ダンテの森    
26 Dec 2013   06:12:02 am
今年の異常気象と災害
気象庁は、日本と世界の今年(2013年)の天候についてまとめた(速報値)。
サイエンス・ポータル2013-12-25

日本の気温〜高知・四万十で歴代最高41.0℃

 日本の今冬(12-2月)は、周期的に強い寒気が南下したため、北・東日本で2年連続、西日本では3年連続の寒冬となった。とくに北日本の日本海側で降雪量は多く、2月末には青森市・酸ケ湯で、国内歴代最高の積雪566cmを記録した。

 夏(6-8月)は太平洋高気圧の勢力が強く、全国で暑夏となった。とくに西日本は気温が平年より1.2℃も高く、1946年の統計開始以来の最高温となった。高知県四万十市では8月12日に、歴代最高気温となる41.0℃を観測した。

 雨は、夏に東日本と東北の日本海側で降水量がかなり多かった。とくに7月28日は山口県と島根県、8月9日は秋田県と岩手県、同24日は島根県で記録的な豪雨となった。秋(9-11月)は、全国的に台風や秋雨前線の影響でたびたび大雨に見舞われ、11月には低気圧や寒気の影響で、日本海側で雨の日が多かった。このため降水量の平年比は北日本の日本海側で135%、東日本の日本海側で162%と、これまでの最多記録を更新した。

 台風の発生数は平年(25.6個)よりも多い31個で、19年ぶりに30個を超えた。日本への接近数は14個と平年(11.4個)よりも多く、9-11月は1951年以降で最多の、66年と同じ9個(平年4.8個)だった。9月中旬に上陸した台風18号の影響で福井県や滋賀県、京都府で記録的な豪雨となり、3府県に初の“大雨特別警報”が出された。10月16日には、台風26号による記録的豪雨で、東京都大島町の伊豆大島で大規模な土砂崩れ災害が起きた。

世界の気温〜2番目の高温

 2013年の世界の年平均気温は、1981-2010年の30年間平均よりも0.20℃高く、統計開始の1891年以降では2番目に高かった。世界の年平均気温は、100年あたり0.69℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっている。2013年の日本の年平均気温は、30年間平均よりも0.40℃高く、1891年以降では8番目に高かった。日本の年平均気温は、100 年あたり1.15℃の割合で上昇している。

世界の異常気象と災害〜フィリピンに台風30号直撃

世界では、東日本から中国中部にかけて3月と7-8月は異常高温となった。上海市のシージャーホゥエイ(徐家匯)では、8月7日に統計開始(1872年)以降で最高の気温40.8℃を記録した。オーストラリアでは1月と3-4月、7-10月に異常高温となった。このほかフィリピンでは11月に台風30号の直撃で6,000人以上が死亡した。インド・ネパールでは6月に大雨災害、パキスタン・アフガニスタンでも8月に大雨による大きな災害が発生した。

〈2013年の主な異常気象・気象災害〉
•東シベリア南部の洪水(7-9月)
•東日本〜中国中部の高温(3、7-8月)
•東日本、西日本の少雨(3、5月)
•フィリピンの台風30号(11月)
•インドシナ半島の大雨(9-10月)
•インド・ネパールの大雨(6月)
•パキスタン・アフガニスタンの大雨(8月)
•ヨーロッパ北部の高温(5-6、8-9月)
•ヨーロッパ西部の低温(3-6月)
•ヨーロッパ東部〜中部の多雨(1-3、5-6月)
•ソマリアのサイクロン(11月)
•モザンビーク・ジンバブエの大雨(1月)
•モーリシャス〜マダガスカルの高温(9〜11月)
•米国東部、その周辺の多雨(1、4-6、10月)
•メキシコのハリケーン「Manuel」「Ingrid」(9月)
•ブラジル東部の高温(1-4、6月)・少雨(2-3月)
•オーストラリアの高温(1、3-4、7-10月)

