ダンテの森    
20 May 2014   01:55:06 pm
再エネは長期予測が可能
ウオールマートの長期再生可能エネルギー政策
ウオールマートの発表2014-05-08より

 ウオールマート(Walmart、日本では西友として運営)は、太陽光パネルの設置数では業界の最先端を走っているが、次の6年間には設置するストアの数を倍になり、2020年には計700万GWhを発電する発電所となる。

 ウオールマートは再生可能エネルギーについてこれまで多くの事を約束してきているが、実際にはどうなのか。現在、世界中で335の再生可能エネルギープロジェクトが進行中(一部は開発中)である。これらの自前の再生可能エネルギーと再生可能エネルギー由来の電力を購入することで、全ウオールマートの電力消費量の24%が再生可能エネルギーとなっている。

 ウオールマートが全米No.1の店舗での再生可能エネルギーの発電を行っていることは余り知られていない。それでもウオールマートは更に新たな目標を立てて進んでいる。

 ウオールマートは、自前の再生可能エネルギー以外に再生可能エネルギー由来の電力を長期購入する事を推進している。5, 10, 15年あるいはそれ以上の長期にわたった長期契約を再生可能エネルギープロバイダーと結ぶことでウオールマートは長期のエネルギー予算を計画することが可能となる。

 太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの価格は、化石燃料のように投機の対象にはなっておらず、価格変動が少ない為に長期の価格固定が可能である。それがウオールマートの経営に大きく寄与する。

 化石燃料の場合には、エネルギー購入担当部署がエネルギー市場価格変動を先読みして、低価格の時に大量購入することで大きな利益を上げる場合があったが、かわりに市場価格が高騰すると利益を大きく圧迫する要因となっていた。

 ウオールマートの再生可能エネルギー・プロバイダーとの長期契約は、化石燃料には無かったエネルギーコストの固定化を可能とし、長期経営戦略を立てやすくしている。再生可能エネルギーの大きな魅力の一つである。

原文(英語)URL: http://blog.walmart.com/walmarts-approach-to-renewable-energy
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19 May 2014   01:12:40 pm
バイオ燃料に注意(1)
なぜか日本ではバイオ燃料は失敗し続けている――世界ではビジネスとして成立
ブログ管理人

 バイオ燃料と言うとブラジルで行われているサトウキビをエタノールにして車の燃料としていると言うイメージを浮かべる人が多いと思うが、ブラジルのバイオ燃料政策は、森林伐採と生物多様性保護の面から問題が多いので、環境学的には評価が低い。

 欧州では、既に1992年からアブラナからバイオ燃料を取り出す事がビジネスとして行われている。2000年に入ってからは、北欧、東欧、スペインを中心にアブラナ、使用済み食用油、獣脂、豆類などから大規模(年産5〜20万トン)な設備が作られ商業稼働している。これらの設備の建設あたっては殆どの場合EUから補助金が出されている。

 生産されたバイオ燃料はディーゼルエンジン用として、副産物として作られるグリセリンや固形化学肥料が、いずれも販売され採算が取れるように計画されており、最近の石油価格の高止まりの為に収益が向上している。

 日本には、3つの大規模なバイオエタノールプラントが農水省の補助金によって建設されているが、その内容を見ると目を疑いたくなる。北海道清水町にある北海道バイオエタノール(株)は、甜菜を原料に年間15万トンの生産をしているが、その製造原価は2009年の生産開始時には226円/リットルであったものが2012年には204円/リットルになったが、これだけ高くなったガソリン代はとても追いつかない。売れば売るだけ赤字が出るので、農水省が補てんすることになる。しかし、驚くのはまだ早い清水町は優等生なのである。

 同じく北海道苫小牧市の酒造会社が集まったオエノンホールディングス(株)は、北海道産のコメを原料にバイオエタノールを年間15万トン生産しているが、操業開始の2009年には364円/リットルであったものが2012年には196円に下がっているが、これは政府の備蓄米を15円/キロで買っているからであり、もし北海道米を使うと実際には39円/キロであり単純計算では500円/リットルを超していることになる。備蓄米の購入時の価格とキロ15円には当然差損があるがそれは農水省もちである。さらにガソリン市場価格に合わせる為には補助金が必要となる。同社のホームページを見るとCRC部門もありコーポレートガバナンスを重んじる企業だと書いてあり笑わせられる。

 最後に新潟市全農連が操業するバイオエタノールプラントは年産千トンと少なく、量的にはとても採算が取れそうにない規模であるが、もっと驚かされるのはここではコメを原料としているが、2012年の想定価格が304円/リットルであることと、実際には654円/リットルであることである。こんな、想定価格でそもそもフィージビリティーなどしなくてもはじめから破綻したプロジェクトである事が、素人にも解る。

