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26 Jul 2012 07:26:06 am |
高エネ社会からの脱却 |
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小さな省エネを集めるより抜本的な省エネ革命を
建築物(住宅、商業ビル、公共ビル、商業施設、工場など全て)には、必ず冷暖房設備(HVAC, Heating, Ventilating and Air-Conditioning)が有る。現在の建築物は殆ど断熱されていないので多大な電力を使って強制的に冷暖房を行って快適性を作り出している。
HVACが消費する電力は、アメリカでは30%、欧州では56%、中国では61%である。これを「ファクター5」が提唱する建築をパッシブハウス構造にすること、つまり建築物の断熱構造を外断熱にし、窓枠や窓ガラスを改良し、エアコンのデザインを変更することで、最大80%の省エネが達成できる。その改築に掛る費用はおよそ建築物の建設費の数%〜最大でも10%程度で、この改築費は大幅に節約される電力料金によって数年〜15年で回収される。
現在、政府、電力会社、マスメディアが盛んに勧める省エネはこれとは異なり、使わない電気器具のコンセントを抜く、エアコンの温度設定を28℃にする、冷蔵庫のドアを長時間開けないなど、消費者の心理に「省エネはこんなに面倒くさい大変なことなんだぞ」と植え付けているだけのように思える。
本当に、電力消費を抜本的に大幅に下げるつもりで有れば、政府は貸付金を予算化して建築物のグリーン化の推進を行えば良いのである。この貸付金は電力料金の下がった分で必ず回収可能である。
それでは何故それをやらないのか、実際に日本中の建築物のグリーンビル化ができると単純計算で総電力需要は30%下がる。これだけで原発50基分を上回る節約ができる。これを、政府は経済の後退につながると考えているふしが有る。確かにこれにより電力会社の規模は2/3になるので電力会社は反対するであろうが、ビルのグリーン化の為の新しい産業、雇用が生まれ税収も増える。これがグリーン経済への移行と言うことである。
そして、これは建築物での話であって、重工業、農業、交通の各分野でグリーン化を行えばエネルギー需要の全体が80%節約できる。そうすれば化石燃料はほとんど必要なくなる。
地球環境を次世代へとつないで行く持続可能社会へ転換して行く為には、これまでのエネルギー浪費型社会からの脱却が必要なのである。当然エネルギー産業には大幅な構造改革が求められる。
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25 Jul 2012 08:31:54 pm |
地産地消が最もエコか |
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子供の夏休みの課題にフードマイレージはいかが?
フードマイレージについては2012/3/6に書いたが、フードマイレージとは食べ物が運ばれてきた距離のことで、輸送の為に出されたCO2の量で測る。
食べ物ごとのフードマイレージについてはフードマイレージ・キャンペーンと言うサイトに詳しく、フードマイレージ・コンピュータなどもあって自分の食べたものがどの位、環境負荷をしているかを知ることができる。URLは次のとおり。
http://www.food-mileage.com/
日本人の年間牛肉消費量は12kgである。現在牛肉の自給率は43%、国産肉牛用の飼料の自給率はさらに低く25%である。
これをもとに比較をすると、アメリカ産牛肉のフードマイレージは12kgあたり160kgのCO2を出すことになる。そして、平均的な国産牛肉ではエサの自給率が低い為に200kgのCO2を排出していることになる。もし、国産牛を100%国産のエサで飼育すると、例えば、いわて山形村短角牛の場合14kgになり俄然環境負荷は少なくなる。
また、肉牛の飼育には大量の水も消費し、飼料の栽培にも大量の水が消費される。例えば日本人年間消費量12kgをアメリカ産牛肉で計算すると240トンもの水を消費した事になる。
夏休みに入った子供さんやお孫さん達と一緒に上記のサイトを開いてフードマイレージについて語って見てはどうだろうか。
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Posted By : dantesforest |
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24 Jul 2012 07:38:41 am |
ソラ―ばあちゃん |
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ベアフット・カレッジは最貧国に希望の光を与えている。
最貧国の最貧の女性のみを対象にしてソラ―照明装置の技術者に育てているインドの「ベアフット・カレッジ」については2012年1月12日と13日に書いた。これは最貧国の最貧の村の最貧の家庭からおばあちゃんを募集してインドで6カ月のトレーニングを受けてソラ―照明装置を部品から自分で作ることを覚え、自分の村に帰って村で最初の電力会社を作ると言うプロジェクトだ。
おばあちゃん達は殆どの人が学校になど一度も通った事が無く文盲である。ベアフットは色と絵と数字だけで、太陽電池パネル、充電器、バッテリー、インバーター、蛍光灯かLEDランプを組み合わせて太陽光照明装置を作る。インバーターの複雑なICチップや部品を基板にはんだ付けするところまで覚える。そうすることで、村に戻って機器が壊れても部品さえあれば修理ができるからである。これまでに先進国や国連の支援で同じようなシステムが電気の無い村に寄贈されても一度壊れると修理ができなかったからである。
おばあちゃん達は自分の孫達が夜間学校で学べるようにと一生懸命に覚える。最貧の子供達は昼間は労働をしており勉強のチャンスは夜しか無い、しかし照明は石油ランプだけであった。電気照明が付いた夜間学校で勉強させたいと言うおばあちゃん達の熱意がこの事業を成功させている。