原文URL: http://scienceportal.jp/news/daily/1312/1312251.html
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25 Dec 2013   02:53:34 pm
日本の電機産業
欧州の電機産業が捨てた原子力産業を拾い集めて起死回生を図っている。
ブログ管理人

 英国の原発企業ニューゲン(Nugen)に出資していたスペイン資本イべルドラが撤退しようとしているのを東芝が肩代わりして140億円を出資した。英国ではすでに日立がホライゾン・ニュークリアーパワーを買収している。ブルガリア政府は、自国の原発新設の企業アライアンスに東芝の出資を求めている。

 欧州の企業は、原発の将来に見切りを着けて逃げ道を探っている。ブログ管理人が長年勤めていたドイツのシーメンスは福島の惨状を見て、原発関係の部門から撤退を決め、2011年9月18日にフランスのアレバに譲渡した。これまで、シーメンスが切り離して来た数々の事業部門は、その後全て不況業種になっている。シーメンスが電気部門を持つ銀行と呼ばれている所以である。

 欧州企業が撤退しようとしているところに居場所を見つけたのは、日本の三菱、日立、東芝のようで、半導体工場を売却した資金で積極的に海外の原子力関係企業の買収を続けている。

 日本の電機産業の低迷は想像されているよりも深刻なものであるらしい。最近メディアは、日本の電機メーカーが一斉に中国のテレビ市場から撤退したとさらりと報道していた。人口14億人の巨大な成長途上に有る市場からの撤退の大ニュースであるが、それをさらに深堀りして報道するメディアは無い。それほどに状況は深刻なのだろう。

 これまで、日本の成長を支えて来た電機は、自動車とならぶ産業の柱であった。しかし、テレビをはじめとする茶もの家電、洗濯機などの白もの家電、PCや携帯と言った情報家電、そのいずれも世界の市場から取り残されてしまった。その理由は、メディアがつねに強調する韓国勢の低価格政策に負けたと言うのは本当の理由では無い。日本の電機産業は世界市場のニーズをキャッチできなかったのが原因である。マーケティングの弱さもさることながら、システム開発の為の基礎技術が劣っていた為に、市場の変化について行けなかったのである。

 その責任は経産省にある。経産省がリードし電機メーカーはお上の言うなりにしてきた結果がこの体たらくとなったのである。経産省は記憶素子を「産業のコメ」と呼び記憶素子を制するものは世界のエレクトロニクス市場を制すると囃したてて、NEDOの補助制度を使って高性能メモリーの開発を各社に勧めた。今年の3月に超先端電子技術開発機構(ASET)と言う研究組合がその16年間の短い命を終えたことはその象徴的な出来事である。これはニュースにすらならなかったが、ブログ管理人の知り合いも何人か居たので、感慨が深い。

 その経産省は自らの非も認めない内に、今度は原子力発電所と軍需エレクトロニクスの輸出で日本の電機産業の起死回生を目論んでいるようである。政府は、その為の法整備を急ぎ、特別秘密保護法はその一環で、今回の銃弾1万発の輸出は武器輸出三原則をう回する既成事実作りと考えられる。

 原子力産業と軍需産業で起死回生を目論む三菱、日立、東芝などの日本の電機産業は、世界が向かっているグリーン経済への産業のパラダイムシフトには目をつむり、中国を仮想敵国にしてASEAN諸国に利幅の多い軍用エレクトロニクスを売り込む算段をしているとしか考えられない。経産省の官僚任せの政策にだまって付いて行くだけの電機産業の経営者は退陣してもらい、三菱、日立、東芝が、ものづくりの本来の姿に戻す経営者に代わってもらいたい。
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24 Dec 2013   02:52:34 pm
アジアのグリーン認証
アジア太平洋のグリーンビルディングをリードするシンガポール
Yale Environment 360, 2013-12-16 Mike Ivesの報告より、