 なぜこんな採算性の無いプロジェクトが補助金対象事業として認められて巨額の資本を投入されて設備が作られ、エネルギーと労力を費やして操業されることになるのか、全く理解に苦しむ。そして政府は再生可能エネルギーと言うものは日本という国土や風土にはあっておらず、やはり原発に頼らざるを得ないと言い。マスコミも国民も納得するのである。

 こんな無理をして再生可能エネルギーを作り出すよりも、建築物を省エネ改築することで簡単に25%程度の電力消費は下げる事が可能である。つまり政府が原発で生産しようとしている分は建築物の省エネ改築だけで達成できる。そのほかにも、農業分野、交通、重工業でシステマティックに省エネをすることで現在のエネルギーは5倍に使う事ができることを、「ファクター5」(明石書店、4,200円(税別)は提案している。
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18 May 2014   04:29:11 pm
ドイツの悩み
エネルギーヴェンデ(エネルギー転換)の波は大電力会社に
ドイチェラントフンク
今週のテーマ2014-0-17から

 今日は、ドイツのインターネットラジオ、ドイチェラントフンク(Deutschlandfunk)から拾ってみた。

 ドイツでは、今最後の原発問題が議論されている。しかしそれは、産業・電力業界・政界がまた原発の是非をめぐっての問題では無い。原発の葬式の費用をだれが持つかと言う議論である。これは大きな進歩と言えよう。いまどきだれもが原発に将来が無いことは理解しており、電力会社がこれまでに原発から得てきた利益を全て出させてでも後始末は電力会社にさせるのか、これまで原発を推進してきた政府が後始末をするのか、問題となっているのはお金である。

 電力会社が、何兆円を負担し、政府が税金から何兆円払うのかが問題なのである。ここでもう一つ議論になっているのは、電力会社が存続すべきかどうかと言うことである。電力会社が早急にエネルギーヴェンデの波に乗って、新エネルギーに切り替える努力をし、それに成功すれば生き残れるかも知れない。電力会社もそれには気づいており、CO2排出量の少ない天然ガスへの切り換えや再生可能エネルギーへの切換えをしたいと考えている。しかし、彼らは50年前に連邦政府が自分たちに原発を押し付けた責任があり、後片付けは政府がやるべきとしている。彼らが原発で営々と貯めこんだ巨大な利益の事はすっかり忘れてしまっているようだ。

 ドイツの四大電力会社は、今となっては自らが過去に風力や太陽光発電をおもちゃ扱いして笑い、自分たちの事業の妨げになるとばかりに政治力・経済力を持ってありとあらゆる妨害をしてきたことを悔やんでいる。

 彼らは失われた、数十年を急ぎ取り戻そうとしておりその為には原発と言う厄介なお荷物は一日も早く下したいと思っており、このチャンスに厄介者は政府に渡してしい、自分たちは新たなビジネスに進みたいと思っている。

 一方政府の方は、大連立と言う枠組みで社民党―緑の党グループも保守―自民グループも巨額の出費の責任を取りたくなく決定を躊躇している。しかし、このまま電力会社を温存するのもリスクがある。上手に新エネルギーに切換えができたところは良いが、4社のうち1社でも倒産となれば、多額の税金がつぎ込まれることになる。電力会社がこのまま、ぬくぬくと存続する事は許されないし、安易に外国から原発で発電された電力を買ってそれを売るなどは許されるものではない。今後電力は分散型となり、現在の4大電力のような大企業は必要なくなることを彼らは知るべきである。その上で、再生可能エネルギーへの乗り換えをするべきである。エネルギーヴェンデが何たるかをしっかり勉強してもらいたい。そこにしか彼らの生き残る道は無いと知るべきである。そして最も重要な課題は一日も早く石炭火力発電を無くすことである。

原文(ドイツ語)URL: http://www.deutschlandfunk.de/energiewende-konzerne-koennen-sich-nicht-einfach-freikaufen.858.de.html?dram:article_id=285671

 と言うように、ドイツでは既にエネルギーヴェンデは始まっており、再生可能エネルギーが「ベース電力」になるかどうかなどの議論はもう無い。それでも原発を再稼働させようとする日本の政府は、やはり数十年遅れているとしか言いようが無い。
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13 May 2014   10:06:53 am
米はIPCC以上
西南極の氷床融解は制止不可能、NASA
AFP 2014-05-13 14:49 ワシントンD.C.発

 西南極を覆う氷床が「制止不可能」な速度で溶けていると警告する報告を、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory、JPL)の科学者が発表した。