ベアフットはその他、雨水を溜めて飲料水を作る。ある村の夜間学校の屋根から集まった年間340トンの水で19もの村の4100人に安全な飲料水を提供した。村人の健康管理をおこなう保健婦さんのトレーニングも行う。生理ナプキンの製造法を教えるコースもある。幼児教育の為の保育士としてのトレーニングもある。幼児は労働力にならないので時間が有る、この子たちに学ぶ楽しみを教える事で夜間学校に通う子供を増やしたいからである。さらに太陽熱温水器、太陽光調理器、井戸水のくみ上げポンプ、織物、工芸品などのコースもある。
実在のソラ―ばあちゃんのプロファイルを紹介する。
ヌーラヤミ・エネ・ルヤさん1971年生まれ。文盲。子供6人。孫9人。居住村:ナラシャ(ケニア)。土地:7エーカー。家:泥とトタン。家畜:30頭。家の職業:農業。飲料水:1km先の川から。近くの都市:400km。
ミラ・デビさん、1972年生まれ。文盲。子供3人。孫4人。インド。家畜:7頭。家の職業:農業。土地:3ヘクタール。家:泥製1間。年収:24,000ルピー(34,000円)。近隣の都市まで50km。
なぜ、おばあちゃんでなければならないのか、男に教育を施すと金儲け主義のビジネスにして、成功すると村を出て行くからである。
ベアフット・カレッジのホームページ:
http://www.barefootcollege.org/
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23 Jul 2012 08:09:01 am |
グリーン経済への移行 |
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重要な政治的枠組み、それより重要な賢い国民
グリーン経済への移行を勇敢に始めた企業、例えばトヨタは1997年にハイブリッド生産を始め、フィリップスは2007年に同社の製品の光源を全てLEDにすると宣言していずれも大成功を収めている。しかし、これらのパイオニアたちが成功した背景には、原油価格の高止まり、2003年の金属材料価格の高騰、2004年頃から各国で始まった環境政策の改革などの周辺条件が大いに貢献している。
周辺条件には全く影響されずに成長を遂げた、携帯電話やインターネットのように、従来は存在すらしなかった新しい市場が生み出され、消費者も生産者も利益を感じるような革命的な産業分野とは異なる。
その為、グリーン経済への移行は、政治的、心理的、経済的なあらゆる角度を考慮した政治的な枠組みが重要になる。
経済政策的にはグリーン経済への移行は、ファクター5で記述している70〜80%もの大幅な省エネ・省資源を行う事で大幅な産業構造の変化が予想されるが、可能な限りシームレス(つなぎ目なし)で行われなければならない。蓄積された社会資本や設備投資が廃棄されるような事は極力避けるような施策が必要である。また、グリーン経済への移行の為の新たな資本投資も推進する必要がある。
重要な事はしっかりした政治的な枠組みをつくる事で、今後も発生するであろう大きな周辺条件の変化にも止まることのないグリーン経済への移行を担保することである。
過去に起きたリーマンショックでは、世界の経済人、技術者、マーケティングの専門家、投資家、政治家、マスメディアがこぞって茫然自失となり、方向を見失ってしまった。
グリーン経済への移行を、間断なく進める為には、政策も重要だがそれよりも、環境問題を十分に理解した、賢い消費者の力が最も必要とされる。
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22 Jul 2012 07:44:11 am |
新興国のCSR |
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2012/7/20 GreenBiz.com Guy Morganの記事から
中国、インド、ブラジルは「持続可能な開発」を再定義しようとしている。
過去20年間にはこれらの新興国にとって「持続可能な開発」は西欧諸国から持ち込まれた、いわば、お客さんがそうしろと言うから行う受動的なものであった。しかし、ここ数年の経済状況の変化はそのバランスを変えた。そして天津で開かれた世界経済会議や、先だって開かれたリオ+20等でホスト国を務め国際的な発言力も強くなってきている。
これらの新興国は現在、経済のファンダメンタル、環境問題、格差などの社会問題に直面しており、この問題解決にCSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibility)を経済活動の柱にしようと動き始めた。その為には、持続可能な開発が重要課題となり、国内企業が能動的に取り組むように変わってきた。
中国では、これまでの公害防止、人道的労働環境、製造責任と言った取り組みから、グリーン経済への移行をこれからのビジネスチャンスと捉えるような変化が起きている。また中国の国営企業には、温情主義で果たしてきた地域の社会基盤的な一面がありこれは中国的CSRとして残す動きもある。
インドでは歴史的に企業のCSRは社会的課題である不平等、貧困にどう対応するかであった。教育機会の不平等や医療保険制度の不備から生じている社会的ギャップを埋める存在としての企業への期待がインド社会には存在する。
ブラジルでは中国、インドよりも社会的側面はバランスが良いと言える。世界はブラジルに対しアマゾンの自然保護を最重要な持続可能な開発への鍵として要求し続けてきた。世界中からの資本がアマゾンの自然保護に注がれている。しかし、ブラジル政府のお役所仕事ぶりは有名で、西欧諸国の企業では「ブラジル割増」を原価計算に加える。この国が直面している問題は「人材不足」の一言に尽きる。企業は人材を作ることが最重要のCSRと考えている。
このように、中国では企業は人々の調和の中心となるものであり、インドでは橋を架け、病院を作るものであり、ブラジルでは学校の代わりをしている。
しかし、いずれの国も持続可能な開発しか自らの国の発展は無いと理解しており、グリーン経済への移行へと舵を切った。
わが、日本は失われた20年からいまだに立ちあがることができずにいるが、経済再生をグリーン経済指向で進めると言う話は聞かない。もし今でも日本が環境大国だ等と思っているとしたら、間もなく新興国に水をあけられる。
原文:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/07/20/how-brazil-china-india-redefining-sustainability
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