 シンガポールはアジアにおけるグリーンビルディングのショールームのようである。一見、東南アジアのどこにでもあるようなショッピングモールの、313@ソマーセットの8階建てを詳しく見ると、自然光の採光システム、太陽光パネル、省エネエレベータとエスカレータ、高効率エアコン、ビル全体のエネルギー管理をするコンピュータシステムなどでビルのCO2排出量を削減していることが分かる。

 反対側に位置するピッカーリング地区は、東南アジアの金融センターであるが、ここにできたパークロイヤルホテルはグリーンビルであることを証明するかのように、正面には熱帯シダ類が茂り、ブドウの木が全面を覆っている。ロビーに入ると、木材を多用したインテリアと熱帯苔が敷き詰めれており、金融センターのど真ん中に現れた熱帯雨林の中に居るようである。これらの植物への水やりは、雨を貯水するタンクから供給されている。光センサーによる照明制御で省エネが行われている。ガラスは赤外線をカットして太陽光熱を遮っている。

 これらの建築物は、シンガポール建築建設庁(BCA)が推進するグリーンビル格付けシステムで格付けされている。日照対策、水資源対策、省エネとCO2削減の制御システム、高効率エアコン(HVAC)などで格付けされる。これまでに、新築ビル1534棟、改築ビル215が格付けを受けた。この総床面積は国全体の1/5にあたる。格付けを受けたビルの運用費用は11.6%安くなり、不動産価値は2.3%上昇した。

 従来、ビルの格付けは米国の公益法人が行っているLEED認証に頼っていたが、シンガポールBCAはアジア太平洋地域の気候に合わせたグリーンビル基準を定め、アジア太平洋地域における標準にして行こうとしており、グリーンビジネスの指導的役割を果たそうとしている。

原文(英文)URL:http://e360.yale.edu/feature/singapore_takes_the_lead_in_green_building_in_asia/2720/

 日本政府は武器の輸出で経済成長を図ろうと考え、その為の法整備に余念が無いようであるが、アジア太平洋地域の国々はグリーン経済への移行へと進んでおり、日本の軍産複合体の計画はとん挫する事になるだろう。
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23 Dec 2013   12:32:56 pm
環境先進国返上の日本
日本にしか無いエネルギーの無駄づかいを数え上げて見た
ブログ管理人

 日本が環境先進国だと考えている人は多い。確かに、1960年台のイタイイタイ病や四日市喘息に代表される公害病で公害先進国として世界的に有名になり、その汚名挽回の為に、排水規制、排出ガス規制を強力に行い1970年代には安全な水と、きれいな空気を取り戻した。1970年にやってきたドルの平価切り下げと2度のオイルショックの為に大幅値上がりした原油価格による不況を乗り切る為に、大幅な省エネ対策を講じる事で、公害対策からの流れがプラスに働いき、国内産業の資源消費効率が大幅にアップした。

 レデュース(Reduce)、リユース(Re-use)、リサイクル(Recycle)の3Rで、資源効率を大幅に向上させる事で、この難関を乗り切った日本の政策は成功し、その副産物として地球温暖化ガスの排出量も大幅に削減されて環境先進国と呼ばれるようになった。しかし、1990年代のバブル崩壊とともに日本の経済界と政界は、ただひたすら経済成長を目指す余り、環境政策をおざなりにしてきた。今の日本は、京都議定書第二約束期間からは脱退し、温暖化ガス排出量目標は「増加目標」に変え、今後もエネルギー消費は増加の一途とする環境無策国となってしまった。国民のエネルギー意識はどうだろうか。

 自動販売機、トイレ便座、カップめん、この三つに共通するものはなんだろうか? 世界には無くて日本にだけあるエネルギーの無駄づかいである。その第一番は野立ての清涼飲料水自動販売機である。海外では一部の東南アジアの国を除いては見かけない。日本には設置台数600万台で、火力発電所あるいは原子力発電所2基分の電力を消費している。野立ての自動販売機は、小さなスペースに設置する為に、断熱能力が悪く電力消費が大きい。自動販売機が無くなっても通常の生活にさほど影響が無いと思われることである。その証拠に海外ではほとんど見かける事は無い。