 今後数十年以内に、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測を超える海面上昇が起きるという。

 NASAの氷河学者で、米カリフォルニア大学アーバイン校のエリック・リグノット(Eric Rignot)教授は「西南極氷床(West Antarctic Ice Sheet)の広大な部分が、不可逆的な後退状態に入っている。元に戻ることが可能な範囲をすでに越えてしまっている。氷床の後退は制止不可能だ」と語る。西南極の氷床の背後には、融解する氷床を支えることのできる巨大な陸地がないことが、調査で明らかになっているという。

 科学者たちは何十年も前から、この西南極の「急所」について警告してきたが、詳細な情報を収集できるようになったのは1990年代以降のことである。

 米地球物理学連合(American Geophysical Union)の学会誌「地球物理学研究レター(Geophysical Research Letters)」に発表されたリグノット氏の論文は、西南極における近年の変化を衛星、航空機、船舶、地上から観測した結果、今後2世紀以内に地球全体で1.2メートルの海面上昇を招くだろうと指摘している。

 また12日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載されたコンピューターモデルによる研究結果も、西南極のスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)が急速に融解しており、氷河が崩壊すれば、地球全体の海面は60センチ近く上昇すると述べている。論文の著者でワシントン大学の氷河学者イアン・ジョーギン(Ian Joughin)氏は、この氷河の崩壊は避けられず、今後200〜1000年の間に起きるだろうと述べている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN

AFP原文URL:http://www.afpbb.com/articles/-/3014796
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12 May 2014   12:38:38 pm
日本独自の標準化か
下水処理から出る汚泥からバイオマス燃料の標準化――国交省
ブログ管理人

 5月11日国交省は、下水処理の過程で生じる下水汚泥を原料としたバイオマス燃料「下水汚泥固形燃料」の需要拡大を支援するため、今年度中に同燃料のJIS(日本工業規格)を制定する。JIS認証により品質や性能についての信頼を高め、普及につなげる。同燃料は石炭などの化石燃料の代わりに使えば二酸化炭素(CO2)を削減できるが、使用する企業などに十分浸透していないという。

 国交省によると、2011年に全国で発生した下水汚泥221万8000トン(水分を除く重量ベース)のうち、燃料として有効利用されたのは1%。同省は、下水処理場などでの燃料化が進まない原因について、企業側に「きちんと燃えるのか」「製品に悪影響はないか」などの懸念があり、需要が少ないためと分析している。

 日本下水道協会は既に、下水汚泥固形燃料の発熱量や水分量などを盛り込んだJIS原案を作成。同協会から規格制定を申請された国交省は、日本工業標準調査会に原案の審議を依頼した。同調査会の答申を受け、同省が14年度中に制定する。

 同燃料は、愛知県の衣浦東部浄化センターや広島市の西部水資源再生センターなどの下水処理場が製造。大量の石炭を消費する火力発電所に販売している。

 以上が国交省の発表であるが、この報道を読んで感じることがいくつかある。一つは、この類のシステムの効率を上げるためにはある程度の規模が重要になると言うことである。規模が小さいと効率が上がらず、採算が取れなくなり尻すぼみになる。ブログ管理者は関西電力の舞鶴石炭火力発電所で、あるプロジェクトに携わった経験がある。同発電所ではバイオマスも使用していると対外的に謳っているが、その割合は微々たるものであった。黒い石炭に木材由来のバイオマスの薄茶色のペレットがちらちらと見える程度であったので、恐らく0.1%以下であったと思う。

 衣浦東部浄化センターでは一日100トンの汚泥を処理して8トンの固形燃料を生産しているが、8トンの固形燃料を作るのにどのくらいのエネルギーが消費されているのかを示す資料は見当たらなかった。規模が小さいと、8トンのバイオ燃料を作る為にそれ以上の化石燃料を燃やしてしまっている場合が多々見受けられ、実質的には環境負荷を増やしている場合がある。

 次に工業標準には国際標準化機構(ISO)と言うものがある。欧州ではバイオマス燃料は以前から利用されており、標準化も現在進行中である。固体バイオ燃料規格(欧州標準化委員会TC335)として8本が既に標準化され、16本が審議中であるが、これらも本年度中に標準化される。日本下水道協会の原案がISOに準拠したものかどうかが疑問である。ここでも日本独自の標準を作り、海外から安いバイオ燃料が入ってくる事を妨害するのが目的である可能性がある。背後にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の工作を感じる。メディアはただただ、国交省の発表を聞いてそれを垂れ流すだけでなく、その背後にある意図や作意を見つけ出して国民に知らせるという、ジャーナリスト精神で報道をしてもらいたい。

 グリーン経済への移行においては、ある程度の法的規制が必要となってくる。市場の動向に任せていたのでは、エネルギー・資源の浪費は止まらないからである。ドイツの環境学者エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ワイツゼッカー博士の「ファクター5」では、法的規制、国家と市場のバランスについても論及している。「ファクター5」は明石書店から4,200円(+税)で絶賛販売中である。
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