例の制定もできる。それは大都市住民の地球環境に対する意識は農村部の住民より高く、市行政の挑戦を支持してくれるからだ。C40は現在世界の58の大都市が加盟しており、世界人口の1/12が居住している。世界GHG排出量の14%の責任がある。
今回発表の対策は、固形ゴミの処理に関する情報共有システムを構築して処理方法の情報の共有を行う事で、処理時に発生するメタンガスの排出を減少させる。このシステム構築には世界銀行と米国環境局が支援する。
市長たちには、椅子に座って会議をしているだけの贅沢はゆるされない。何故なら市長は先頭立って行動することが市民から求められているからであり、GHGをより少なく排出する都市に作り直す事は、市民により快適な環境を提供する事を約束しているからであると、ブルームバーグ氏は語っている。
C40は2005年に作られて以来、4734件の地球環境改善の施策を行って来た。これらは全て、市としての債権発行などで資金を調達しており、外部からの資金援助は受けていないとしている。ちなみに日本からは東京都と横浜市が加盟している。
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