2番目は、トイレ便座ヒーターである。シャワー付きトイレもそうであるが、これも日本の発明である。恐らく日本の5千万世帯の家庭の少なくとも80%つまり4千万台の便座ヒーターが有り、事業所、公共機関、ホテルなどを加えるとその倍の8千万台はあるのでは無いだろうか。便座一つで10W消費したとすれば80万キロワットとなり、発電所約1基分の電力である。これも海外では見かけないものである。

 食べるものでエネルギーを多く使っているものは、日本の大発明カップめんである。カップめんは一度調理したものを、多くのエネルギーを掛けてフリーズドドライと言う方法で凍結乾燥させる。家庭では、もう一度熱湯を沸かしてカップめんに注ぐ。カップめんはエネルギー消費の象徴のような食品である。一度、一個のカップめんに使われるエネルギーを試算してみようと考えている。年間35億個の消費なので、そのエネルギー総量はバカにならない量になると思う。日本に昔からある高野豆腐も凍結乾燥した食品であるが、これは昔は寒い冬に屋外に豆腐を並べて凍結乾燥させていたので、化石燃料は使っていなかった。化石燃料の力を借りないインスタント食品の開発をしてもらいたい。

 この他にも、日本にしかないエネルギーの無駄づかいについて皆さんにも考えてもらいたい。気がついた方は koichi@jetiserv.com までメールしてもらいたい。
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22 Dec 2013   03:30:24 pm
気候変動と人類史
数十年サイクルで起きる気候変動が歴史を変えた。
ブログ管理人

 12月16〜17日に名古屋大学で開催されたグローバルCOE国際シンポジウムの発表の中で、名古屋大学環境学研究科の中塚武教授の話は大変興味深いものがあった。

 中塚教授は、海洋ではサンゴの年輪、地上では樹木の年輪の酸素同位体を調べる事で、何千年もの昔にさかのぼって気候の詳細を年月単位で復元する研究をされているが、古気候の復元と人類の社会活動の歴史を組み合わせることで、地球環境と人類の営みの関係を探っている。酸素同位体の変化をウエーブレット解析して数十年の周期の変化と歴史年表を重ねる事で相関を見ると言う、自然科学と人文科学の学際的研究である。

 中塚教授の研究によれば、地球環境が数十年サイクルで大きく変動をした時に歴史上の大きなエポックが起きていると言う。まだ、西洋史との関連性の検証は終わっていないとの事であるが、これは世界的にあてはまることらしい。

 数十年サイクルで干ばつと洪水が交互に発生する気候変動サイクルが何度か起きた後には、戦争や政権の交代が起きているという。これは、数十年と言う単位が人間の寿命の単位と近い事に起因しているらしい。

 干ばつによる飢饉が襲ってきても、その世代に生きている人達の記憶には、数十年前にも同じような事が有ったが、また元に戻ったと言う記憶が残っており、こんども辛抱していれば又元に戻るであろうと期待し、大きな改革を起こそうとしない。その為に人類は環境の変化に対応しようとせず、一つの文明の崩壊のような大きな歴史的変化が人類社会に現れていると言うのである。

 その端的な例として、交通渋滞を取り上げて説明していたが、交通渋滞に対応する方法として、右肩上がり経済を経験して来た世代が出す答えは、道路幅を広げ、高速道路を増やすと言うものになる。この結果は化石燃料の大量消費と大気汚染、地球温暖化などの環境負荷の増大である。車離れが起きている若い世代の中には、極端に自動車を無くせば良いと考える人もいるであろう。理想的な答えは、交通機関を車から電車や自転車に変えるモーダルシフトであるが、過去の記憶に引きづられてなかなか決断ができない。これが現状の様である。

 高度成長経済、バブルなどを経験した団塊の世代前後の世代は、刷り込まれた右肩上がり経済からなかなか脱却できない為に、地球環境の変動に対し反応が悪いのかも知れない。今後も中塚教授の研究に注目したい。

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