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21 Jul 2012 09:51:19 am |
異常気象と地球温暖化 |
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微妙なバランスの上に成り立っている地球の環境
九州の集中豪雨で多くの犠牲者が出た事に心より追悼の意を表します。
気象庁は「これまでに経験したことの無い豪雨」と言う表現を使ったが、これからはもっと「これまでに経験したことの無い気象」を経験することになる。もともと雨の多い地域では洪水が起き、乾燥した地域では旱魃が起きている。インドの旱魃は「これまでに無い」ものだし、アメリカ東部の熱波も「これまでに無かった」ものである。
地球は多様な生命を育む事ができる数少ない奇跡の惑星である。地球は46億年かけて現在の状態になった。地球の気候は、他の惑星に較べて著しく不安定である。数日単位でめまぐるしく変わる天気、この様な惑星は我々が現在観測し得る範囲には無い。どんなに激しい台風が来ても数日経てば必ず穏やかな天気にもどる。他の惑星では強烈な嵐が何ヶ月も何年も続いているのが観測されている。
地球の気候は太陽から受けるエネルギーにより海の水が蒸発し、雲となり、雨となって地表に注がれると言う水のサイクルに支配されている。一日単位で変わる大変不安定な状態で、微妙なバランスの上に成り立っている。このバランスにとっての1℃と言う温度差はとてつもなく大きい。
これまで、コンピュータシミュレーションで地球の温度がどれくらい上がると我々の生活に致命的な影響をもたらす変化が有るかをIPCC(気候変動に対する政府間パネル)は計算して2℃がその限界であるとしており、現在国連環境計画(UNEP)が世界に呼び掛けて地球温暖化防止に取り組んでいる。過去にはこれに異論を唱える国も有ったが現在は無い。
アメリカのローレンス・リバモア国立研究所のポール・J・デュラック(Paul J. Durack)は海面の塩分濃度を計測したデータを統計処理することで、実測値で証明する事に成功した。太陽光が強く蒸発が激しい海面の塩分は上がり、雨が降り注いた海面の塩分濃度は下がる。地球の71%は水で覆われている。そして水の97%は海にあるので海の海面温度と塩分濃度を解析すれば地球の気候の変化が分かることになる。幸いな事に航行する船舶がサンプルした海水のデータや、各国の気象観測船や定点観測ブイのデータなど海面の温度、塩分濃度のデータは十分に蓄積されている。
この研究の結果驚くべき結果が出た。過去50年間に地球の温度は0.5℃上がったが、水のサイクルの速さは4%も加速されている事が分かった。これはIPCCのシミュレーション結果の倍の速さで有る。IPCCの発表を大げさであると異論を唱えた学者も過去には大勢いたし現在も居るが、この研究結果はIPCCの結果は大変保守的で有ったと言う証明になる。
水のサイクルが早まることは気候がますます狂暴になると言う事である。地球はエネルギー消費を80%改善する事で気温の上昇を止めることができる。1日も早くエネルギー政策を転換しないと孫達に地球を引き継ぐ事はできなくなる。
2012年4月27日のニューヨークタイムスのURL:
http://www.nytimes.com/2012/04/27/world/study-hints-at-greater-threat-of-extreme-weather.html?_r=1&pagewanted=print
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20 Jul 2012 05:56:51 am |
食糧の安全保障 |
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国連環境計画(UNEP)が報告書で警告:食料安全保障を支える生態学的基盤が弱体化
UNEPは6月20日、リオデジャネイロで新たな報告書『将来における飢饉の回避:持続可能な食料システムを通して食料安全保障の生態学的基礎を強化する(Avoiding Future Famines: Strengthening the Ecological Basis of Food Security through Sustainable Food Systems)』を発表した。
報告書によると、食料生産を支える生態学的基盤が人類の経済活動の為に悪化し脅威に直面しているとしている。増え続ける人口を支える食糧安全保障を確かなものにするためには、世界は早急に、根本的な生態学的基盤の維持と強化に集中的に取り組まなければならないとのこと。
そして現在70億、2050年には90億になろうとしている人口を養うためには、自然が提供する環境サービスを受け入れることが、食料安全保障にとって不可欠であるとしている。
また食糧サプライチェーンの複雑化が食糧を効率的に消費者まで行きわたらせておらず、年間総生産量の1/3が失われ、あるいは廃棄されており、その量は年間13億トンであるとしている。
またこの報告書では、農業と漁業システムを脅かすものとして気候変動が挙げられている。たとえば気候変動やその影響によって作物の育つ場所が変化し、またゆくゆくは生産量が減少することで、農業に対する脅威は深刻化するとしている。
原文のURL:
http://www.unep.org/newscentre/Default.aspx?DocumentID=2688&ArticleID=9189&l=en
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19 Jul 2012 06:02:57 am |
古代セメント |
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環境に優しく、強く長持ちするジオポリマーセメント
現在使われているセメントはポートランドセメントで製造時に大量のエネルギーを消費し、CO2を排出しており、これをジオポリマー・セメント(古代セメント)に置き換えることで地球温暖化ガス(GHG)の大幅な減少が可能である。
オーストラリアの研究機関CSIROがジオポリマーセメントについて研究の結果、現在ポートランドセメントが使われている全ての用途に置き換えが可能であるとしている。CSIROがジオポリマーセメントの機械的強度を測定したところ、打設4時間後の強度が20MPa(メガパスカル)、高湿度に保たれ28日経過後には90MPaである。ポートランドセメントの標準強度は36MPaで、超高強度の場合60MPaである。また凝固時間は短く-20℃では10時間、+20℃では1時間と短い。
マドリッドのエドゥアルド・トロハ研究所がジオポリマーセメントで鉄道用枕木としての研究をした結果大変良好な結果を得ている。鉄道用枕木はコンクリートの用途としては最も機械的負荷が高いものとして知られ、これに使用可能であると言う事は全ての用途に適応可能である証明となる。
ジオポリマーセメントの研究が始まってまだ20年しか経過をしていない事から経年劣化についての検証がされていないとの議論が有るが、ジオポリマーセメントが古代セメントとも呼ばれるように、歴史を振り返る必要がある。古代ローマの建築物は火山灰をセメントとして使っていた事が分かっている。火山灰はまさにジオポリマーである。2000年経った今もローマのコロッセオやパンテオンを見ればその経年強度は殆ど劣化していない事が証明されている。
建設業界としてはコンクリート建築が50年の寿命として建て替え需要があることの方が環境保護よりも重要だと考える向きも有るようである。しかし、それはグリーン経済、すなわち持続可能社会への移行の過渡的な問題に過ぎない。
ジオポリマーセメントについては当ブログ2011/12/11、2011/9/7等にも詳しい。
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18 Jul 2012 09:53:40 am |
メルケル首相のあせり |
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経済問題は数年に時間をかければ解決できても、地球環境は今すぐ手を打たなければ取り返しが付かなくなる。
7月16、17日にベルリンで世界環境大臣会議が開かれた。この会議はドイツのメルケル首相と本年12月7日開催される国連環境会議の議長国であるカタールが世界に呼び掛けて開催されたものである。
開催に先立ちメルケル首相は地球温暖化対策の目標に掲げている2℃はそう簡単に達成できるものではないとし、参加各国の代表に対し社会や政府の抵抗に打ち勝つ努力を求め、「世界には環境問題を議論することから距離を置こうとする勢力が多く存在する。」この難解なテーマをさらに難しくするのは「環境保護そのものが、その形態を変化し続けることにあるからです。」と訴えた。
また、彼女は世界のこの問題に対する姿勢の変化にも触れ、「私が環境大臣であった1994年頃は世界中が環境問題に強い興味を持ち挑戦的であったが、今は環境問題を論ずることすら戦いになっています。これを元に戻さねばなりません。」と語った。さらに2009年のコペンハーゲンの国連環境会議を振り返り、首脳レベルの会合は「誰が、どの程度のことならやっても良いと言うかを観察する、興味深い演習だった。」とし、京都議定書の期間終了の2012年から2020年までの新たな枠組み作りをしなければならないとしている。
この会議は本年カタールのドーハで開かれる国連環境会議が実りあるものとなるようにと、メルケル首相が旗を振って各国の環境大臣を招待した結果31カ国から大臣級の参加があった。目的は各国の環境大臣にやる気になってもらいドーハ会議での議事の進行がスムースに運ぶ事と、各国の積極的な関与が必要である事を訴える為である。このところの国連環境会議にはテンポが欠けて来ている。世界に広がっている経済不況、各国の財政状況の悪化、ユーロ危機等の経済問題の陰に環境問題が隠れるような事がないようにする為である。
経済問題は何年か時間をかければ解決できても、地球環境はこの数年で我々がしかるべき手を打つことをしなければ永遠に取り返しがつかなくなってしまうのである。
ドイツは独自に1990年を基準にして2020年に40%、2030年に55%、2040年に70%、2050年には80-95%の地球温暖化ガスの排出削減を決めている。
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17 Jul 2012 06:03:13 am |
原油価格と景気 |
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原油価格が高騰しても新しいエネルギーが新産業として景気を良くする
交通が使用するエネルギーがファクター5を達成すると、これまで採算性が悪い為に市場から興味を持たれなかったCO2を出さない燃料や、再生可能エネルギーを使う交通手段が商業ベースに乗るようになってくる。最新の研究によると2050年には技術とデザインのイノベーションにより交通は全て再生可能エネルギーで運転されるようになると言う。これを実施した国家や都市では地球温暖化ガス(GHG)の排出が減少するだけではなく、次のような恩恵にあずかることになる。
―都市部の大気汚染問題の解決。
−健康的な生活の推進
―交通に費やするコストの低減
―景気の刺激、グリーン経済への移行
更に国家戦略的には交通に欠かせない燃料が自前で供給できるようになることから、国の独立性を保ちやすくなる。
専門家の調査によると現在の原油価格の高止まり状態は1バレル100ドル付近に固定化される傾向にあり、今後幾分かの上下を加えながら2030年には200ドルに向かうとしており、いずれにしても安価な原油価格の時代は終わったと言える。
現在の経済は原油に依存している部分が大きく、これまでの原油の高騰は不景気を呼んだ。1965年から始まった第一次石油ショックは1973年〜1980年の不景気を生んだ。その後の数度の石油価格の高騰は、インフレを呼び、消費の低迷を誘い、不景気を作ってきた。その為原油の高騰には市場は好ましくない反応をしている。
しかし、ファクター5的にはエネルギー価格が高くなる事は好ましいことである。但し、原油価格の高止まりはこれまで不採算とされていた、石炭の液化やシェールオイルの採掘を誘因するので、これを阻止する手立てが必要となる。
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